ktyさんの映画レビュー・感想・評価

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湯道(2023年製作の映画)

3.4

若い頃、風呂無し四畳半で銭湯に通い続けた。そんな記憶と照らし合わせると、美しすぎる銭湯のセット、カメラワーク、キレのある編集、銭湯を運営する三人の俳優の演技は良かったです。あんな番台なら毎日でも通いた>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.1

バリ、オペラ座の現役バレリーナの栄光と挫折と再起の物語。

冒頭のオペラ座の舞台は圧巻。もっと観てたかった。私事ですが娘がバレエをやってたので、当時の事を思い出しました。バレエは、努力しても体型が変わ
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

4.5

イタリアの丘の上の小さな古本屋を営む老人リベロと人々の交流。

読書の大切さを教えてくれながら、丘の上から見下ろす風景の美しさが意識を拡張する仕掛けになっているという演出が素晴らしい。

読書にまつわ
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怒りの葡萄(1940年製作の映画)

3.5

1930年代前半失業者が1,200万人に達した頃のアメリカ。オクラホマの家族が農地を追い出され、仕事を求めカリフォルニアに向かう。貧しい人々がこれでもかと登場する中、家族が助け合う切ない作品😞 貧しさ>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

3.5

アメリカの地方都市パターソンのバスの運転手その名はパターソン。インド系の美人の彼女とブルドッグのマーヴィンと生活する一週間。

彼の趣味は詩を書くこと。現実世界と、詩作の精神世界を行き来する繊細な感受
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中村屋酒店の兄弟(2019年製作の映画)

3.4

藤原季節演じる都会に住む弟が兄に会いに故郷へ。実家の酒屋を継ぐ兄と弟を描く短編45分。

『君達はどう生きるか』のポスターのキャラに似てた兄の朴訥とした雰囲気と、イケメンの藤原季節の都会の絵の具に染ま
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ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.1

知的好奇心に訴える迫力の導入部、映画に存在する全ての音の始まりと移り変わりを映画史に沿って並べた前半、声と効果音と音楽の3つに分類して技術面の総論的な構成の後半。引用された数々の名作の名シーンと著名な>>続きを読む

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.1

アメリカとフランスとイタリアとフィンランドのタクシー運転手と客の会話のオムニバス。

タクシーに乗って、車内の臭いや片付け具合、運転手の顔を見た瞬間、その運転手の人となりがビビッと伝わったことはありま
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アウト・オブ・リーチ 愛と洗脳の狭間(2013年製作の映画)

2.7

アメリカ版『愛のむきだし』か?B級サスペンス94分カルト宗教に捕まった旦那を取り戻すために妻が奔走する。

ニューエイジ系の怪しいスピリチュアルな単語も含めて会話が聞き取り安いのでヒアリングに良いかも
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世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

3.5

ブラッドリー・クーパー演じるパットは妻の浮気現場に遭遇し躁鬱病を発症。退院後ロバート・デ・ニーロとジャッキー・ウィーヴァー演じる年老いた両親の元へ。親の立場で観てしまうせいか、息子をいたわる両親のまな>>続きを読む

ころがし涼太 激突!モンスターバス(1988年製作の映画)

3.2

週刊漫画ゴラク原作のB級アクションコメディー。能天気な脚本は納得のあぶデカの大川俊道。竹内力が元暴走族のバス運転手😮あの髪型で雇うか?客も乗せず、運行ダイヤを無視し、爆走するという設定が無理筋😅

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姿三四郎(1943年製作の映画)

4.0

1943年黒澤明監督第一作。
勧善懲悪のアクション娯楽作品だけど第一作だけあって、いろんなことを試してるなぁと感じ入りました。
例えば
・下駄の背景の移り変わるシーン
・虫の音が蛙の鳴き声になり鶏が鳴
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情熱のピアニズム(2011年製作の映画)

5.0

1999年36歳で亡くなられた身長1m程の身体障害者のジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニ。
身体中の骨が簡単に折れる難病を抱えた彼に、神様は不釣り合いな大きな手と卓越した聴覚を与えた。
澄んだ
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

-

副音声解説付40周年記念版
一言あたおか
解説の一部を記します。

元は低予算で16ミリフィルムで撮影したものを35ミリフィルムにブローアップした。本作ではさらに4Kに変換し画像のノイズが除去され画質
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白い巨塔(1966年製作の映画)

4.3

優れた執刀医としての腕と教授への野心。田宮二郎の演じた財前五郎の激しい感情は普遍的。

彼の周辺の人物も名役者揃いでした。
東野英治郎は、水戸黄門の聖人のかけらもない。財前への嫉妬丸出しの老獪な演技が
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MEMORY メモリー(2022年製作の映画)

3.8

リーアム・ニーソンが演じる初老の殺し屋に忍び寄る記憶障害。

キレの良いアクションとスピーディーな展開の背景に、アメリカの社会の階層とメキシコからの移民問題の闇。正義とは何か考えさせられる作品です。
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セッション(2014年製作の映画)

2.9

鬼教師と独りよがりのテクニックに酔う主人公の過剰な演出は絵的には訴えるかもしれないけど非現実的。例えばテンポ。bpmの意味を知らなくても、メトロノームの数値を見れば、誰でも変だとわかる。キース・ムーン>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

3.4

来月日仏俳優スタッフ結集したセルフリメイク版が公開されるので1998年オリジナルを予習。若き香川照之と哀川翔の狂気の復讐劇。憎しみと痛みで攻める不穏な映像美が黒沢監督らしい。ドロドロしてるのに爽やかな>>続きを読む

アレキサンダー(2004年製作の映画)

3.3

豪華絢爛な宴やスケールの大きい戦闘シーンは見応えありましたが、コリン・ファレルの一昔前のヘビーメタルのロッカーのような雑にウェーブのかかった長髪が顔とも、紀元前の時代とも合ってたのか疑問でした😢

フランチェスコ(1989年製作の映画)

3.8

ヴァンゲリスが46歳の時の作品。
12世紀後半から13世紀前半のイタリアの物語。フランチェスコはイタリアの裕福な家の出身でしたが、富を捨て、乞食同様の身なりで、貧しい人々や病気の人々の救済に身を捧げま
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狂った野獣(1976年製作の映画)

4.1

昭和51年京都駅行きのバスを銀行強盗がバスジャック。元祖『スピード』78分。間抜けな川谷拓三、沈着冷静な渡瀬恒彦らの振り切った演技😊乗客のキャラが『スピード』より濃い😆若い頃の鶴瓶さんや三上寛のライブ>>続きを読む

快盗ルビイ(1988年製作の映画)

2.9

太い眉毛、カフェバー、家電製品、インテリア、ゆったりした自由が丘など80年代当時の記憶を掘り起こすようで懐かしかった。小泉今日子と真田広之の共演は微笑ましい。ただ映像の切り替えのテンポがヌルいと感じま>>続きを読む

ジャズ・ロフト(2015年製作の映画)

5.0

ユージン・スミスが『水俣』で報道写真家としての名声を取り戻す前の、戦前から戦後の苦闘の日々。

ロフトで遭遇した音楽家達や家族や隣人、編集者、評論家らの証言と膨大な写真、録音テープを再構築したドキュメ
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キネマの天地(1986年製作の映画)

4.0

1933年ドイツが国連を脱退した年から翌年の蒲田の制作現場の群像劇。戦争が少しずつ近づく世相が緊張感を加える。

有森也実の可憐さと、父親役の元旅芸人の渥美清さんの別格の凄み😆エンドクレジットに最初に
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FUTURE WAR 198X年(1982年製作の映画)

4.1

舛田利雄、勝間田具治、両巨匠監督に、『復活の日』の高田宏治脚本、制作総指揮、渡辺亮徳、劇中イラストレーションを生頼範義、メカデザインに辻忠直、キャラクターデザインを須田正己、声優に北王子欣也、夏目雅子>>続きを読む

スモーク(1995年製作の映画)

4.3

「情けは人の為ならず。」を地で行く。ブルックリンのタバコ屋の親父役のハーヴェイ・カイテルが活躍する、まるで『3丁目の夕日』😆

タイトルが示すように登場人物達はタバコを吸いまくります。タバコの煙が会話
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

野球部の試合の応援に駆り出された地味な高校生達。たわいもない会話とブラバンと試合の流れに浸る75分。日の当たらない生徒にも輝く瞬間がある😊

放課後アングラーライフ(2023年製作の映画)

3.7

都会でいじめられた女の子が関西に転校し釣り友達の友情に育まれ再生する83分。関西弁丸出しの明るさが、傷ついた心を少しずつ癒やしていく。ヒロインの顔のアップの痛々しい表情を捉えたカメラが、転校後、陽光と>>続きを読む

劇場版 あしたのジョー2(1981年製作の映画)

4.5

テレビ版の総集編は名シーンのダイジェスト版で慌ただしくなりがちだが、本作は何かが違う。

リングに倒れた敗者達や夢破れた登場人物達の想いが重なり、最後に迎えるホセ・メンドウサ戦。

男には、負けるとわ
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耳をすませば(2022年製作の映画)

3.3

アニメ版は神社のシーンが小っ恥ずかしくて挫折😣

実写版は、中学生のヒロインがひたむきに一生懸命演技してるけど過剰。演技指導した大人の責任。

バロンの造形や骨董品店のセット、美術制作の気合いが入って
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リトル・ジョー(2019年製作の映画)

3.8

リトル・ジョーという新種の赤い花の栽培が行われる研究所。ヒロインの研究者とその息子の親子の物語。

一輪挿しのような赤い花が整然と並ぶシーンに雅楽が流れる。オーストリア映画なのに和楽器の音色が鳴り響く
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.0

豪華客船パニックブラックユーモア作品。オストルンド監督の二度目のパルムドール受賞作。

前作のタイトルが「正方形」で本作は「三角形」。タイトルも尖っているが、内容も攻めている。

146分の長さを退屈
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.9

カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作らしい、一筋縄ではいかない異色作。

美術館で現代アートで集客するには「話題作り」ありきか?その話題の方向を間違えると悲喜劇を招く。現代のスウェーデンが抱える移民問
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

「故郷」の深い意味を知る。
1980年代政情不安のアフガニスタンからロシアそしてデンマークに「Flee」逃れたアミン少年が成長して半生を語るドキュメンタリーアニメ。

実話に基づくではなくて、「実話」
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喜びも悲しみも幾歳月(1957年製作の映画)

4.0

昭和7年から昭和32年の灯台守の夫婦が、激動の昭和史を背景に、苦楽を共にする物語。

灯台で働くって滅私奉公。
人里離れた僻地で何の娯楽もない。転勤ばかりで子供も可哀想。それでも船の航行と安全を守り、
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新・喜びも悲しみも幾歳月(1986年製作の映画)

3.7

おっとりした加藤剛と江戸っ子らしい大原麗子のチャキチャキした明るさが、夫婦の仲睦まじさを醸し出す。そこに父親役の植木等が突然訪れる。

原作も監督が手掛けているからか。木下恵介監督の脚本は純文学のよう
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