cyphさんの映画レビュー・感想・評価

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蛇の道(2024年製作の映画)

3.7

たまたま目について試写会というものに初めて応募したらスルッと当たった ラッキー オリジナルを大幅に超えているかと言われると、香川照之のあの溢れんばかりのヤバい奴感(でもなんも考えてなさそう感)が失われ>>続きを読む

あんのこと(2023年製作の映画)

3.4

河合優実も河井青葉も好きだし快演だったと思う、佐藤二朗もよかった、よかったけど、実話だろうがなんだろうがさすがにジェンダー表象に悪意がありすぎる、憤りをミソジニーに帰着させてすっきりさせる前に構造を語>>続きを読む

からかい上手の高木さん(2024年製作の映画)

3.6

小豆島出身の夫とさすがに観るかと鑑賞 もちろん全然not for usではあるのだけど、小豆島ロケが素晴らしくて結構ふつうに泣いてしまった 夫の母校だし、なんなら夫の代からいる名物教師が映ったりもして>>続きを読む

密使と番人(2017年製作の映画)

3.7

ファーストカウ公開時にやたら三宅唱を見かけるなと思ってたけど理由がよくわかった 時系列としては逆だと知ってなお和製ファーストカウすぎる 自然光や雪頼りでよく撮るなって楽しかったし音楽のアンバランスなフ>>続きを読む

やくたたず(2010年製作の映画)

3.6

ちょっと夢すぎたかも 三宅唱ってヒップホップのイメージだけど最初期作のこれはかなりロックみを感じた 北海道の高校生のやや怪しいバイト奮闘記 三宅唱はこのときから職場萌えのひと、特にはぐれものたちが集っ>>続きを読む

八月八日(2016年製作の映画)

3.8

石橋静河の声が好きなんだな〜わたしは となる ソファの上で起きて歯を磨いてベーコンエッグを作って食べて、手元のPCから印刷した脚本(カップルの別れ話)を読み上げては改稿する ほんとうにいい声だ 別れ話>>続きを読む

長浜(2016年製作の映画)

3.7

四宮秀俊のカメラが好きなんだな〜わたしは となる 青ワンピースを着てスニーカーを脱いだ石橋静河が海辺で踊るだけ、と言ってはそれまでだけど、作品のほとんどの時間はなぜか踊りと波との調和が完璧に整うまでの>>続きを読む

THE COCKPIT(2014年製作の映画)

4.5

むっちゃ楽しい 楽しすぎる ヒップホップのことは何もわからないけど「これまじかっこいい」「さっきのよかったじゃん」「これは置いときます」と知らない判断軸でレコードが精査されていく過程からもうずっと楽し>>続きを読む

Playback(2012年製作の映画)

3.8

コロナ禍のサンクスシアターすべりこみで観ようとしたら一瞬で寝てしまって結局観れなかった、以来のリベンジ 確かに目を開いて観てたはずだけど結局夢を見てたみたいだ 地元の友人の結婚式に向かっているはずが高>>続きを読む

エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K(2005年製作の映画)

4.0

前回カイロの幼少期の記憶を辿りバイオリンをバックに父ウィリアムサイードの残したフィルム映像が流れ…のあたりで眠りに落ちてしまったので 『エドワード・サイード ある批評家の残響』に目を通した上でコンディ>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.4

今まで観た黒沢清の中でいちばん素直に面白かった ほぼ北野武だけど肌触りの妙・建築の妙・不気味なものの肌に触れる心地がはっきりと黒沢清印でこういう大らかなストーリーラインに沿って技巧を楽しむ映画ならもっ>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

3.8

説得力のある廃墟を見つけるのが上手オブザイヤーすぎ 「説得力」っていうのが黒沢清を語るキーワードなんだろうな 誰しもがこの狂人はフェイク、この天才もフェイクで、この廃墟もフェイク、女の顔を真っ赤に染>>続きを読む

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.7

筋肉隆々な外国人部隊の男たちがアフリカはジブチの青空と乾いた砂との間で訓練したり洗濯したりアイロンかけたり穴掘ったりしてるだけの映画……なのにこのむせかえるような官能は一体なんなんだ!延々と続く美しい>>続きを読む

SELF AND OTHERS(2000年製作の映画)

4.3

寝ては覚めても以来気になってた作品かつ、いろんな感想眺めては一体どんな作品なんだ?と詩的なブラックボックスに隠された作品でもあったけどなるほど タイトルの通り、この映画は牛腸茂雄の写真集『SELF A>>続きを読む

阿賀の記憶(2004年製作の映画)

3.5

阿賀に生きたことのある人にしか伝わらない域に達していて、散漫というよりこの散漫な目線しかもう注ぎようがないのだと実感する ヤカンを焚べる囲炉裏が加藤さん家の囲炉裏なことに、10年分歳を重ねられた娘さん>>続きを読む

花子 4K(2001年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画としての良し悪しを別にして、単純に実家つらいセンサーライトがびかびかに光ってつらかった こだわりが強く毎日癇癪を起こす花子を「食べものアート」の作家として大事に愛情を注ぐ母、辛抱強く付き合う父、長>>続きを読む

まひるのほし 4K(1998年製作の映画)

4.7

これも観てよかった 障害者アートの映画、と聞いてついたじろいでしまったのも正直なところだけど、『阿賀に生きる』を観てこの人のカメラは水平に真摯に彼らをまなざしてくれる、と安心して観れたのもよかったし、>>続きを読む

阿賀に生きる(1992年製作の映画)

4.9

オールタイムベストドキュメンタリーだ 人間、とかかつての日本人、とかって大きな主語で語ろうとすると途端に零れ落ちてしまうような個別具象の煌めきが充満している 地方の老人を、しかも公害被害者である彼らの>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.2

貴重な土曜の昼に(しかも公開2日目で)朝にはほぼ満席になってたこの映画をわざわざ観にくる感度を持ち合わせつつ最後までポップコーン食い続けられるモンスターが場内に何人もいて呻いてしまった 僅かな音に耳を>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.5

先日友人とこの映画の話になったけどいくつかの印象的なシーン以外全然覚えてなくて見返したいなと思ってたら午前十時の映画祭でやってることを知って(ありがとうございます)6年ぶりに鑑賞 やっぱり前半の迷いな>>続きを読む

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

4.4

気まずさを描く映画が好きだけど、自分と映画との間に気まずさの湧き起こる映画も好きだということを知った ニナメンケス自身の作品は手放しで面白いとは思えなかったけど200もの古典から現代までの名作映画を引>>続きを読む

ランデヴー(1976年製作の映画)

3.5

記録しそびれてたのを今更記録 『男と女』の特典映像かなにかで見た気がする、ゲリラ撮影ってほんとにやったもん勝ち 『男と女』のジャンルイトランティニャンにもハラハラさせられまくったけどとにかく早朝のパ>>続きを読む

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

3.6

真っ赤なマニキュアがてらてら光る長い爪、カジノディーラーと訪問介護の仕事をはしごする彼女の日常、老人の背中をタオルで拭う手つきの慎重さ、フィアンセを殴って怒鳴る男と殴られる女との美しいガーデン・ウェデ>>続きを読む

フィフィ・マルタンガル デジタル・レストア(2001年製作の映画)

3.8

あんま面白くなさそうだから去年は見送ったけどこれ観たらロジエ長編コンプリートだな、と思ってメーヌオセアン(再見、変わらずラブすぎ)と二本立てで鑑賞 序盤わりとうとうとしてしまったけど舞台現場をいったん>>続きを読む

(1960年製作の映画)

4.6

面白かっこよすぎて気絶してしまいました ブレッソン『抵抗』しかり、ぱっと見アメリカンその実しっかりフレンチな脱獄モノってなんでこうも面白いんだ 脱獄計画のための所作、工夫のひとつひとつが殺人的に面白い>>続きを読む

ホース・マネー(2014年製作の映画)

3.7

ペドロコスタマラソン④ ヴェンドゥーラだしコロッサルユースくらい入っていけるかなと思ったら途中急にMVになったりエレベーターで黒塗りの兵士が出てきたりと困惑も多い作品だった 彼が勤めていた廃工場で監督>>続きを読む

ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)

3.7

ヴィタリナ、コロッサルユースに続いてペドロコスタマラソン③ リスボンはフォンタイーニャス地区にカメラを持ち込んだ最初期の作品だけど、地区を屋外から映すショットはほぼ現れず、基本的にはヴァンダとその友人>>続きを読む

現金に手を出すな(1954年製作の映画)

3.7

ジャン・ギャバンマラソン③ わたしたちのショーを見てってよ、という若い女たちの誘いに「12時半越えたらしんどい」とぼやき、命を狙われてる相棒を隠れ家に案内したらちゃんときれいに畳まれたお揃いのストライ>>続きを読む

霧の波止場(1938年製作の映画)

3.7

ジャン・ギャバンマラソン② 終始ギャバンに駆け寄り続ける犬がかわいい 流れ着いた不思議な宿屋「パロマ」(なんとなく笑ゥせぇるすまん的な怪しさのある場所でいい)にて「こっちは2日間飲まず食わずなんだ!」>>続きを読む

大いなる幻影(1937年製作の映画)

3.8

ルノワールマラソンの続き、ジャン・ギャバンマラソンのはじまり ドイツ軍に捕まったフランス人捕虜たちの収容所暮らしと脱獄計画が主なストーリーだけど、戦争モノとしてあり得ないくらい敵意らしい敵意のない世界>>続きを読む

草の上の昼食(1959年製作の映画)

3.7

なんだこれは???となった 人工授精推進派の気鋭科学者兼欧州連合大統領候補の男と、自然豊かなプロヴァンスのあどけない農家の娘とのドタバタ恋愛 みんなの理性を吹き飛ばしちゃう魔法の風とかいうちょっとえっ>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

3.9

『パリでかくれんぼ』が本作っぽいと聞いて 公爵家の狩猟パーティとかいう庶民に一切共感させない舞台設定でめくるめく男女のトンチキ馬鹿騒ぎ しかしどれだけ途方もなく本能的な営みに見えても規則はあり、その夜>>続きを読む

サンセット大通り(1950年製作の映画)

3.8

ラストの階段を下りていくショットの凄みったら こんなことが実際たくさんあったんだろうな〜と感心して見終えた後キャストについて知ったら現実に寄せまくりでびっくりした 奇跡の作品じゃん 無声時代の大スター>>続きを読む

修道女(1966年製作の映画)

3.7

リヴェット×アンナカリーナ繋がりで『パリでかくれんぼ』と勝手に二本立て 『アンナカリーナ 君は覚えているかい』観たときから気になってたけどいつの間にU-NEXT入ってた 冒頭に小説の映画化であって史実>>続きを読む

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)

4.7

いままで観たリヴェットの中でダントツ好きだった 自然光の下で撮影された不揃いながらに(不揃いだからこそ)伸びやかなダンスでしか得られない栄養というものがある リヴェット作品のわりに現実離れした空想ファ>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.8

映画の原点がハッピーアワーの人間なのでキャストに菊池葉月さんの名前を見たときからそわそわしていた 直近で最もハッピーアワー度数の高い作品で、本読みの手触りや独特な会話の開け方に胸をいっぱいにしながら観>>続きを読む