ドナルドダックじゃない方さんの映画レビュー・感想・評価

ドナルドダックじゃない方

ドナルドダックじゃない方

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レディ・イン・ザ・ウォーター(2006年製作の映画)

4.0

種明かしのない純粋なおとぎ話であり、通常ほどこされるようなリアリティに関する注意、配慮がほとんど意図的に放棄されている。つまり、良識のある大人なら一笑にふすような薄っぺらいおとぎ話を、大人たちが信じて>>続きを読む

罪と罰(1983年製作の映画)

4.5

幼稚園時代の忘れられないことのひとつに、誰とも戯れず毎日砂場の横でずっと立っていた内田くんのことだった。彼は小学生になって気がついたらウッチーと呼ばれるようになり戯れられるようになったが、立ってろとか>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

3.6

全員ほんとうにまるで根拠のないどうでもいい恋愛観を語り、アホみたいな状況に陥る。とにかく風景がいい。人が焦げている。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.5

耳が聞こえないのでケイコにどのようなコミュニケーションを取るか描写するだけで彼女との関係が浮き彫りになるのは便利だなと思った。
仲間と同調行動を取ることによって「一緒にいること」や「絆」を画面に定着さ
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ヒトラー暗殺、13分の誤算(2015年製作の映画)

3.5

『若きウェルテルの悩み』あたりから連綿と続くドイツのお家芸であるところのよろめき人妻物語をやるパートが7割ほどを占める。そういうものだと思えばかなり見れる。残り3割は、「なんかでかいことやらなきゃ」っ>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.5

コントとしては笑えたしこういうのを撮るならこれからも観るかもしれないけど、基本的には人と街と自然が撮れないロメールって感じだった。
延々と聞かされる間のない会話は聞けたもんじゃない。俳優に依存する映画
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汚れなき祈り(2012年製作の映画)

4.0

生まれたときから既に手遅れであったといえば、確かに、ともおもえる。

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.5

荷車がキィィと軋む音、だだっ広い荒野を歩くカットが延々続く。画としては何もおもしろくないのに、ケリー・ライカートの配役における「異物」の配置が絶妙で、全くダレない。
回りまわってどこにも行けない感覚や
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.0

復讐心に燃える若者をいさめる主人公像はポールシュレイダーの作品として新鮮だった。
オスカーアイザックは死んだ目でギャンブルをやり続ける。カードを指でさばき、チップを弄び、張って、勝って、降りる。
映画
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ボクシング・ジム(2010年製作の映画)

4.5

晴天を映したショット。次は晴天を背景にした木のショット。エンジン音。ボクサーの人形。「ボクシング・ジム」の看板。ミットを打つ音。ジムの外観。夕暮れの洩れこむ室内。同軸の寄りのショット。備品。グローブ。>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.6

アメリカで暮らすユダヤ系一家の境遇についてのジャーナリズム的な楽しみもある。
作中で何度か「二人だけの秘密」が交わされる様子が出てくるんだが、作中のエピソードが実話なのだとしたら、この映画が存在するこ
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

5.0

俺、犬が人間語を喋る映画ってすごくイヤなんだけどなぜかこれはいける。懐かしい気持ちになったのは音楽のせいだろうか。
それから、ちょうど1年前に亡くなった飼い犬のことを想った。犬にとっての天国が犬ヶ島み
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

2.5

冒頭の動機付けの部分がしつこくて、宿題を忘れたらどうなるのかを粘っこく描き、そして友達のうちまでいくのをお母さんから散々制止されるところも粘っこく描き、という点に同意できなかった。導入は簡潔でも効果は>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.2

原子爆弾の開発/使用というのが、全てのクリシェ、人生ゲームでいうところの「振り出しに戻る」だったならば(もちろんこれはただのゲームではないのだが)この映画のもたらす意味はなんなのかな。この作品の焦点が>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

1.5

まあ教養がなくても前提から説明してもらえれば理解はできるということにはなってるけど、それでも自分が笑えなかったジョークの解説を後で聞くことになるような悔しさがこの手の映画には残ることになると思う。そう>>続きを読む

星の旅人たち(2010年製作の映画)

5.0

例えば、優しくありたいと思えたときになぜかできないということもたぶんあるもので、自分自身や他人のままならなさに遭遇する瞬間の生命を、この映画のうちに見ることが俺には多かった。

PIG ピッグ(2021年製作の映画)

2.5

ブタを愛しすぎていたニコケイの気持ちは、常人には理解できないでしょう…きっと

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

5.0

私は(少なくとも私自身からはじめる)真実に生きているのか?、といった「問い」をドライブさせ続ける。そのような問いの中で愚鈍に生きざるを得ないみたいな、自分探しともとられてしまうような、他人からは勝手と>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

2.0

エンタメに振るなら十字架からビーム出したりした方が良かったと思う。
俺も気が狂ったときのために自称する悪魔の名前を考えておきたい。

宝島(2018年製作の映画)

4.0

人を撮る距離感がいいなと思った。物理的な距離ではなくて精神的な距離感。NHKの『ドキュメント72時間』とかのそれにちかい。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.8

この映画のすべてが嘘だということに救われる瞬間がある。
そして、劇中劇という入れ子の虚構の中で悩み苦しむジェイソン・シュワルツマンは現実によって救われる。

フィツカラルド(1982年製作の映画)

5.0

子供の頃にこれ見てたら映画監督を志していたと思う。

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

ランティモス映画に共通するいくつかのトピックについていま一度考えているんだけど彼は単にイズムや社会の決まりやモラルに興味ないというより、それを議論の対象にすること自体を哀れだと言ってバカにしてる感じが>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

3.9

生きていたら急におかしくなることもあるんだろうなーと思う。フランシスベーコンの画集をパラパラめくったり、美青年の股間がもっこりしているのを見かけたり、その契機となるタイミングがさもありなんって感じで良>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

4.0

自由な意志とそれに伴う責任を取ることはセットで考えられているというルールに従えば、このフィクションの世界は辺鄙な社会に思えるけど俺らが生きている社会となんら変わらんな。

アルプス(2011年製作の映画)

4.5

誰かが誰かの代わりになり得るというのは、人は実存ではなくイメージの中に生きている。逆に言うとイメージできるものならなんでも補完できる。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.0

人間同士の会話が成り立っていないところがランティモス映画の良いところなのに、ランティモスが自分で脚本書かなくなってからは萎えるような説明口調の台詞が多い。
変なダンスのシーン、あの瞬間には愛があった。

霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

2.5

何を言ってるかわからないだろうが、「あの世」が「この世」に同軸で存在していないなら「世界全体」は存在しているとは言えなくて、帰納的に世界は存在しないってロジックらしい。
自分がどこに生きているのかも分
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英雄の証明(2021年製作の映画)

3.0

主人公がどうしようもなさすぎて「こ、これがケーキを等分に切れない非行少年…」って気持ちになった。

スワン・ソング(2021年製作の映画)

1.5

自分が死んだあとの世界について気が廻る人はすごいと思う。

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

おっさん二人と犬が山奥に行って、道に迷って野宿し、翌日に目的地の温泉に入って帰るというだけの映画なんだが、心の深いところに触れられたような感覚があって素晴らしかったな。

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

いつものカウリスマキ映画なんで、いいもん見たなという感想しかない。厳しい生活、冷たい社会、そんな中でも生まれる市井の人々のちいさな連帯。真顔で放たれるすっとぼけたユーモア。カウリスマキによって定式化さ>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.5

すべてが偶然ではないという寓意。バリーコーガンの魔力で種明かしが種明かしになっていない点も気味が悪くて良かった。

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