いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

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悪は存在しない(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から広角レンズが追う、樹木を見上げながら移動していく映像のパースペクティブ感があまりにも美しくて溜息が出そうになった。

根っからの悪人は居らず、みな自分が生きていくために精一杯足掻き抗ってい
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

5.0

19世紀イタリアが舞台となる史実ベースのドラマ。幼少期にエドガルドがカトリックの洗礼を受けてしまった何とも不条理で不運な経緯。ボローニャの家族の側から見知らぬローマの教会へ拉致された幼い少年エドガル>>続きを読む

メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

4.0

ヘア・コンテストの直前に起きた美容師の変死事件を解くミステリー。次から次へと人物の間を渡り移っていくカメラが事件真相を詳らかにしていくかのような不思議な感覚。ワンカット風ワンショット撮影の映像では割>>続きを読む

ホビッツベイ(2023年製作の映画)

2.0

水辺に通じている巨大な地下貯水タンクという設定に惹かれたが、見通し悪いうえに構造を生かした物語展開になっておらず残念。クリーチャーの造形や生態も詰めが甘くて苦笑レベル。また主人公らの生死を賭けた作戦>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

愛娘が失踪し世間の風当たりにおかしくなっていく母親・沙織里(石原さとみ)と、妻を支え思いやりながらも冷静でいようとする夫(青木崇高)のやり取りがとても自然で、2人に同情や共感を抱かずにいられない。街>>続きを読む

湖の女たち(2023年製作の映画)

4.0

原作未読。抗えぬほど大きく不当な力で正義を為す力を奪われ、自由な精神の流れを塞がれたとき人間はどう対処し、どう変わっていくのか?不快な人間の変容した姿、為す術もない非力な人間の心をまざまざと見せつけ>>続きを読む

鬼平犯科帳 血闘(2024年製作の映画)

4.0

初鬼平犯科帳。去年劇場で見た「仕掛人・藤枝梅安1・2」がとても面白かったのでこの新作時代劇にも触手が伸びた。物語はシンプルだけれど分かりやすく丁寧に作り込まれていて好感。10代目松本幸四郎は流石、台>>続きを読む

ベルリン・天使の詩 4K レストア版(1987年製作の映画)

4.0

若い頃に見たときは良さが分からず鑑賞中に何度か寝落ちもした(多分、あの詩のような台詞のせいもあったかと思う)。今回4Kレストア版を劇場で見直すことができて満足。モノクロ映像の鮮明さが嬉しい。物語自体>>続きを読む

NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

3.0

ファッション・デザイナーのクリスティーンと、突然現れて彼女の不調を治すと言って家に居座るダイアナとの関係が解き明かされるサイコホラー。今どきの社会問題を下敷にしたような因縁。他作品ではあまり見た記憶>>続きを読む

フラッシュダンス(1983年製作の映画)

4.0

まだ学生の頃、公開時にガールフレンドと劇場でデート鑑賞してジェニファー・ビールスのムチムチ・ゆらゆらな太モモとヒップに妙に焦っちゃったりしたのが個人的に懐かしい思い出(映画は彼女のチョイスだったのに>>続きを読む

ザ・カンニング [IQ=0](1980年製作の映画)

4.0

学生時代に劇場鑑賞した懐かしいフランス製おバカ・コメディ。本当にバカバカしくて今見ても結構笑えるネタが多くて嬉しい。40年以上ぶりの見直しというのによく覚えているネタ多数。

ジュマンクール家が自
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シティーハンター(2024年製作の映画)

4.0

HK変態仮面2作も主役張った鈴木亮平だから、ずば抜けた身体能力を持ちながらもトコトン下品な冴羽獠の役も全く違和感なし。コミックでしか描けないようなおチャラけた二律背反キャラクター像を見事に体現化して>>続きを読む

ジョン・レノン 失われた週末(2022年製作の映画)

4.0

ポールの脱退でビートルズが破綻した後、こんなに音楽活動も私生活も充実した豊かな時期がジョンにはあった。この時期に同棲していた女性メイ・パンが語る真実。ジョンの幸せそうな姿がアーカイブ映像や写真などで>>続きを読む

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

5.0

ノアたちが暮らす生態系の景観に圧倒された。高度差をパースペクティブ感存分に見せる映像が見事。イーグル族が見せる自然を取り込んだ暮らしもあのクライマックスに繋がっていくし良いアイデアだと感心。
ドラ
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花腐し(2023年製作の映画)

4.0

祥子(さとうほなみ)はなぜ心中自殺してしまったのか、同棲していた男・栩谷(綾野剛)が彼女の死を顧みるドラマとして見入った。行き詰まっていく男2人と女1人の恋愛模様が過去を振り返りながら紐解かれていく>>続きを読む

北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

4.0

様々な客から受けたプレゼント選びの相談を一つ一つ誠実に創意工夫で解決していく駆け出し高級デパート店員さん奮闘記で楽しめた。お客はすべて動物で、応対する店員が人間というデパートの意図、クレーマーやカス>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.0

ホウ・シャオシェン作品を彷彿させる映像フックに誘われて鑑賞したが、台湾パートではしっかり台湾恋愛映画の淡い味わいを堪能できて満足。台南市の街の温かさが伝わってくる色彩と光。後半の日本パートではジミー>>続きを読む

バジーノイズ(2023年製作の映画)

3.0

原作コミック未読。清澄が他人との関わり合いを避けて一人部屋に篭ってDTMにのめり込むのに特段の理由がある訳でもなさそうなので(口実に過ぎない程度の台詞はある)、単に自閉傾向な青年なのだろうと見た。>>続きを読む

人間の境界(2023年製作の映画)

5.0

ポーランド政府が隠蔽する非人道的な難民政策を暴く硬派な社会派ドラマ。アグニエシュカ・ホランド監督が上映をめぐり自国政府と対決することになった作品。シリア、イラク、トルコなどからベラルーシのビザを取り>>続きを読む

I ~人に生まれて~/人として生まれる(2021年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

Opで、からだの正中線を堺に左右半分ずつで性の異なるジャイナンドロモルフ(雌雄モザイク、珍しいが昆虫などでよく知られている)のチョウが飛翔していくのをカメラが追っていく。
男性として育ってきた少年
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ジェイコブス・ラダー(1990年製作の映画)

4.0

ベトナム戦争からの帰還兵がPTSDに苦しむ様、体験したままを本人の視点から映像で表現しているのでは?と見ていたが、終盤で思わぬ展開を見せ驚いた。現在なのか過去なのか、現実とも夢とも区別のつかぬ世界の>>続きを読む

人生は、美しい(2022年製作の映画)

3.0

余命モノなのにミュージカル風にポップな楽曲の歌と踊りが入って深刻にならない演出が独特。如何にも韓国映画らしく最後に大きな落差で揺さぶるドラマ。ただ、そのオチがセヨンの初恋物語も旦那との夫婦愛物語の方>>続きを読む

奇蹟の人/ホセ・アリゴー(2022年製作の映画)

4.0

心霊医療といえばジム・キャリー主演「マン・オン・ザ・ムーン」終盤に主人公が施される村医者の如何わしい手技を思い出す。何だか胡散臭さが纏わりつくような物語だなぁと予防線を張っていたら、こちらはブラジル>>続きを読む

キラー・ナマケモノ(2023年製作の映画)

3.0

「ゾンビーバー」が好きでキラーなんちゃら系もアサイラムのB級アニマル・パニックもイケちゃう自分はしっかりマークしていた作品。巷での評価なんて全く関係なし。CGではなくアニマトロニクスを使っているとい>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

3.0

反目し合っていた辰巳と葵が、切迫した状況でどんどん追い込まれるように親密になっていく。葵の復讐心に乗った2人の息苦しさが良く伝わってきた。生き生きとした遠藤雄弥の表情、大きく変容していく森田想の表情>>続きを読む

ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

真の良きパートナーを得ることはなかなか難しい。アン・ハサウェイとマリサ・トメイの顔ぶれからロマンスの匂いが強そうな予感がしたが、いい意味で裏切られピーター・ディンクレイジ演じるオペラ作曲家スティーブ>>続きを読む

レアエクスポーツ 〜囚われのサンタクロース〜(2010年製作の映画)

4.0

「SISU シス 不死身の男」「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」のヤルマリ・へランダー監督作品。「レア・エクスポーツ」とは「希少輸出品」の意。(“Rare Exports” From the L>>続きを読む

あまろっく(2024年製作の映画)

5.0

江口のりこが演じる主人公・優子は、よくある“痛い”中年女性のイメージとはまたちょっと違った、頗る頭が良くて優秀である一方、効率優先で愛想がない故に周囲から疎まれるキャラクター。どう見られようが周りの>>続きを読む

陰陽師0(2024年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

PVや予告では「陰陽師などという仕事には全く興味が持てないんです…」と偉そうに宣っていた安倍晴明。果たしてどんな体験を経て陰陽師になる決意を抱くようになったのか見せてくれるフィクションとして期待して>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

5.0

山田太一の原作小説は未読。あくまで先に見ていた映画「異人たちとの夏」(大林宣彦,1988)との比較だが、ゲイの男性2人に置き換えられたことで人間ドラマとして優れた翻案になっている。「異人たちとの夏」>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

山田太一の原作小説は未読。家族との和やかな関係が記憶に残る者にとっては死んだ肉親に会いたい気持ちに至極共感。特に自分が社会に出てからは、急死してしまった親に人生の先輩として聞きたい話は尽きないと思う>>続きを読む

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

4.0

ダミアンの出生の秘密は「オーメン(1976)」でも仄めかされていたので、大体どんな物語になるかは想像できる。それでも驚くような展開を見せて楽しませてくれた。ただ、ショッキングな映像の数々は「オーメン>>続きを読む

オーメン(1976年製作の映画)

4.0

やはりあのショッキングな場面と音楽だけはしっかりと記憶に残っている往年の名作ホラー(あとは殆ど忘れた)。オーメン(omen)の意味が「予兆」だと知ったのはずっと後だった。前日譚にあたる新作の公開に合>>続きを読む

ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)

5.0

フィンランド発〜3人の女性たちを描いた青春映画。眉を剃ったミンミはムラ気で衝動的で危うい。唯々早く男性経験を積みたくてしかたないロンッコ。ヨーロッパ選手権出場を掛けた大会前でストレスの溜まったエマ。>>続きを読む

湖のほとりで(2007年製作の映画)

3.0

原作はフーダニット・ミステリーだからか、それっぽく次から次へと怪しい人物たちが登場し、刑事のトニ・セルヴィッロが一人また一人と追及していく。なのに拍子抜けするほど解決の件りが呆気ない。事件の取り調べ>>続きを読む

夢追いウサギ(2020年製作の映画)

3.0

劇場公開となった「ソウルフル・ワールド」と同時併映された短編。穴を掘って土の中で暮らす動物がこんなに沢山種類がいたとは…。ホント? ホリネズミが日本の昔のアニメのガンバに似ていたな。ちょっとキャラク>>続きを読む

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