垂直落下式サミング

囁く怨霊の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

囁く怨霊(2000年製作の映画)
3.5
カルト・ホラー・クイーン、三輪ひとみ主演作。非業の死をとげた女の復讐劇が幕を開ける!
川崎で発生した通り魔殺人事件を取材取材する駆け出しの女性記者は、被害女性が生前に執拗なストーカー行為を受けていたことをつきとめる。現場での取材テープには、奇妙な声が録音されており…。それは非業の死をとげ、怨霊と化した被害女性による復讐宣告だった。
被害女性を救おうとしなかった刑事、きもきもストーカーあんちゃん、彼女を殺した実行犯、事件に関わったものたちが、次々と不可解な死をとげてゆく…。そして…。
90年代の川崎工業地帯のロケーションがいい。ガッチャンキキィッと電車の車輪とレールが錆び付いた音を軋ませて、煙突が火を吐き出す。インダストリアルなカワサキゲットー。なかなか、いい雰囲気させている。
いかにも、当時のホラーブームに乗っかったビデオ作品って感じで、Jホラーの試行錯誤の系譜を辿るという意味では観る価値のある作品。映り込む系の心霊が、どの程度の塩梅がイチバン怖いのかを試していて、本作の距離感ではいまひとつかなぁ。
死んだ女の恨みによって現世に残った残穢、その怨霊が事件に関係した人を殺してゆくという設定がそもそも因果応報の怪談噺であるから、理不尽であればあるほど怖さを増す現代ホラー表現とは食い合わせが悪い。
最初、女の人が刺殺されるところがショッキング。低予算ロケ撮影でカメラ位置にに高低差をつけれる歩道橋というアイテムは、ホラー作品の大大大発明だよな。呪怨2のラストシーンで、つき落とされる歩道橋とかと同じで、異世界の匂いが漂っていた。