Monsieurおむすびさんの映画レビュー・感想・評価

Monsieurおむすび

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太陽がいっぱい(1960年製作の映画)

3.8

#太陽がいっぱい
快楽主義の青年フィリップとトムの関係が、元々上辺だけだとしても、アイデンティティを侵食していく人間のドス黒い感情の推移をこうも繊細かつ的確に表現するなんてさすがルネ・クレマン。
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若武者(2024年製作の映画)

3.7

#若武者
一見、普通な。いや、実際に普通な若者たちの無刺激な日常と、内包する不安。
過去や情報を徹底して排した、会話と映像と音響にフォーカスした作劇は、純粋過ぎる故に、先鋭的過ぎる故に示唆に富んで思
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ユニコーン・ウォーズ(2022年製作の映画)

3.9

#ユニコーン・ウォーズ
ヤバい映画だ。漫画家でもあるらしい監督の漫画や短編アニメが見てみたいと、素直にそう思わされる怪作。
神話からジブリまで、古今東西の現実と創作をごった煮にして描くテディベアとユ
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バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)

3.7

#バティモン5
民主主義の象徴トリコロールを掲げる国の理不尽な現実。
イメージで担がれる白人男性政治家の強硬政策をきっかけに、融和と排斥と怒りのバランスが崩れ、臨界点に達する移民街。
「人が生き死に
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.0

#デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション #デデデデ
世界の終わりもなんのその、恋に友情に日常を抱きしめる青春ディストピア後章。

人類滅亡の蚊帳の外、恋だ友情だサークルだとバカ正直に日常を
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幻の蛍(2022年製作の映画)

3.7

#幻の蛍
何を聞かれても本音より頭の中で最適解を探して探して、結局当たり障りのない返答をしてしまう。
中学生って親や先生に対して、距離あけるからそういう対応が当たり前。
主人公 かなたもそういう年頃
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祝日(2023年製作の映画)

3.9

#祝日
おもしろくて可能性を感じる作家性と映像言語。私も伊林侑香監督を信じてみることにする。

父は自死、母は出家で独りぼっちで生きる中学生 希穂は、無為の日々のなかで自らも命を絶つことを選択。
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家出レスラー(2024年製作の映画)

3.7

#家出レスラー
団体も選手も、いつその道が閉ざされるかわからない女子プロレス業界で、ポンコツからアイコンへ駆け上がった家出少女のサクセス。
映画としてのウェルメイドを超えて、誰がどうみても無謀な挑戦
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恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

3.8

#恋するプリテンダー
最高の出逢いと最低な別れ、リゾート地での身内の結婚式、互いの元パートナー、過干渉な親世代…。
手垢塗れのこれでもか!な王道プロットは、90年代ハリウッドを彷彿とさせるみんな大好
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悪魔の呼ぶ海へ(2000年製作の映画)

3.4

#悪魔の呼ぶ海へ
キャスリン・ビグローということで鑑賞。
ショーン・ペンも大人の色気ムンムンだが、ハマらず。
19世紀に起きた実際の惨殺事件を調べる現代の記者を主人公に、2つの時代の女性たちがリンク
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.7

#碁盤斬り
元ネタ落語も囲碁ルールも知らず、物語としてサプライズもカタルシスもないが、白とも黒とも言えない善悪のグラデーションがある人物造形と演じる役者陣の渋さが良く、技術面も多彩な撮影と行燈を意識
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ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

3.8

#ケープ・フィアー
元服役囚と担当弁護士が繰り広げる法と正義を排した加害のシーソーゲーム。
奪われていく恐怖に軸足を置きながら、あくまで中立な視点が物語をより深く、面白おかしくしている。
グレゴリー
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.1

#ありふれた教室
世代も背景も主張も違う、個が共生する学校という小さな国家で、不確かな疑惑に行使した正義を巡って生まれる混沌スリラー。

加害を疑われた側があまりにも強烈に否認することで、被害者や周
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

3.7

#胸騒ぎ
積み重なる違和に許容と拒絶を往来し、やがて愛想笑いではやり過ごせないドツボへ。
理想的な人の良さが災いして、ちょいちょいヘタこいてるデンマーク夫に苛立ちと共感を覚えるのは、私もそういう場面
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水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)

3.6

#水深ゼロメートルから
体育の補習授業にたまたま居合わせた女子高生たち、特別仲良しってわけでもない彼女たちの微妙な距離感から遠慮がちに吐露される女性の生き辛さや処世術。
水のないプールに男だらけの野
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トラペジウム(2024年製作の映画)

3.5

#トラペジウム
元アイドルが現役時代に執筆した原作だと言うなら踏み込んでるなとも思うけど、内容としては至極真っ当な青春群像であって、「アイドル」を扱った特性はあまり感じず。

とはいえアイドル時代に
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8人の女たち(2002年製作の映画)

4.0

#8人の女たち
クローズド・サークルで紐解かれるのは殺しの真相ではなく、女たちの深層。
申し訳程度に登場する男の死をトリガーに、暴かれるそれぞれの欲と秘密に湧き立つ怒りと笑い、愛のような憎悪のような
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ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版(1975年製作の映画)

3.7

#ピクニックatハンギング・ロック
不明瞭であることが想像力を最大限引き出させる納得のカルト作。
厳格な宗教や因習による締め付けへのウーマンリブと性の通過儀礼。大人の女性へと孵化しようとする少女たち
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不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)

3.8

#不死身ラヴァーズ
両想いになると相手が消えてしまう。トリッキーな設定を足がかりに、「好き」の万能を紐解いていく松居大悟監督らしいファンキーな怪快作。
無限大のエネルギーを得られたり、その感情に溺れ
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正義の行方(2024年製作の映画)

4.0

#正義の行方
女児2名が殺害された「飯塚事件」
物証のないまま逮捕された男は、容疑を認めることなく起訴され、裁判でも死刑が確定し、異例の早さで執行された。
事件から30年、当時、捜査に尽力した警察、
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またヴィンセントは襲われる(2023年製作の映画)

3.9

#またヴィンセントは襲われる
目を合わせると有無を言わさず襲われる男の受難が転じて、目を合わさずにはいられない男女の愛の流転劇へ。
アイデア一発勝負かと思いきや、軸をずらさずツイストをキメるハンドリ
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リバウンド(2023年製作の映画)

4.1

#リバウンド
評判良かったので、それなりには面白いだろうとか思っていた私を締め上げてください。嘘みたいな超王道青春スポ根の実話にユーモアと情感を加えて泣き笑い。
廃部寸前のバスケ部を任された新人コー
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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

3.8

#猿の惑星キングダム

新世代ノアが世界と歴史を知り、ヒトに触れ、歩み始めるその未来。
シリーズの特性たるあの衝撃ラストから続く一貫した実世界との地続き感に、最先端VFXと繊細で個性豊かな演技が齎す
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シティーハンター(2024年製作の映画)

3.8

#映画シティーハンター 
原作の持つシリアスとギャグのバランスと本質を、独自ブレンドで現代に蘇生。
アクションの構成とキレ、鈴木亮平の身体性、どれを取っても納得の最良実写化。
新宿のポートレートでも
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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.1

#マリウポリの20日間
街を包囲され、戦時下に置かれた民間人の最前線の惨状。ジャーナリズムを映画で遺すことを強いられる制作陣のメッセージと葛藤。凄まじい影響力と説得力が、欺瞞の世界を斬る必然。
「こ
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人間の境界(2023年製作の映画)

4.0

#人間の境界
生命を湛える鮮やかな深緑の森は、人為的な境界線によって、暴力と差別と拒絶の世界へと姿を一変させる。
その一線を超える者、護る者、支える者の多角的視点とモノクロ映像の詩情が、目紛しいドラ
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殺人鬼の存在証明(2021年製作の映画)

3.8

#殺人鬼の存在証明
実在の殺人鬼アンドレイ・チカチーロの事件を彷彿とさせどころか実世界とリンクさせつつ、時系列もシャッフルさせる曲がりくねったストーリーライン。
難解さを醸すだけじゃなく、どこか観る
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無名(2023年製作の映画)

3.9

#無名
戦いから降りることも、帰る場所もない生粋のスパイたちのネクタイに迷う人間味、紫煙と共に吐き出す本音。ややもすると淡白な歴史アクションになりそうだが、そういった演出、美術、ライティング、カメラ
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バジーノイズ(2023年製作の映画)

3.6

#バジーノイズ
青春音楽映画ではあるけれど、核になるのは「青春」でも「音楽」でもなく、もっと巨視的な人のうつろい。
行き先も定かではない人生という旅路を、煩わしくも誰かと振り回し合いながら歩く楽しさ
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.8

#青春18x2 君へと続く道
「love letter」の切なさと
「藍色夏恋」のときめき
ミスチルと岩井俊二とスラダンと。
時代と国境を越えて愛される作品に、それに伴う多くの人の記憶と不可逆な時の流
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アモーレの最後の夜(2023年製作の映画)

3.7

#アモーレの最後の夜
#イタリア映画祭2024

奥さんの従兄弟が裏稼業という理由で出世できない理不尽ものみ込み、実直に頑固にやってきたはずの刑事フランコ・アモーレが、中国マフィアのボスを救った縁
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ルボ(2023年製作の映画)

3.7

#ルボ
#イタリア映画祭2024
移動型民族イェニシェの男ルボの苦難の半生を通して、現在も続く戦争と民族主義の業を描いたドラマ。
恥ずかしながらこんな歴史を知らずにいた。
先日鑑賞した「エドガルド
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別の世界(2024年製作の映画)

3.6

#別の世界
#イタリア映画祭2024

都会での教師生活に嫌気がさして、過疎化が進む田舎へやってきた教師が廃校寸前の学校を救うコメディ。
ジャンルはコメディだが、テーマはちゃんと社会問題への提起で
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人生の最初の日(2023年製作の映画)

4.0

#人生の最初の日
#イタリア映画祭2024

人生に絶望し、自殺を図った4人のもとに現れた謎の男に促され、誰の目にも写らない、自分がいない世界を覗く1週間。

娘の死を受け入れられない母親。
下半
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そう言ったでしょ(2023年製作の映画)

3.5

#そう言ったでしょ
#イタリア映画祭2024
酷暑のローマを舞台に、救いを模索しながら同じ過ちを繰り返してしまう「依存者たち」が交錯する群像劇。
アルコール、承認欲求、過食、親の愛、信仰…。人が求
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まだ明日がある(2023年製作の映画)

4.1

#まだ明日がある
#イタリア映画祭2024
市井の人々の戦後の暮らしを捉えたネオリアリズモの話法で綴られる女性の権利の源流。
それでいて模倣に留まらない音楽の使い方やDVの描写に監督デビュー作とは
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