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ホーンテッドマンションのkuuのレビュー・感想・評価

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)
3.6
『ホーンテッドマンション』
原題 Haunted Mansion
映倫区分 G
製作年 2023年。上映時間 122分。
ディズニーランドの人気アトラクション『ホーンテッドマンション』を実写映画化。
999人のゴーストが住むという呪われた洋館に暮らすことになった親子と、怪奇現象の解明のためやってきたエキスパートたちが、ゴーストたちと繰り広げる攻防をコミカルに描く。
ギャビー役をロザリオ・ドーソンが務め、心霊現象のエキスパートたちをラキース・スタンフィールド、オーウェン・ウィルソン、ティファニー・ハディッシュ、ダニー・デビートがそれぞれ演じる。 
監督は、カリフォルニアのディズニーランドでキャストとして働いていた経歴をもつという、『バッド・ヘアー』のジャスティン・シミエン。
『ホーンテッドマンション』(2003年)、『マペッツ・ホーンテッドマンション』(2021年)に続く、『ホーンテッドマンション』を題材にした3度目の映画化である。

医師でシングルマザーのギャビーは、ニューオーリンズの奥地に建つ不気味な洋館『ホーンテッドマンション』を破格の条件で手に入れ、9歳の息子のトラヴィスとともに引っ越してくる。
しかし、一見すると豪華なこの新たなマイホームで、2人は想像を絶する怪奇現象に何度も遭遇する。
そんな親子を救うため、超常現象専門家のベンを筆頭に、神父のケント、霊媒師のハリエット、歴史学者のブルースという個性的でクセの強いエキスパートたちが集結し、館の謎を解き明かそうとするが……。

家族向けのホラーには、背筋がゾクゾクするような楽しさと悪夢を誘発するような恐怖との間に、微妙な境界線がある。
ディズニー(DIS)のアトラクション『Haunted Mansion(ホーンテッドマンション)』は、この一線を上手に歩いている。
怖いのだが、子供たちが手に負えないほど怖くはなく、首のない幽霊のような不気味な面は、グロいというよりバカバカしい。
ジャスティン・シミエン監督とケイティ・ディポルド脚本による今作品は、同じようなトーンの幅を打ち出すと同時に、8分間の乗り物を感情に訴える物語に変えようとしている。
大部分は実際にうまくいっている。
しかし、既存のやや限定的なIPを使用するという制約が、彼らの努力を時折狂わせる。
ディズニーが過去に実写化した2003年の『ホーンテッドマンション』同様、ディポルドの脚本はニューオーリンズの舞台と、このアトラクションの重要な住人であるマダム・レオタとハットボックス・ゴーストを含む、いくつかの愛すべきキャラを残している。
それ以外はすべて、崩れかけた屋敷のお化けの塀の中で起こりそうなことを想像したものと云える。
本編の数年前、超常現象を信じない科学者のベン(ラキース・スタンフィールド)と出会うが、ゴーストツアーを行うツアーガイドのアリッサ(チャリティ・ジョーダン)と出会っても、彼の確信は揺るがない。
しかし現代では、風化した陰気なベンがツアーを引き継いでいる。
アリッサが亡くなり、ベンは常に喪に服している。
しかし、ケント神父(オーウェン・ウィルソン)が突然やってきて、自分が発明したカメラレンズを使って幽霊の画像を撮影し、大金を得る機会をベンに提供する。
ベンはしぶしぶ承諾し、最近この屋敷に引っ越してきたギャビー(ロザリオ・ドーソン)とその息子トラヴィス(チェイス・W・ディリオン)が幽霊が出る理由を解明するのを手伝うことにする。
ベンとケントはやがて、派手な霊媒師ハリエット(ティファニー・ハディッシュ)と地元の歴史家ブルース(ダニー・デヴィート)の助けを借りる。
彼らは一緒に屋敷の中に秘密の部屋を発見し、そこで元所有者ウィリアム・グレイシーの霊が、水晶のオーブに閉じ込められたマダム・レオタ(ジェイミー・リー・カーティス)を探すよう促す。ハットボックス・ゴースト(ジャレッド・レト、不可解)という影の人物が屋敷を支配下に置き、もう一人の死者の魂を追っている。
彼を止めるのは生きている者たちであり、その結果、幽体離脱やカーチェイス、ハディッシュが出演シーンをすべて盗むなど、異世界の冒険が繰り広げられる。
しかし、今作品の核心は悲しみである。
ベンは、他の数人の登場人物と同様に、悲しみに苦しんでいる。
ハリエットは、人が死ぬと安らぎのある死後の世界へ行くか、その間の領域に閉じ込められるかのどちらかだと説明する。
ここに登場する幽霊たちは、ただおかしな浮遊体や、うつろな目をした不気味な花嫁ではない。
彼らはかつて、物語や希望や愛を持った人間だったのだ。
ディポルドは、たとえIPが必ずしも適合しないとしても、ありきたりの幽霊の概念を超えて、より深いテーマを探し求めた。
ハットボックス・ゴーストに立ち向かうクライマックスのラストシークエンスは、誰かを失ったとき、なぜ我々は他の人たちを締め出すことができないのかを考える。
人とのつながりが私たちを強くするという、心温まる思いがけないメッセージ(幼い子供たちの頭には届かないだろうが)。
今作品はホラーに慣れてる小生にとっては特に怖くはなかった。
少々ビクビクする場面はいくつかあるが、それはこの素材に合っている。
その代わり、シミエンは多様で面白く、視覚的にも興味深い、思慮深い映画体験を作り上げた。 乗り物の完全な再現を期待する向きには向かないやろけど、これでよかったのかもしれない。
アニメのようなシーンがいくつかあるものの、シミエンと彼のキャストは今作品を面白く、奇妙に楽しい時間へと昇華させているかな。
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