masatoさんの映画レビュー・感想・評価

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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.5

ゴダールの『勝手にしやがれ』を今の時代に見る、というのはどう言うことなのか。映画史に残るヌーヴェルヴァーグのエポックメイキングなのだから、映画ファンとして見ないわけにはいかない。けれど、見たところでそ>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

5.0

※4Kリストア版と同じ内容です。

『都会のアリス』や『まわり道』『さすらい』などで、すでに僕たち若きシネアストの憧れの的だったヴェンダースは、ハリウッド進出第1作である『ハメット』ですったもんだがあ
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ベルリン・天使の詩 4K レストア版(1987年製作の映画)

5.0

『都会のアリス』や『まわり道』『さすらい』などで、すでに僕たち若きシネアストの憧れの的だったヴェンダースは、ハリウッド進出第1作である『ハメット』ですったもんだがあり、興行的には失敗作を生み出してしま>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.0

ドイツの学校。見たところ中学生くらいから高校生くらいの子どもたちが学んでいるように見える。いや、体格がいいからそう見えるだけで、中学校かも。そこで教えている女性の新任教師が主人公。

そこで盗難事件が
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白いリボン(2009年製作の映画)

4.5

第一次世界大戦の少し前。ドイツの小さな村で不穏な事件が次々と起こる。

村は一見、穏やかに見えるが、村人が信仰するプロテスタントの教会と、村人の大半の収入を支配している男爵が、村の中の二つの求心力にな
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.0

ミヒャエル・ハケネの『ファニーゲーム』は未見だったので、JAIHOで鑑賞。

やっぱりこの手のサイコパスは苦手。とは言え、ハケネが確信犯でやっているのだから、映画として破綻しているわけでもないし、出来
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切腹(1962年製作の映画)

4.5

小林正樹監督作品は、『東京裁判』ほか何本かの社会派作品しか見ていなかったので、この時代劇は意外な収穫だった。

1962年作品、僕が生まれた年に公開された作品だなあ。仲代達矢、三國連太郎、岩下志麻など
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.0

人は人をすぐに信じるし、すぐに疑うし、すぐに裏切る。結局、自分の中にある言葉と経験だけで判断して、誰もが平気で他人を陥れるけれど、自分だけが安全なら、とりあえずは笑っていられる。自己肯定感のない人たち>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

ジョナサン・デミと言えば『羊たちの沈黙』だが、そのインパクトが強過ぎて、他の作品が思い出せない。でも、『フィラデルフィア』も『レイチェルの結婚』も僕はいい作品だと思う。

でも、やっぱり『羊たちの沈黙
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ピアニスト(2001年製作の映画)

4.2

ミヒャエル・ハネケ監督は、いわゆる不条理劇というのでもなく、生きづらい人々にスポットを当てながら、歪んだ日常の中に愛の本質のようなものを見せてくれる。

『ピアニスト』の主人公はユペール扮するピアニス
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ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)

4.0

ソマリアの民族紛争に突っ込んでいった米軍。民族紛争に乗じて、権力を拡大しようとする一派をジェノサイドだと制圧しようとして、その幹部たちを捕えるための作戦を実施する。

ほんの1時間で終了するはずだった
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キッチン(1989年製作の映画)

4.0

ロードショー公開された時、この映画を見て橋爪功が好きになったんだった。

関心領域(2023年製作の映画)

4.0

第二次大戦中、アウシュビッツ収容所の壁を隔てた隣で、裕福に暮らしていたナチスドイツの高官家族の暮らしぶりを描いた作品。

関心空間というタイトルは、塀の向こうに関心を持たず、自分たちの暮らしだけに関心
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.5

『鬼平犯科帳 血闘』で、もう日本の時代劇は終わりなのかと思いつつ、いやいや、もう一本なんかやっていたなあ、と草彅剛主演の『碁盤斬り』を見に行く。

白石和彌監督作品は、割と説明がくどいのと、キャラクタ
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.5

北千住にある東京芸術センターのシネマブルースタジオで。あそこはフィルム上映で見れるのがいい、というかたぶんフィルム上映しかできないんだと思う。DCPを入れてたらもっと必死で集客しないとやっていけないも>>続きを読む

かわいそうな象を知っていますか(2018年製作の映画)

1.5

作者が動物の代わりに叫ぶ叫ぶ。
「ここから出してくれ!」「殺される!」

そう言ってるかもしれない。
そう言っていないかもしれない。

ゾウの目が濡れているのを撮影しながら、「泣いているように見えます
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ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦(2003年製作の映画)

3.5

まあ、ラース・フォン・トリアーらしいと言えばらしい、シニカルで捻くれていて、右脳も左脳も使うようなドキュメンタリーだった。

先輩監督であるヨルゲン・レス監督に対して、彼の短編映画『完全なる人間』を自
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鬼平犯科帳 血闘(2024年製作の映画)

2.5

かつて、映画をやっている人に、「今どき飲み屋のシーンで、オヤジ!もう一杯!なんてセリフを言わせた段階で終わってるよ」と言われてから、本当に、そのセリフが出てくる映画が面白くないことに驚いた記憶がある。>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.0

藤井道人監督は、職人的なうまさを備えてきた感がある。正直、もう還暦を過ぎて見るにはきつい映画だなあ、と思いつつ席に着いたのだけれど、とにかくうまい。脚本もよくできているし,演出の間合いがとてもいい。>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

3.5

みんなそれぞれに生きにくいね。という状況を描き、でもそれでも生きていかなきゃという流れを見せて、最後に「ほら、みててくれる人がいるじゃない」ってことになって、主人公の微笑み、エンドタイトル、ウィスパー>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

5.0

濱口竜介監督の新作は、何かを諦めてしまったかのように潔い。登場するどの人物にも引っ張られることなく、淡々とストーリーを追いかけていく。そこには、映画の可能性を探ろうとした『ドライブ・マイ・カー』や日常>>続きを読む

戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.2

公開時、十代だった僕は「大島渚なんて古臭い」と見に行かず、結局、レンタルビデオで見た記憶があるのだが、やっぱり劇場で見ると違う。

デヴィッド・ボウイも坂本龍一もビートたけしもびっくりするくらい下手な
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阿片戦争(1942年製作の映画)

3.5

『阿片戦争』1943年
市川猿之助、原節子、高峰秀子の出演で、監督はマキノ雅弘。
いやいや、なかなかすごかった。登場人物は中国人、イギリス人、インド人なんだけど、全員、日本人が演じているという強引さ。
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流れる(1956年製作の映画)

4.0

幸田文の『流れる』を読んで、映画化されたものも見てみたくなって、配信レンタルで見る。

原作を読んでいると、主人公がもっと逞しくて、もっとポジティブで面白いんだけど、映画では割とあっさりと描かれていた
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

3.5

見たいのは、語らずに、感じさせる映画なんだけどなあ。この人の映画はいつも、言葉数は少ないんだけど、えらくグイグイくるんですよね。たぶん。ちゃんとした人なんだろうな。ちゃんとした人がいくら控えめに語った>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

鬼太郎誕生の謎を描いた、「ゲゲゲの鬼太郎」の前日譚的な作品。なんとなく配信にあったので、「あ、鬼太郎だ」と子供の頃からの慣れ親しんだ気持ちで見始めた。

なんだか予想を超えて壮大で緻密な話が展開されて
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晩春(1949年製作の映画)

4.5

父・笠智衆と、娘・原節子の気持ちのやりとりが思いのほか激しく、晩年の小津安二郎作品の出発点にふさわしい色合いを手に入れていると思う。なんとなくだけれど、この作品に手応えを感じて、ここから小津は自分自身>>続きを読む

晩春 4Kデジタル修復版(1949年製作の映画)

4.5

父・笠智衆と、娘・原節子の気持ちのやりとりが思いのほか激しく、晩年の小津安二郎作品の出発点にふさわしい色合いを手に入れていると思う。なんとなくだけれど、この作品に手応えを感じて、ここから小津は自分自身>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

5.0

1980年代、アイルランドの田舎町。9歳のコットは父母と3人の姉と一緒にして暮らしている。稼業は酪農らしいがうまく行っているようには見えない。特に父親は子供たちに興味を示さず、ギャンブルと酒のために出>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.7

それなりに楽しんで見た。主演の齋藤潤がいい。ヤクザがステレオタイプじゃなけりゃもっと良かった

アバウト・ライフ 幸せの選択肢(2023年製作の映画)

3.0

30年前のラブコメを観ているようだった。ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ウィリアム・メーシーが出演しているので、余計に露そんな気がするのかも。まあ、彼らを観に行ったんだけど>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

2.5

『陰陽師0』があんまりだったので、山田太一の『異人たちとの夏』のリメイクだと言うイギリス映画『異人たち』を観にいく。

あー、勘弁してくれ。山田太一原作とか言わないでくれ。監督自身がゲイだとかどっちで
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陰陽師0(2024年製作の映画)

2.0

いやあ、勘弁してくれよ〜。
世のCGファン(そんなのいるかどうか知らんけど)には悪いけど、こういう作品はどこまでCGを使わないで演出するかぎ鍵なんじゃないだろうか。そして、使わざるを得ないところには命
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貴公子(2023年製作の映画)

4.0

いわゆるジェットコースタームービー。何も考えず、ただ身を委ねていれば、わかりにくい場面など微塵もなく物語は進んでいく。観客はその手際の良さを楽しんでいればいい。しかも、この作品の場合は、完璧そう見える>>続きを読む

コンビニエンス・ストーリー(2022年製作の映画)

4.0

つげ義春の『ねじ式』なのかもしれない。キツネの面もちゃんと出てきたし。そういう意味では、全体のストーリーがわかりにくくてもなんでもいい。そこかしこに、映画的な肉体というか、実感があればいいのであって、>>続きを読む

アニー・ホール(1977年製作の映画)

4.0

ウディ・アレンがドタバタコメディから、「映画」へとシフトした第1作だと思う。「ゴットファーザー」の撮影監督、ゴードン・ウィリスを迎えたことにも、その意気込みが現れているように思える。

この映画は、そ
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