yadokariさんの映画レビュー・感想・評価

yadokari

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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

子供の人権とか子供を理性的に守ろうとする教師(むしろ社会はそういう方向ではないのかもしれない)が陥る罠みたいな映画。この女性教師はけっこう良い教師だと思うのだが理詰めすぎるのかな?子供は感情的に走るも>>続きを読む

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

「マンティコア」の意味がわかればもう少し面白かったかもしれない。怪物でもいいんだけど神話上の魔獣というような。ゲームデザイナーの男がゲームの魔獣制作中に隣の男の子を火事から救い出し男の子の容姿に惹かれ>>続きを読む

葛城事件(2016年製作の映画)

3.8

三浦友和の父親は「人間失格」どころか「家族失格」にもなっている。4人家族で自殺あり殺人あり壊れた人ありだが、なんとしぶとく生き残ったのだ。この結末も終わりにしない問いとしていいと思う。色々考えさせられ>>続きを読む

危険な女(1959年製作の映画)

3.6

松本清張の映画を探していたら、日活でこの映画の評価が高かった。日活のロマン・ポルノのポルノがない時代か?1959年製作ということで当時の風俗が興味深い。ロケ地も下町のようで、高度成長期前の日本の姿なの>>続きを読む

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)

4.0

中絶する映画はよく見るが(昨日の映画も中絶映画でもあった)出産する映画はめったにない。これまで記憶にあるのは、先日観たのは死産で裁判沙汰になる映画だったし、これほど子供が必要とされているのになにゆえ出>>続きを読む

死霊魂(2018年製作の映画)

4.0

文化大革命で「右派」とされた人びとが僻地の砂漠での再教育(農業開拓)、そこでの待ち構えていた飢餓と過酷さの証言集。三部八時間は正直長い。しかしワン・ビン監督はこの映画を今撮らねばならない理由があった。>>続きを読む

青春(2023年製作の映画)

4.0

経済発展する中国の長江の下流の中小企業の裁縫(ミシン)工場を描いたドキュメンタリー。日本だと60年代後半から70年代初頭の下町工業地帯のイメージか。出稼ぎ労働者と言っても就職難の若者が主婦層に混じって>>続きを読む

AVA/エヴァ(2020年製作の映画)

3.4

ジェシカ・チャステイン主演だった。その頃はジェシカ・チャステインも知らないで観たのだが、面白かった。『ニキータ』みたいなハリウッド版だけど、オープニングで最初の暗殺の後にクレジットが出るのだが、その中>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

3.5

社会からはみ出したヤクザ映画。中小企業的になった組織の中で生き残りをかける金がすべてであるというアニキと情の中に行き方を見出す辰巳の対立。その中にアナーキーな半グレというヤクザの論理を超えた「殺し」に>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

4.0

関心を持って貰おうと点数高めだが、無関心領域の人にどう勧めたらいいのか悩む映画だ。

アウシュヴィッツに関心がある人はいいんだけど、まあ、アカデミー賞取っているし斬新なホラーのようだよと勧めればいいの
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ミッシング(2024年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

石原さとみのドキュン演技が話題になる映画だけなのか?ちょっと違うと思ってしまったのは、この映画は結局何が言いたいのかよくわからなかった。それはTVニュースのジャーナリストのツッコミが足りないような気が>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.2

ダニエル・シュミットを二本立てで観たのだ。『デ ジャ ヴュ』は爆睡したので、こっちは寝ないようにしようと思ったのだが寝てしまった。

ただこっちはコメディ要素があり、こっちの方が面白いかもしれない。ス
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デ・ジャ・ヴュ(1987年製作の映画)

2.5

爆睡していた。夢を誘う映画とか。確かに現実と過去の歴史が交互するのだがその歴史を知らなすぎた。スイスの英雄なのだろうか?彼を暗殺したのは誰だというミステリーのような夢映画。

好きな人はこういう幻想映
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.1

フィンランドのトレイン・ムービー(ロードムービー)。フィンランド映画といえばアキ・カウリスマキだが、そんな感じの映画。異文化交流を最初は不条理的に描いていくのだが、旅を続けるうちに親密さを増していく。>>続きを読む

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)

3.7

ボブ・マーリーは好きだから音楽だけでも身体が動き出してしまうほどレゲエ好きだった。その前に観たラスト・ライブ映画が良かったので期待していた。

ただ映画は実物よりもかっこよすぎかな。それは制作者に妻や
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(1957年製作の映画)

3.4

その前に観た『張り込み』と同じ原作であり刑事ものミステリー。ほとんど同時に作られて、大木実が主演なのだが、ヒロイン役がそれぞれ岡田茉莉子と高峰秀子。二人は成瀬巳喜男『浮雲』で共演していた。それぞれの役>>続きを読む

碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

予告編を観て面白そうかなと思ったが予告編を超える面白さはなかったような。藤原周平の映画を期待したのだが、原作者が違った。

まず草彅の演技は過剰過ぎるかなと思った。そして悲劇になるかと思ったらご都合主
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.2

アイスランドにキリスト教布教に行くデンマークのインスタ牧師の話だが、アイスランド人には悪魔とか言われる。『ミッション』とか『沈黙』とかキリスト布教映画はあるが、ここまでへんな牧師の映画は見たことがなか>>続きを読む

マリア 怒りの娘(2022年製作の映画)

4.0

ニカラグアというアメリカの繁栄の裏側の中南米の貧困。ゴミ集積場に棲む少女の寓話。少女はゴミを漁りながら暮らしている。かつては自然の中に生活出来るものがあった野生という姿。ゴミの中には有害物質も含まれて>>続きを読む

水平線(2023年製作の映画)

3.5

父性愛なんだろうけど、凝りすぎたストーリーのように感じる。娘はさっさと父離れせいと。まあ二人だけの家族という感じなんだろうけど、福島の事故を引き摺り過ぎるのも自己中なだけな気がする。そういう村社会の意>>続きを読む

張込み(1958年製作の映画)

4.1

松本清張原作の映画。野村芳太郎監督+橋本忍脚本は数々の清張映画の傑作を作ってきた。その始まりとなる映画だった。助監督に山田洋次なのである。地方ロケのスタイル。ゴミゴミした地方都市の薄幸の主婦が温泉地で>>続きを読む

ガーダ パレスチナの詩(2005年製作の映画)

4.0

イスラエルのガザの侵攻は今が一番酷い時だが、この映画はその前の2000年代に撮ったものだ。ただ通常の反戦映画のドキュメンタリーと違い、タイトルやポスターに描かれているパレスチナの人々の笑顔があるように>>続きを読む

ジュリアン(2017年製作の映画)

3.5

離婚調停で父親と会わなければならない11歳のジュリア君が辛すぎる。姑息な手段で母の電話番号を聴いてきたり、新居を教えるように脅したり。それでも父親のパワハラに為す術もなく絶望する日々。父親の除け者感も>>続きを読む

バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

3.8

インド人のおじさんはヒンズー教でパキスタンの少女がムスリムであることから、インドとパキスタンの対立の歴史やらその国境をパスポートもなしに密入国していくおじさんの信念。ヒンズーの神々の信念。それを喜劇的>>続きを読む

人間の境界(2023年製作の映画)

4.1

こういう映画を観るひとはどういう人なんだろうか考えてしまう。自分もその中に含まれるのだが平常心ではいられない。

ポーランド側の妊婦が夫からそういう映像を見せられて、そんな映像を見ないほうがいいという
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

日本文化へのリスペクトがある台湾映画なので高評価なのは頷ける。『Love Letter』とか好きな人は感動するだろう。しかし(これから先はネガティブ評価になるから読まない方がいいかも)、映画をデートで>>続きを読む

正義の行方(2024年製作の映画)

4.1

調査報道の映画。調査報道の重要性は、そのときの感情でニュースを観て白黒判断してしまうが、時間が経つに連れて判断が冷静になっていく。この事件も幼女誘拐殺人事件として痛ましい事件ならばこそ、素早く犯人逮捕>>続きを読む

あまろっく(2024年製作の映画)

3.4

大阪人情喜劇で鶴瓶師匠の映画かな。それほど新しさはない安心の家族映画。その防波堤が「あまろっく」という堤防なのだが、震災と台風を絡ませた人情喜劇なので、日本人の泣きポイントは高いかな。

ただどうしよ
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グスコーブドリの伝記(2012年製作の映画)

3.3

『春と修羅』から『銀河鉄道の夜』の中間ぐらいの作品か。『銀河鉄道の夜』のテスト版みたいな映画で、東北の飢饉と妹の死から科学を勉強して、人類を幸福にさせるドラマだけど話の作りは飛躍がありすぎたりして、詩>>続きを読む

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

3.7

アラスカの「黄金郷」時代を描いたチャップリンの「笑劇」。大晦日から正月にかけてみんなでTVを観た記憶がある。食べ物が尽きて靴を食べるシーン!とか。チャップリンが美味しそうに食べるのを観ながらおせちとか>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「悪は存在しない」というタイトルから親鸞の「悪人正機説」を連想した映画だった。それは自然の描写力が和歌のように感じたのであった。木々の梢や鹿の鳴き声や月の姿。それらはまさに西行の和歌であるような(ちょ>>続きを読む

ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

妻(彼女?)を殺された男が殺した男に何度も復讐するがそのループから逃れたいという気持ちが犯罪者の男と共有していくような精神的な治癒(宗教的なゲームか)のようなのだが、輪廻から解脱するということのような>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.5

マリウポリに地獄を見る。誰がこの戦争を止められるのか?戦争の姿がここにある。無慈悲な神なき世界だ。テレビでながら見していたが、ことの重大さはただ見るしかないのだ。世界の滅びの姿を。映画館での一時間半を>>続きを読む

すべて、至るところにある(2023年製作の映画)

3.5

映画専門学校の人がお勧めする映画のような。一般的なエンタメ映画とは趣が違う。ロードムービーだということだがボスニア紛争時のことかと思ったら現在の紛争を描いている。いまある危機的な世界とオブジェとしての>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.1

薬物中毒を告発する写真家ナン・ゴールディンの活動と半生のドキュメンタリー。製薬会社を経営するサックラー家は慈善活動家でもあり、美術館や芸術活動に寄付をしているが、自社のピオイド系の鎮痛剤オキシコンチン>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

2.9

ソフィア・コッポラで期待したけど誰に共感したらいいのかよくわからなかった。プリシラは最初からプレスリーのアクセサリーみたいなものだし、そうなる結果が予測出来なかったのは幼かったということなのか。プレス>>続きを読む

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