福福吉吉

ガンパウダー・ミルクシェイクの福福吉吉のレビュー・感想・評価

4.0
◆あらすじ◆
サムは過去に暗殺者の母・スカーレットに置いてけぼりにされ、そこから自身の暗殺者の道を進んでいた。サムはターゲットを殺害して金を取り戻す依頼を受けたが、そのターゲットが娘・エミリーを人質にされていることを知り、娘を助け出す。しかし、サムは依頼を失敗したことになり、暗殺組織「ザ・ファーム」から命を狙われることになった。サムはエミリーを連れて逃亡を図るが...。

◆感想◆
ストーリーのテンポは良く、暗殺者として活動していたサムがターゲットの娘を救うために仕事を失敗して命を狙われるというシンプルな展開の中で、過去に母を通じて懇意にしていた武器調達屋のアナ・メイたちと遭遇や母・スカーレットの消息などが絡むことにより、トラブルの規模が大掛かりになり、上手く終盤の盛り上がりにつないでいて楽しかったです。

主人公のサム(カレン・ギラン)は母・スカーレット(レナ・ヘディ)に捨てられた過去を引きずりながらも暗殺者として母の所属していたザ・ファームの仕事をこなす凄腕として描かれており、どこか感情が欠けているような印象を受けました。そのため、彼女の心の動きがあまり映像から伝わってきませんでした。しかし、8歳(と9か月)のエミリーが人質になっていることを知り、助けようと彼女が判断したのは、母と同じことをしたくないという思いがあったのかなと思いました。

そして、サムが図書館に擬態した武器調達屋で知人のアナ・メイ(アンジェラ・バゼット)、フローレンス(ミシェル・ヨー)、マデリーン(カーラ・グギノ)に再会したことで味方を手に入れます。この3人の行動や言い回しがとても独特で魅力的でした。素直に味方にならず、遠回しに味方になっていく感じが楽しかったです。

本作の敵はザ・ファームの暗殺者たちで、それ自体に個性が無くてサムたち女性軍団が無数の男性モブ暗殺者たちをなぎ倒すというシーンのためにある存在と言っていいと思います。図書館を舞台にサムたちが大暴れするアクションシーンの引き立て役であり、その狙い通り、そのアクションシーンの楽しさは本作で一番の名シーンだと思います。

サムが暗殺組織に狙われるきっかけになったエミリー(クロエ・コールマン)はとても理知的で大人顔負けの冷静さがあって、彼女がストーリーの足かせでなくストーリーの面白さをブーストさせる存在になっていて好感が持てました。サムとエミリーが共同で車を運転するアクションシーンは見ごたえがありました。

また、本作は映像をカラフルに色づけていることでシーンごとに違う印象を受けるように作られていて、その多彩な映像美を楽しめるようになっていました。

暗殺組織という男社会をぶっ飛ばす女性軍団の活躍が楽しい作品となっており、ライトな感覚で観ることのできる作品として良かったと思います。

鑑賞日:2024年4月22日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2023年8月19日)
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