たくさんの映画レビュー・感想・評価

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偽りの果て(1947年製作の映画)

3.8

これは面白かった。自動車事故の隠蔽に味を占めた男が次々と殺人に手を染めていくフィルム・ノワール。不可能と思える完全犯罪を成し遂げたその先に待っているのは「懺悔の機会のはく奪」で、人としての一線を越えた>>続きを読む

母とわたしの3日間(2023年製作の映画)

3.7

死後の世界から娘を見守りに来た母親の魂の3日間を描くファンタジー。泣けるとの評判で確かに周囲の観客はすすり泣いてたけど、自分的にはちょっとヌルかった。タイトルからてっきり娘視点かと思ったら、まさかの母>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.7

前作「怒りのデスロード」に登場した謎のフュリオサの前日譚。母親を殺された少女の復讐劇というシンプルなプロットを土台として、ジョージ・ミラー監督のやりたい放題を詰め込んだアクションシーンにテンション上が>>続きを読む

ユニコーン・ウォーズ(2022年製作の映画)

4.0

「絵が可愛いのにグロい」という前情報はあったけど、それを越えてくる根源的な不気味さに圧倒された。森をめぐるユニコーンとテディベアの壮絶な戦いを描くスペインのアニメ作品で、序盤でアニメーション技術が雑だ>>続きを読む

アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

3.8

アンネ・フランクの名著「アンネの日記」における空想上の手紙の宛名人であるキティが、日記を飛び出して現代の世界を旅するアニメ作品。語り尽くされたアンネの話をファンタジーとして描くところに新鮮味があり、さ>>続きを読む

ローマ11時(1952年製作の映画)

3.7

ローマで実際に起きた階段崩落事故を再現したネオレアリズモ作品で、当時のイタリアの貧困問題が嫌というほど強調されてた。貧困による就職難が結果的にもたらす悲劇に、人間の「貧すれば鈍する」を表現しようという>>続きを読む

美しき争ひ(1938年製作の映画)

3.5

仲が良かったはずの姉妹の間で起こった発砲事件の真相を描くサスペンス。レオニード・モギー監督が「格子なき牢獄」に次いで撮った作品で、同作のコリンヌ・リュシェールとアニー・デュコが再共演。前半で何となく話>>続きを読む

神経衰弱ぎりぎりの女たち(1987年製作の映画)

3.5

恋人に別れを切り出されて精神錯乱状態となった女性の周囲で起こる、2日間のドタバタを描くコメディ。ペドロ・アルモドバル監督が国際的に名を知られるきっかけになった作品で、ヴェネツィア国際映画祭脚本賞を受賞>>続きを読む

若武者(2024年製作の映画)

3.8

鬱屈した若者のやり場のなさをミニマムな演出で描いてて、コメディ演出に始まり、今の若者が安易に使う暴力的な言葉が後半に効いてくるのが怖かった。「逃げきれた夢」で閉塞した心を抱える人たちの世代を越えた交流>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.8

アウシュビッツ強制収容所の隣で暮らすナチス将校一家の平和な暮らしを淡々と描いてて、綺麗な映像と終始聞こえてくる不快な騒音のギャップに最後まで居心地が悪かった。直接的な描写が全くないので、隣で起きてるこ>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.0

前章の最後で示された人類滅亡のカウントダウンからのその後がどう描かれるのか、ワクワクしながら公開を待ってた後章。門出と凰蘭のパラレルワールド的世界の真相や、侵略者の目的など前作の謎が明らかになるのがす>>続きを読む

七月のランデヴー(1949年製作の映画)

3.7

夢を持つ若者たちの葛藤と恋路の行方を生き生きと描く、ジャック・ベッケル監督1949年の青春群像劇。ジャズの鳴り響くクラブで騒ぎ踊る若者たちの姿に、ちょっと1950年代の邦画に登場する太陽族を連想した。>>続きを読む

椿なきシニョーラ(1953年製作の映画)

3.7

容姿の美しさから映画女優に抜擢された若き女性の輝かしい台頭ぶりから凋落に至る姿を描く、ミケランジェロ・アントニオーニ監督1953年作品。華やかな世界に翻弄される女性を演じるルチア・ボゼーが、こないだ観>>続きを読む

汽車を見送る男(1953年製作の映画)

3.4

平凡な会社員が大金を手にしたことによって大胆になっていくサスペンスで、ストーリーに隙があり過ぎてチープな印象を受けたけど、人間なら誰しもが持ってる欲望が思わぬきっかけによって露わになる様子が怖かった。>>続きを読む

アモーレ(1948年製作の映画)

3.7

全編ほぼ一人芝居によるロベルト・ロッセリーニ監督の1948年作品。2話構成になっており、テロップに出る「アンナ・マニャーニの演技に敬意を表して」という言葉のとおり、彼女の演技力だけで観るものを惹きつけ>>続きを読む

碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.5

白石和彌監督の初の時代劇ということで期待して観たけど、いまいち刺さらず。序盤での格之進と源兵衛のホモソーシャル感に引き込まれたものの、草彅剛の演技に人間味が全く感じられず、最後まで物語に入り込めなかっ>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.9

ある中学校で、些細な出来事に始まった教師と生徒の相互不審が校内の秩序を崩壊させていく怖い話で、鑑賞中ずっと胃が痛くなるタイプの作品。学校側の運営方針である不寛容方式を真っ向から否定する内容で、問題解決>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

3.9

幼女失踪事件による喪失感に心を蝕まれていく両親と、二人を取り巻く世間の悪意を対比的に描く吉田恵輔監督の最新作。事件解決のための報道が、視聴率競争のためにおかしな方向に進んでいくのがマスメディアにありが>>続きを読む

白い足(1949年製作の映画)

3.7

孤独に暮らす城主が住む港町を舞台に、一人の女をめぐる愛憎劇が繰り広げられるジャン・グレミヨン監督1949年作品。高貴と世俗が入り混じる複雑な人間心理に、一筋縄ではいかない人としての業が描かれて、観終わ>>続きを読む

嫉妬(1953年製作の映画)

3.7

愛する男女の前に立ちはだかる階級の違いという障壁に苦悩する侯爵を描く、ピエトロ・ジェルミ1953年作品。ここ最近何本か観た「職業人としての自立と愛情との間で葛藤する強い女性」とは打って変わって従順な女>>続きを読む

ある女の愛(1953年製作の映画)

3.7

町医者の女性が自分の仕事と男性との愛のどちらを選択するか葛藤する1953年のフランス映画。最後の最後まで主人公がどう決断するか分からないという筋書きにハラハラした。この「仕事一筋の女性に男性が愛想を尽>>続きを読む

シティーハンター(2024年製作の映画)

3.7

NETFLIXの週間グローバルTOP10で1位を獲得した話題作で、いわずと知れた北条司の原作漫画の実写化。同作の実写化は以前にフランス版を観てて、アニメ版で慣れ親しんだ世界観を忠実に再現した演出に原作>>続きを読む

不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)

3.7

恋に一途な女性の全力疾走の生き様を描いてて、見上愛の弾ける魅力が全てと言って良いくらい輝いてた。原作コミックは全く知らず、「ちょっと思い出しただけ」の松井大悟監督という理由だけで鑑賞。松井監督は「君が>>続きを読む

恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

3.5

完全にシドニー・スウィーニー目当てで鑑賞。絵に描いたようなボーイ・ミーツ・ガールで、予告編を見て「嘘から出た実」的な話だろうなというのは大体予想が付いてたけど、そう単純な話じゃないというところにヒネリ>>続きを読む

胸騒ぎ(2022年製作の映画)

3.7

ごく平凡で幸せな家族が、成り行きから親交を深めた家族に招かれた先で体験する違和感が何とも居心地悪く、ジワジワと観る者の心を侵食してくる不思議なホラー。外面を取り繕ったことが災いして相手のペースに巻き込>>続きを読む

愛情の瞬間(1952年製作の映画)

3.6

倦怠期の夫婦に偶然訪れた浮気の発覚をきっかけに、夫婦それぞれの隠された思いが回想を通して明らかになって行くジャン・ドラノワ監督1954年作品。この監督は、内容を覚えてないけど「賭けはなされた」を昔に観>>続きを読む

バーバリアン(2022年製作の映画)

3.6

民泊を借りに来た女性が異常な出来事に巻き込まれていく不条理ホラーで、全く予想のつかない展開や、中盤で舞台が切り替わる構成などなかなか新鮮だった。最後に明かされる事態の真相が全然頭に入ってこなくて、モヤ>>続きを読む

殺人カメラ(1952年製作の映画)

3.7

そのカメラで写真を複製すると被写体の人物が死んでしまうという不思議な現象を利用し、善良な男が悪人退治にのめり込んでいくコメディ仕立ての寓話的な作品。ネオレアリスモで世界的に認知されたロベルト・ロッセリ>>続きを読む

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

4.0

はるか昔に観たマルセル・カルネ監督の名作を再鑑賞して、2部構成で描かれる男女のやり切れない愛憎劇にどっぷり浸かった。一度観たはずなのに内容を全く覚えておらず、初見の感覚で観られたのが良かった。パリを舞>>続きを読む

バジーノイズ(2023年製作の映画)

3.7

孤独な楽曲制作に耽る音楽青年と、彼を表舞台に引っ張り出す女性が織りなす青春ストーリーで、全編に流れるDTMの音楽が心地良かった。序盤で清澄に強引に迫る潮の行動の荒唐無稽さに引いたけど、桜田ひよりの弾け>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.7

人生に躓いた台湾人青年が、大切な思い出である日本人女性とのひと時の交流を見つめ直して行くほろ苦い青春ストーリー。藤井道人監督がこういうベタな青春モノを撮るとは思ってなかった。惹かれ合う男女がなかなか結>>続きを読む

人間の境界(2023年製作の映画)

3.8

ベラルーシ政府がEU混乱を目的としてポーランドに送り込んだ難民たちが、地獄のような仕打ちを受けて行く様子が見ちゃおれなかった。こんな酷いことが極く最近まで実際に起きてたというのが衝撃的。全編重々しいモ>>続きを読む

(1949年製作の映画)

3.7

イタリアを舞台に、幸せに暮らす家族が一人の男の介入によって壊れていく悲劇を描いてて、「ニュー・シネマ・パラダイス」で本作の場面が引用されたとのことだけど全く覚えてなかった(同作では当時の新作映画として>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.6

合唱部の中学生男子がヤクザにカラオケで歌を教えるという突飛押しもない筋書きに、思春期の少年の成長という普遍的な要素が盛り込まれててほっこりした。山下敦弘監督は「苦役列車」や「もらとりあむたま子」が良く>>続きを読む

(1949年製作の映画)

3.8

ボクシングの八百長試合の裏でうごめく男たちの欲望をよそに試合に立ち向かう老ボクサーを描いてて、短い時間の中で緊迫した運びに引き込まれた。上映時間がそのまま劇中の時間進行と一致するのは、アニエス・ヴァル>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.0

ロシア・ウクライナ戦争開戦直後のマリウポリの20日間を捉えた衝撃のドキュメンタリーで、ネット配信で観逃してた本作を映画館でやっと鑑賞。ロシア軍にじわじわと包囲されて行く中で、限界まで現場の惨状を記録し>>続きを読む

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