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仕掛人・藤枝梅安のTOTのレビュー・感想・評価

仕掛人・藤枝梅安(2023年製作の映画)
3.9
梅安と彦さんの「ふたりぼっち」な地獄と、おみのの「ひとりぼっち」な地獄が拮抗する。
そのようにしか生きられない美しさと悲しさが横溢する画面。時代劇の正しい暗さの中で、女性嫌悪と性的暴行と因果応報をしっかり刻みこむ演者・映像・音楽のプロ仕事に感服しました。

美しいもの
豊川悦司の歩き方
片岡愛之助の着物の着こなし
早乙女太一の殺陣
川井憲次の音楽
天海祐希の胸鎖乳突筋
菅野美穂のほうれい線。

思春期の二大推し俳優が豊川悦司と菅野美穂なんだけど、二人がとても良くてなんか嬉しい作品でもありました。
枯れたようで闇で光る男と年増と呼ばれる女を演じる二人。

豊川悦司の腰を大きく動かさないすり足みたいな歩き方が声と同じくらい特徴あると思うんだけど、若くて細身の頃は浮いてんじゃないかなって感じの軽やかさだったのが、体の厚みが増して着物を纏ってなお軽やかで浮世離れした歩き方で良すぎて笑っちゃった。
江戸にデカくてセクシーな黒豹がいる感じ。

豊川悦司もだけど菅野美穂も声が好きで、あの震えて不安定に揺れる声を紡ぎ出す口の横のほうれい線が当たり前に昔より深いんだけど美しくて、ほうれい線っていいもんだなって思ったけど、今日も私はほうれい線にシワ改善クリームを塗ります。
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