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トゥルーノースのkazu1961のレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.4
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-654
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋衝撃的な作品です。。。リアリティをもって北朝鮮の事実を伝えるアニメーション、とてもキツくて、でもとても温かいほんと素晴らしい作品です。極限状況に置かれた時、自分を生かすためだけに生きるのか?。。。それとも“人間らしく”生きるのか?すごくハードルの高い命題に挑んだ作品ではないでしょうか!!

🖋すなわち、極限の状態、過酷な場所に置かれた人間の生き方を知るための物語でもあります。北朝鮮の政治犯強制収容所に生きる家族を通して、どんな過酷な環境でも人は命を輝かせることができる、そんな強いメッセージが伝わってくる作品です。

🖋そしてその脚本とストーリーテリングも秀逸!!オープニングの伏線とエンディングでの回収、その差異に涙が溢れてしまいます。しかしながらラストシーンでは更なる希望も。。。

🖋1950年代から1980年前半、日本に住んでいた多くの在日朝鮮人が北朝鮮に移住することがありました。北朝鮮を“地上の楽園”として移住したんですね。。。しかし現実は厳しい検閲と監視、そして強制収容所へと。。。そんな実体を脱北者の長年にわたる取材と証言をもとに描かれた衝撃的なアニメーションです。実写でもなく、アニメがポリゴンで描かれているのは、あまりにも悲惨な状況だったのでその生々しさやリアルさをそのまま伝えるのではなく、優しく伝えたかったからだそうです。

🖋 強制収容所内の恐るべき実態を描きながらも、家族愛、仲間との絆、死にゆく者への慈しみの心情などが細やかに表現され過酷さと優しさを巧く両立して描いた演出と脚本には圧倒されます。鑑賞して今一番思うこと、それは“今でも収容所に多くの人々が囚われていることを忘れてはならない。。。”

🖋「TRUE NORTH」とは、「真に重要な目標」を指す英語の慣用句。自分がどの位置にいようともコンパスの針は常に北を指すことから「決して変わらない目指す方向、正しい方向」「生きる意味」という意味で使われるようになったそうです。

😢Story:(参考:公式サイト)
絶望の淵で、人は「生きる意味」を見つけられるのか? 1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民した家族の物語。平壌で幸せに暮らすパク一家は、父の失踪後、家族全員 が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い他者を欺く一方、母と妹は人間性を失わず倫理的に生きようとする。そんなある日、愛する家族を失うことがキッカケとなり、ヨハンは絶望の淵で「人は何故生きるのか」その意味を探究し始める。やがてヨハンの戦いは他の収監者を巻き込み、収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。

🔸Database🔸
・邦題 :『トゥルーノース』
・原題 :『True North』
・製作国 : 日本・インドネシア
・初公開 : 2020
・日本公開 : 2021/06/04
・上映時間 : 94分
・受賞 : ※※※
・監督 : 清水ハン栄治
・脚本 :
・原作 : ※※※
・撮影 : ※※※
・音楽 : マシュー・ワイルダー
・出演 : ジョエル・サットン、マイケル・ササキ、ブランディン・ステニス

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
北朝鮮強制収容所の過酷な環境で生きていく家族とその仲間たちが成長していく姿を、生存者証言を参考に描いた長編アニメーション。1950年代から始まった在日朝鮮人の帰還事業により北朝鮮に渡ったヨハンの家族は、両親と幼い妹とともに金正日体制下の北朝鮮で暮らしていた。しかし、父親が政治犯の疑いで逮捕されたことにより、母子は強制収容所に入れられる。極寒の収容所での苛烈な生活に耐え忍びながら、家族はなんとか生き延びていたが、収容所内の食料確保によるトラブルによって母が殺害され、自暴自棄となったヨハンは次第に追い詰められていく。そんなヨハンは、死に際に母が遺したある言葉により、本来の自分を取り戻していく。監督の清水ハン栄治が、収容体験をもつ脱北者にインタビューをおこない、10年の歳月をかけて作品を作り上げた。2020年・第33回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。
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