垂直落下式サミング

カラダ探しの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

カラダ探し(2022年製作の映画)
3.5
ある女子高校生が、見知らぬ赤い服の少女に“カラダ”を探すように言われ、クラスメイトたちと共に学校に閉じ込められてしまう。毎日、赤い服の少女に襲われ、殺されると1日がリセットされる。繰り返す時間から抜け出すために苦心する。ループから抜け出せなくなる系ホラー。青春群像生き残りゲーム。映像はクリアできれい。青春の唯一性を打ち出した不思議なホラー作品だ。なんか、一刻を争うのにイチャついたり、ループから抜け出せない状態で海に遊びに行ったり、よくわかんない映画だった。
橋本環奈が、ネクラで冴えないジミ子ちゃんだって設定にムリがあるし、はからずも僕が観測したなかでは彼女をカコイチ美人に撮ることに成功しちゃってるから、余計にリアリティーがない。
彼女のキスシーンがあるんだけど、喪女が急にイケメンにキスされてキョドるみたいな演技が、ほんと死ぬほどかわいいんだべや。こんな奇跡の人をみだりに殺すもんじゃないですよ。こういうものは愛でるもんです。橋本環奈がかわいすぎるので、下卑た目線でしかみられず申し訳ない。
2022年紅白歌合戦の司会者だった橋本環奈。その時は、ステキな赤いドレスに釘付けだった。マイクで片手が塞がってるから、拍手するとき反対の手で肘の上をぱちぱちしてて、そのたびに二の腕がぷるぷるして、もうほんと年の暮れの大晦日に、たいへん結構な縁起ものをご馳走さまですって感じでした。怒ったかんな。許さないかんな。ジェロム・レ・バーンナ!
あともうひとつ、見所は椎名林檎作詞でAdoちゃんが歌う主題歌。個人的にAdo登場は、日本ポップスの大きな転換点だと思っている。
男性歌手も女性歌手も、主流はメロディー重視な曲という平成初期からの支配的な流れがあって、それをもう一度サウンドとブルースに引っ張り戻したのが、鮮烈なデビューを飾った「うっせえわ」だった。
美しいメロディーにのせた詩的なリリックを透き通った声で歌い上げるのが売れ線。そんな時代が20年以上続いていたのがJ-POPだ。
男性歌手のバラード主流化はわかりやすくて、ブルーハーツやBOOWYの男臭いロックンロールが役目を終えたあとに、オルタナティブアイドルグループとしてデビューしてきたSMAPが広い層に受け入れられたってのが大きい。同時期の槇原敬之とかミスチルや平井堅のヒット連発が今に繋がるのだと思う。
女性歌手は、そもそもユーミンとか、古くは美空ひばりがいたから、90年代からの流行りってわけではないのだけれど、やっぱヒットメーカー中山美穂の存在は無視できないし、坂井泉水によってシンガーソングライターに求められるものが増えていった。
そんなこんなで、レベッカとかジュディマリとかのバンドブームの残党が去り、大黒摩季みたいなR&Bの人もテレビにあまりでないもんだから、00年代以降は宇多田ヒカルや浜崎あゆみをはじめ大歌姫時代となって、人の世の情念みたいなもんはアイドルソングのなかにうっすら残っていく。そんなのが僕の肌感でみてきたざっくりポップスクロニクル。
雑っいまとめで申し訳ないけど、そっちの流れの到達点が、今の髭男とかKing Gnuとかあいみょんとか幾多りらってなわけで。ここまで来ると本当に完成されたキレイな面子。作る音楽も口から発する言葉も美しい。
「リンダリンダーっ!」「鏡の中のMarionette」「ウルトラソウッ!」なんてのは、令和に居場所がないんじゃないかと思ってシュンとしていたところに、「うっせえ!うっせえ!」って鼓膜に殴り込んできたのがAdoお嬢だったのでした。これからに期待しかない。
要するに、僕が何が言いたいかというと、メロディーとリリシズムの時代に、サウンドとチャラさを武器にスターダムを駆け上がっていったORANGE RANGE伝説を、どうか忘れないでいてあげてくださいってことです。
何のハナシでしたっけか?友達っていいよね、青春っていいよねってなわけで、お疲れっす。