kakakaさんの映画レビュー・感想・評価

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辰巳(2023年製作の映画)

4.3

オープニングでは車が文字通り棺桶(藤原季節の何とも贅沢使い)となり、ラストシーンでは車がこれから自らの力で人生を切り開く自由の象徴になっており、この死と生の対比によって映画を振り返った時、登場人物達の>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.5

「悪」という概念は人間側の主観、道徳観にのみ存在するということ。
ストリングスの劇伴を背景に、淡々と生い茂る枝葉と合間の空のみを見上げスクロールするオープニングは、次第にその枝葉が目蓋の裏に焼き付く毛
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

1.2

あれ?ゴジラってフリー素材でしたっけ?
前作のプロレスの流れもあるので、ゴジラが両手を振って全力疾走したり、バックドロップ決めるのはいいとして、無重力状態で乱戦するって、ゴジラの旨味を殺すのもここに極
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.1

序盤に出てくる毒リンゴを見て、「化学は知恵の実を食べた人間の罪も背負っている」という言葉を思い出した。
イギリス留学時代、ベッドに仰向けになって分子の世界を幻視するオッペンハイマーの様は、まんま「20
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市子(2023年製作の映画)

1.0

うーん、市子、たくマッシーン。
たくましいというかキラーマシーン。
ヒューマンドラマと思って見たので悪い意味で予想外の展開。
生い立ちに同情するとしても、北君への仕打ちは無いやろ。
というか北君をどう
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武器人間(2013年製作の映画)

3.6

序盤の無駄なカットの多さに閉口し、ようやく怪物とエンカウントしファーストキルイベント発生も、殺傷シーンを映さずカメラがパンするとすでに腹から腸がはみ出しているというあからさまな予算削りを見せつけられ、>>続きを読む

ビニールハウス(2022年製作の映画)

1.5

「半地下はまだマシ」という如何にも話題作にあやかろうとするDVDストレート作品によくあるキャッチコピーの最低センスとは反対に、予告映像が面白そうだったので見てみれば、皮肉にも良くないDVDストレート作>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.4

ドゥニ版のPART1は地ならしだったんだな。
あの遅い語り口と展開の無さに白けたものだが、その代わり徹底した各文明の様式化、それからストーリーの整理によって完全にリンチ版からの血の入れ換えに成功したP
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博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)

4.0

仁侠を守ろうとして、結果的に仁侠の崩壊を招くラストが切ない。
ラストシーン、鶴田浩二の投げたドスの描く放物線が空虚で寂しく、畳の上に転がるのでした。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

貧困、暴力、殺人、差別、果ては白人警官に射殺される、と黒人の悲哀の羅列がウケるのは「白人が免罪符を求めているから」というセリフが刺さる。
拡大解釈すれば、社会問題に対して、小説であれ、報道番組であれ、
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.2

2018年、敵の腹の中であるアフガニスタンにてタリバンの武器・爆弾製造工場の発見、壊滅の任務の為、派遣されたジョン・キンリ―率いる部隊。その任務が如何に危険で死と隣り合わせであるかをオープニングの数分>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

4.1

フェミ論視点から見れば、性暴力を受けても声を上げられないサナは被害に対して声を上げられない、黙殺されてきた被害女性達のメタファーとも思える。
被害の最中にあっても声一つ上げられない、起こっていることの
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.1

二、ニール・ブロンカンプ!?
劇場で何度となく本作の予告を見たが、「二」の字も無かったな。
監督が分かっていればスクリーンで見たのに、とそう思わせるくらいには面白い作品。
が、技術の拡張が人間の疑似進
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

2.0

麻薬密輸に失敗し森に散乱したコカインを食べ、ラリッた熊が襲い掛かるパニックホラー。
登場人物は多いのに画面映えしないゴア描写にしょんぼりとする。
熊のeatシーン見せないし、通り一遍に飛び散る片足のゴ
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.7

前作「X」においてマキシーンとパールを鏡像として描いたことが本作を単なるジャンル映画としてのホラー以上の奥行きを与えている。
異常な殺人鬼のハイテンションな殺戮ショーも楽しいが、あえてホラージャンルで
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.1



相変わらず韓国映画は史実ものの題材選びが巧い。
1990年、国連加入を目指す韓国は投票権を多く持つアフリカ諸国を歴訪し、その中でソマリアの首都モガディシュにてロビー活動を行っていたが、それを阻止し
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

映画冒頭、モノクローム映像と古典ホラー的な劇伴からフランケンシュタインの花嫁誕生ばりの映像は、クラシックな怪奇映画のルックを踏襲し、すでに映画の世界に没頭してしまう。
そう言えばマッド・プロフェッサー
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.8

大林宜彦でいうところの「HOUSE」みたいな感じかなぁ。
とは言え「HOUSE」級に面白いという意味でなく、あくまでエログロナンセンスギャグの視点としてだが、偏愛というよりもっとドライでカタルシスは感
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.3

ライブ冒頭、カセットデッキを相棒に登場するデヴィッド・バーン。
「Psycho Killer」のソロアレンジ最高。曲終わりに思わず映像の中の観客につられて歓声を上げそうになる程、気持ちが上がる。
その
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

ワイパーに散らされ、街灯にきらめくフロントガラスの雨粒を背景に浮かぶ「夜明けのすべて」のアバンタイトルが夜空にきらめく星を想起させ、物語の始まりを予感させる。
しかし序盤、「夜明けのすべて」というタイ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

色褪せて折り目の付いた映画ポスターのアートワークセンスがまず秀逸。
昔見た映画の四つ折りのポスターを開いて懐かしむように、劇中の、ホームビデオを見て父との思い出をリフレインする事とリンクしている。
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.7

肉体の代謝はリセットされるのに、身に付けたスキル(デザインとか)はリセットされない事にタイムループにまつわる欺瞞はありつつも、日頃多忙な仕事に忙殺され、代わり映えの無い毎日をタイムループと感じることが>>続きを読む

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.0

スクリーンで見ると、その場面転換の少なさに改めて低予算で作られているんだと気付く。
けれどチープに見えないし、30年も前の作品でもまるで古臭く感じない。ポリコレ的にはもう開始30分くらいでスリーアウト
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.8

額面通りディザスタームービーとして受け取るもよし、ただ時勢柄、難民・移民問題のメタファーとしても考えさせられた。
崩壊後、イ・ビョンホンが代表に選出されるプロセスに疑問はあるが、凡夫が権力を握り、残酷
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.1

役所萌え映画。
自転車こぐ役所、苗木を持って帰るのにプランターを新聞紙でDIYする役所、雨合羽着る役所、どれもが愛しい。
朝のルーティンをこなし、アパートのトビラを開けて出かける際、空を見上げる彼の眼
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

4.1

このキャリアになっても寸分変わらない、いつもの味を提供してくれるイーライ・ロスに感謝ですね。
もうお約束の連続、はいはいこれねって分かっていても、映画館で見るド真ん中直球スラッシャームービーを見ると、
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

いずれの役者も良かったが、水道橋博士扮する退役軍人会のリーダー役がはまっていた。
どこか水木漫画的な眼鏡の軍人な出で立ちは、歪んだマチズモ、くすぶる国への奉仕心とそれに対して無知な己の悲哀を演技も含め
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.6

犬神家の一族+ガンニバルの世界観。思ったよりめっちゃ人死にます。
鬼太郎誕生って、墓場鬼太郎じゃないのかと思ったら、墓場鬼太郎前夜のお話。
「総員玉砕せよ!」も挿入されており、水木先生リスペクトが感じ
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.7

ナポレオンの肖像画の中でも、最も有名かつ誇張された「サン・ベルナール峠のナポレオン」を描いた画家のダヴィッド。同じく「皇帝ナポレオンの戴冠式」を描いた彼は、本作のナポレオンの戴冠式シーンでダヴィッド自>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.9

あぁ、諸行無常。。。
騙し騙され、殺し殺され。
北野武がビートたけしみたいに秀吉を演じるのは興味深い。
彼の取り巻きは正にたけし軍団の様相で、「殿」の愛称のビートたけしと秀吉の虚実の被膜が曖昧に感じら
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バービー(2023年製作の映画)

4.3

バービーの擬人化によるガールズエンパーメント、根強い男性優位社会における女性の出世を阻害する透明な天井の可視化、それからケンの自尊心の獲得と回復という着地は想定内だが、グレタ監督はさらにその先を描いて>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.9

水と油、みたいに人間ドラマパートとゴジラ現出パートが分離しており、しかもなまじ内容があるようで無い人間パートが長いので、自分は今、何の映画を観ているのか、宙ぶらりんに感じる時間が少なくない。とにかく映>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

4.0

バイオテロ+ハイジャック。
決してフレッシュなプロットではないが、コロナ禍を経験しているからこそ、余計に映画に没頭し、考えさせられる。
もし自分が機内に居合わせた被害者なら、あるいは被害者家族なら、ま
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

1.8

オープニングのモデルカップルの食事の代金は男が払うべきか?というフェミ論から幕を開け、豪華客船が島に座礁し、本来、物理的に力のある男が支配者になり、女を囲うという構図をあえて外し、女が支配者になり、男>>続きを読む

奈落のマイホーム(2020年製作の映画)

4.6

マンション1棟分のディザスタームービーという、1点突破アイデアを見事に映像化し、フレッシュなエンタテイメント作品に仕立てる韓国映画界の円熟味に、改めて感嘆する作品。
正に四方八方塞がり、下からは水責め
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.4

とにかくオープニングの広大なフィンランドのロケ地が素晴らしい。寒々と荒涼として、その地平線の向こうに見える爆発音と立ち上る硝煙は、まるでここが地獄のように見えてくる。
そんな荒れ地で一人金塊を掘るコル
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