まずは日本公開が危ぶまれ、やっとの想いで鑑賞できたのは感謝したい。
その本作であるが、情報量は「テネット」とは違った意味でかなり多く、多様化されているが、個人的には好きになれず再鑑賞の意欲もわかないといった、エンタメ要素をほぼほぼ排除した新たなステージのノーラン作品となっている。
その要因としては、政治的駆け引きが色濃く反映され、プロメテウスからの引用、物理的科学的用語の多用、会議シーン、歴史的背景、国民性の問題など難解な要素が重層的に使われている。
登場人物も非常に多いので、マシンガントーク的に会話が途切れないシーンが目立つ。
原爆については中立の立場をとっているが、必要だったと思われる描写が省かれており、満足感に欠ける。
唯一といってもいいくらいのエンタメ要素としての超感覚の描写がさりげなく、垣間みられる程度。
ノーランのトレードマークである複数軸同時進行、時間軸シャッフルは当然のごとく使用されているが、機能しているとは言い難く、余計に複雑さの度合いが高まっている。尺長さ気になる。
アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、編集賞、撮影賞、作曲賞。