Uえい

こちらあみ子のUえいのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.0
頭痛くて寝れないなと思いながら見始めたら、かなりの良作でひっくり返った。森井勇佑監督は覚えておきたい。

あみ子は小学生で、人の気持ちを理解するのが苦手な所があり、問題児扱いをされていた。父の再婚相手は妊娠していたが、死産してしまう。そこから家庭が壊れていくが、あみ子はよく分からずにいて、頭の中で幽霊の音が聞こえる様になってしまう。

「お化けなんかないさ」を口ずさむと音が聞こえるので、授業中にも歌う様になり、益々孤立していく。ミイラやゾンビ達と一緒に歩くシーンがあるが、「フランケンシュタイン」を見ているフリがある様に「ミツバチのささやき」のオマージュになっていて、楽しいけど悲しい気持ちになる。

そして、とうとうあみ子はお婆ちゃんの家に預けられてしまう。母のありがとという台詞が「東京物語」に似ていて、親子の通じ合わなさを描いている点では近いのかもしれない。どちらも悪くないのに解決の糸口が見えない状態は辛すぎる。どうしようもない環境に振り回される様や、あみ子の眼差しは「少女ムシェット」を想起する。

最後、海岸で再びミイラ達に会い、決別するが、此処であみ子の心の整理が着いたのだろうか。最後の姿は「大人は判ってくれない」を思い出した。この後どう成長していくんだろうと気になってしまう。
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