ぶみ

死刑にいたる病のぶみのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.5
みんな、虜。

櫛木理宇が上梓した同名小説を、白石和彌監督、阿部サダヲ、岡田健史等の共演により映像化したサイコ・サスペンス。
24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた犯人から手紙を受け取り、拘置所に会いに行ったところ、最後の事件だけは冤罪だと伝えられたことから、独自に調査を始める大学生の姿を描く。
原作は未読。
連続殺人鬼を阿部、彼が営んでいたパン屋に昔通っていたことから手紙を受け取った大学生を岡田が演じているほか、岩田剛典、中山美穂、宮﨑優、音尾琢真等が登場。
阿部演じる犯人は拘置されているため、面会室と回想シーンのみの登場となり、その時間はけっして長くないのだが、そのサイコパスぶりは、彼と接した人が虜になってしまうのも理解できるほど完璧なもの。
と同時に、最後の事件の犯人を突き止めようとする大学生を演じた岡田の演技も、負けず劣らずの素晴らしさであり、事実上、W主演となっている。
何より、冒頭とラストで同じカットを使っておきながら、その意味合いがわかった時のカタルシスたるや、最近観た邦画の中ではトップクラス。
また、大学キャンパスのシーンで、岡田演じる主人公以外の人物の動きが若干スローとなる演出は、地味ながら秀逸。
個人的には、とあるシーンで登場したクルマが、私の愛車と同じであったのが、中々衝撃的で、嬉しいやら悲しいやら。
『孤狼の血』シリーズの白石監督らしく、随所に目を背けたくなるシーンがある反面、主演二人の演技に釘付けとなり、静かなる狂気とサスペンスが見事に両立している一作。

決めてくれない?
ぶみ

ぶみ