StormHunter

ちょっと思い出しただけのStormHunterのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
3.8
wowowです。
・あらすじ
2021年7月26日。34歳の誕生日を迎えた佐伯照生は、サボテンの水やりなどをしてからステージ照明の仕事へ向かい、ダンサーにライトを当てていた。一方、タクシー運転手の葉は、客を乗せて夜の東京を走っている。トイレに行きたいという客を降ろした葉は、どこからともなく聞こえる足音に導かれて歩き出し、照生が踊るステージにたどり着く…。

なかなか良作でした。

空間とキャラクターの関係を凄く上手に作っていたと思います。
タクシーの中🚕、劇場、水族館🐟
登場人物がどこにいる時はどんな人で、周りの人はどんな感じで、その空間のことをどう思っているのか。
その表現が上手かったです。

本作は、カップルが別れてから物語がスタートし、1年前くらいまで思い出を遡っていくという構成になっています。

「1年」って、ギリギリ何でもできて、ギリギリ何もせずにいられる気がします。人と別れたり、付き合ったり、仕事が変わったり、病気になったり、路上ライブのミュージシャンが売れたり、まあ色々。
若ければ若いほど、その幅も広い訳ですから、遡りの期間や順番も、とても良かったと感じました。

チラッと出てきた、「言葉って何でこんなにいっぱいあるんだろう」という疑問。
確かに、何でだろう。
もっと少なくても伝わるのに。

StormHunter的には、
逆に、伝えるためにあるんじゃない??
と思いました。

我々は脳みそを共有できないので、言葉と素直な感情の間には、どうしても壁があります。
だから我々は今考えていることを、色々な手段で伝えようとします。
"伝わる"かどうかは分からなくても、微妙なニュアンスや表情で、"伝える"努力をする。人の気持ちを考える。そうやってコミュニケーションを取って人間をやっている訳ですから、手段は多い方がいい。
だから言葉がいっぱいあるんでしょうね。

てな訳で、いい映画だったと思います!
StormHunter

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