ジジョさんの映画レビュー・感想・評価

ジジョ

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SCRAPPER/スクラッパー(2023年製作の映画)

3.0

突然あらわれた父と名乗るひとは、大人としてでもなく、親としてでもなく、人としては未熟でも、ただの「自分」で接してくれていた。ふたりの間にできた関係性はなんと呼ぶのかわからないけれど、世間的な「役割」を>>続きを読む

ユニコーン・ウォーズ(2022年製作の映画)

3.1

ケアベアみたいな子たちが、バンビがいそうな森でタタリ神みたいなヤツに会ったり、プラトーンみたいな戦争してた。

戦争の大義は宗教や民族であるのだけれど、根底には家族であり、嫉妬や憎しみという超個人的な
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関心領域(2023年製作の映画)

-

序盤でもう吐きそうだったな。
観ていくうちに状況にも慣れていき、適宜挿入される「違和感」に毎回ドキッ!となるも吐き気までは起こさない程度に慣れさせたところでの最後のどーーーーん!

どこにも逃げ道を作
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水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)

3.2

高校生の作劇を見ていると、彼女達が「世の中がイメージする高校生」を無自覚に演じている部分もあると感じる時がある。劇中の大人びたどこかで聞いたような「コトバ」はソレなのかもしれないと思うけれど、そんなこ>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

3.5

立体感すごかったな。
あっちもこっちもデコボコしてて、ひとは本当に平坦ではないのよね。ただテンプレ的に見えるところもあり、その共感しづらいポイントは私の経験値なのかも。

とにかく全員が「いま」にたど
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.8

学校は社会の縮図であると同時に、独自のルールで運営される治外法権の異空間でもあると思う。

どこで間違えたのか?と思うようなことはたくさんあるけれど、「起こったこと」だけでなく、過去の経験、先入観、個
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告白 コンフェッション(2024年製作の映画)

1.2

冒頭さゆりの登山初心者っぽい佇まいに、早々に心が離れてしまった。アウトドアブランドロゴの主張の強さとか(ブランドに罪はない)、謎がとけるにつれ、あの状況でさゆりは山は行かなくない?とさらに心が遠のき、>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

-

とにかくお母さんよ!サイコーよ!
フュリオサ!あなたは、あのお母さんの子よ!思い出して!!ってずっと思ってた。

フュリオサが目指すべきは、あのタネにお母さんが込めた想いだったわけで、それを曇らせるあ
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サンコースト(2024年製作の映画)

-

「当事者じゃないと本当のことはわからない。」

ひとは他人の出来事に自分の物語を重ねてしまうよね。
わたしの経験の中で得た想いはわたしの中の真実。過去のいろいろな出来事が思い起こされて、改めてそれらと
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俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー(2024年製作の映画)

-

アメリカには本当にこういう再生物語ありそうだな。
自分に起こったことの意味をどう捉えるかによって、その未来が変わるのは常にあるように思う。意味を持たせるのも自分自身だし、そのタイミングも自分次第。
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.0

前章に引き続き、とても「らしく」もあり、まったく「らしく」なく、その「らしく」ない部分にいちいち感動してしまう。
あのコトバを重要なキーワードにするなんて、わたしが認識していた作家の印象とは異なるもの
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オリオンと暗闇(2024年製作の映画)

-

知らないことは怖い。自分が知っている中でネガティブなことを想像して、まだ起こってもいないことで不安になり怯えて拒絶する。暗闇に限らず、この構図に当てはまることは多い。

恐れていたものと触れ、一緒に旅
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シティーハンター(2024年製作の映画)

-

わたしにとって「シティー・ハンター」とは「Get Wild」であった。

改めて漫画を実写にすることについて思う。
特に、時代感がだいぶ異なるものはオリジナルとして残したいものとアップデートするべきも
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フェラーリ(2023年製作の映画)

4.0

夫婦倦怠ものやらせたらピカイチだなアダム。経営者としての狂気も凄まじく、欠落した人間性とあいまってとても魅力的だった。絶対下で働きたくないけど。

車には全く興味はないけれど、車体のデザイン的な美しさ
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The Great Escaper(原題)(2023年製作の映画)

4.4

戦争へ行った者、その帰りを待つ者、それぞれに地獄はあり、その傷は深く深く自分の人生を傷つけ死ぬまで癒えることはない。

華やかな式典で与えられる栄誉や勲章よりも、穏やかな気持ちでいれる人生であったらど
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キラー・ナマケモノ(2023年製作の映画)

3.6

ナマケモノは全然怠けていなかった。
むしろ何でもできるし、アルファが会長になったらいい。

アメリカの女子寮のキラキラとか、カーストとか久しぶりにこういうの観た!という懐かしさ。でもほぼ女子だけで完結
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不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)

2.5

両思いになることで消えることで、何回も告白シーンがでてくるって、面白い発明!と思ったけど、思わぬ展開になっていた。

後半のあの設定は既視感でハードルを超えるのが難しい。意外と普通の話におさまってしま
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ルビー・ギルマン、ティーンエイジ・クラーケン(2023年製作の映画)

-

クラーケンをこんなに可愛くポップになるなんて!ぷにぷにしてた☆

クラーケンも人魚も、そのイメージは今まで扱われてきた映画でつくられてきたものの影響が大きいな、と改めて。
既存のイメージを壊すような物
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

作家も変わっていくのだな。
ある意味とても「らしく」もあり、まったく「らしく」ない部分はうれしい驚きだった。

友達をグループで描くことや、兄弟や大人との関わり方がひらけていて、世の中には自分たち以外
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オールド・フォックス 11歳の選択(2023年製作の映画)

3.0

ずっと雨降ってたな。湿度の高い台湾の空気がまとわりつくようだった。

社会的な地位や経済力を伴う「チカラ」は、自分の意思に関係なく時価のように変化していくもので、簡単にダイヤから小石に変わる。そのチカ
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.1

家父長制がもたらす最悪の形がこれではないか。これが「呪い」の結果であるならば、呪いとは得体の知れないオカルトではなく、明確にこのシステムのことを指すのだと思う。

兄弟が仲が良かったことが救いのようで
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プリシラ(2023年製作の映画)

2.8

最後「愛し続けるんかーい!」ってなった。
スーパースターと14歳で恋におちた女性の人生は虚無だった。

ダイジェストで人生を箇条書きにしたような淡々とした恋愛模様。勝手にドラマチックな人生を想像してい
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.2

100%の悪もないし、100%の善もない。
絶対的な正解のない世界で複雑なのは人間だけ。

自然がとにかく美しく、人と自然の関わり方は民族や気候でだいぶ差があるのだと思い知らされる。普遍的でもあり、あ
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.1

権力を持ち、個人を支配し、家族を崩壊させる。人々を分断させる「宗教」とは一体なんなのか。。
自分のためなのか、誰かのためなのか、「信仰心」とはなんなのか、、。

人類の歴史の中には宗教があり、他の歴史
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.5

ずっとギスギスして不穏な人間たちと、雄大でありのままの自然の対比が素晴らしかった。
ほんと人間はちっぽけ。

アイスランドの自然が圧倒的すぎて、「神」というものがあるのであれば、あれがそうなんじゃない
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

この世界は、本当に微妙なバランスで奇跡的に保たれていて、人間が人間として生きている限り繰り返す、その現実の恐ろしさか切なさか、説明できない感情が押し寄せてきて泣いた。

善と悪は紙一重。愚かさも賢さも
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燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)

3.2

ジャンルは違えど「自分の仕事はゴミを増やすだけではないのか」という葛藤はずっとあって、わたしなりの回答は出ているけれど、定期的に見直す必要もあるので良い機会。

何よりも洋服ブランドの掲げるメッセージ
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ナチ刑法175条/刑法175条(1999年製作の映画)

3.8

つらい経験を語ってくれたことに本当に頭が下がる。
こうやって話してくれる人がいるから知ることができる。語ることを拒んだ人がいることも当然で、きっとこれもほんの一部で、語られなかった奥底にあるものは彼ら
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.5

ひとつ歯車が狂ったことで怒涛のごとく崩れ出し、あっという間に底につき、すべてを失っていく。貧困の構図そのままだった。

「半地下はまだマシ」だと思うのは、半地下の人たちは家族というチームがいてくれたけ
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

沖縄という土地の空気がすごい。南国の開放感と島にまとわりつく閉鎖感。
大人たちはホント愚かで、子供たちはちゃんとクソガキで、人の念の湿度も澱んでた。

こういう話だから小さなリアリティは大事にして欲し
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スペースマン(2024年製作の映画)

3.2

宇宙まで行って究極的にひとりにならないと自分と向き合うことができないってハードル高いな。
カウンセラーは宇宙人だし、自分とは全く異なるものでないと崩せない鎧。根が深い。

「なんとかなるよ」という言葉
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.0

肉を買いに行ったら肉屋が休みで、この気持ちを昇華してくれるピッタリの映画だった。

線を極力省いて、単色で分ける表現方法は発明だと思う。この線であの豊かさ、立体感。スタッフの技術力にただただ脱帽する。
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

1.0

いま正面から扱いたいような題材を、不幸てんこ盛りの昔の少女漫画のような扱いにしないでほしい。宮沢氷魚の場面はすべて昼ドラみたいで笑ってしまったけど、題材が題材なだけに笑うに笑えない。

演者たちのイン
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

3.5

「コール・ジェーン」の出来事に共感できてしまうことが何より悲しい。
あのマインドは過去の話なんかではなくて、今も同じように続いていて、登場した人たちの恐れや怒りは本当にあるある。会議室の場面は秀逸だっ
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FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)

3.0

これが“フィリピン”ということで良いのだろうか?
自分が知っている世界の常識だけではなにもわからない。ということを改めて自覚する。

いつも“赦し”というものがワカラナイ。いつかわたしにもわかる日が来
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

「犬が家にいるということはこういうことか!」という映画だった。

ひとは自分が納得するストーリーを作り上げるし、その結論に合うような“証拠”を何でもないものから見いだす。

事故でも自死でも、その決定
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