地方でフィリピンダブルでゲイで貧困。
気づかない世界を拒んで、七転八倒の果てに掴む愛と受容。
鬱憤を溜め込んで、つけば弾けそうな緊張感を漲らせた主人公役の堀家一希が光ってた。
マイノリティを取り巻く厳しい環境に多様な人物を配置した創作世界のラストに、現実が優しくあってほしいという制作サイドの願いを感じる。
母親との口論や絆はドランの『マイ・マザー』を思い出すけど、飾り気の無さが本作の美点。
心揺さぶられもしたし好意的に見たけれど、手持ちカメラが冒頭けっこうブレるのでちょっと気持ち悪くなった。
あとアセクシュアルの子の登場シーンだけ説明的な台詞ばかりで普段の生活とかの描写がないので、マイノリティが幸せになるストーリーを動かすためのご都合主義的に見えて気になった。
いや、マイノリティにご都合主義必要なんですけどね。
他の脇役の人物描写の奥行きに比べるとアセクシュアルの子だけ浅かったかな。