kanamiさんの映画レビュー・感想・評価

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トイレのピエタ(2015年製作の映画)

3.6

死を宣告されたらきっと、残りの時間のことばかりを考えてしまいそうだ。
だけど残りの時間は「今」の積み重ねで消費されていく。
宏の無表情と麻衣の情動の対比がそのことを浮き立たせて命の輝きとどう「生きるか
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.5

言葉で伝え合えないということは、嘘がないということなのかもしれない、とずっと思いながら観ていた。
表情や、態度や声の大きさ、人間は色々な表現方法を持っている。相手に関心を持って観察することをもっとして
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Love Letter(1995年製作の映画)

3.7

今の時代ではまどろっこしく感じるであろう手紙のやり取りや、確認できなくてもどかしく、想像するしかないこと。だからこそ大切に紡がれて心に残る。

樹(中山美穂)の回想描写がとても美しく、瑞々しい。光や風
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ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

3.5

今の自分は過去からできている。
いじめをはじめ人間性を踏み躙られた経験は人の何かを壊すのかもしれない。
森田は、もはやサバンナの獣のように生活の延長線で人を殺しているように見えた。
対照的に人の言葉に
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シティーハンター(2024年製作の映画)

4.0

最高の娯楽映画でした。
これだけ愛されている作品の実写化はハードルが上がるのは必至ですが、実写化ならではの域まで達してあまりある作品だと思います。鈴木亮平さんの仕上げ方はいつもながら素晴らしい✨相方の
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

3.8

時代性も取り入れつつ、人間の本質を優しく描いていてとても良かった。
どの人も家族といる時は言いたいことを素直に言っているし、自分の心に素直に従って生きてる。それは多分下町だから、昭和だからということで
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怪物(2023年製作の映画)

3.8

辛いこと、関わりたくないことから目を背けることでその場は凌げても目を背けたことを自分は知っている。
自分は何故目を背けるのか、そこをきっかけに自分というものと向き合ってゆけばきっと何か変化が起きて新た
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象の背中(2007年製作の映画)

2.5

愛人の存在は墓場まで持っていって欲しかったなー本当に奥さんを愛してるなら。
「ゾウの背中」という題名も今ひとつストーリーからピンとこなかった。

福田村事件(2023年製作の映画)

3.8

戦争、そして震災。人が人として生きていくのが難しすぎる。
当時は情報がなさすぎて混乱が起きた時代だけれど、今は情報が溢れすぎて混乱しているのかもしれない。
どんな時代であっても目の前の状況に自分のとる
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市子(2023年製作の映画)

3.5

選択できない過酷な人生を、それでも生きぬいてゆく強さと、背中合わせの危うい心情が胸に迫った。

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.9

全編にわたって詩の朗読と音楽を聴きながら、美しい映像を見ているような映画。
天使から人間になったダミエル。人間が子供だった頃を今新鮮に味わっている。人間として生きている不思議、愛する人と出会える不思議
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.8

アナのまっすぐな瞳が時に輝き、時に絶望して心にもまっすぐ届いた。
政治的背景と日々の暮らし両立から抑圧された空気感が漂う。
抑圧された人間が子供であっても弱いものに向かう理不尽さに怖さを見た。

ほかげ(2023年製作の映画)

3.8

題名でもある「ほかげ」は作中に出てくる真っ暗闇に仄かに灯る希望のような小さな火なのか、やっと生きている女や男や帰還兵やあの坊やの生と死が紙一重な儚い命なのか。
趣里、森山未來2人の身体的な表現が素晴ら
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.6

カウリスマキ監督初観賞。
無表情な中にも暖かさや切なさが滲み出ているところがなんとも魅力的。
ダメなところがまた人間らしい。 日常が誰かと出会えたことで動き出す、その立会人になったような感覚だった。
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

淡々と同じ毎日、同じ仕事、同じ休日を過ごしているようでも、同じ日は1日たりともない。そして、同じ自分でも決してない。
同じ音楽を何十年も聴き続けていても、今その音楽を聴くことを選んでいるのは「今」の自
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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007年製作の映画)

3.8

オカンを演じた樹木希林の若い頃を内田也哉子が演じているのだが、その存在感は圧倒的な遺伝子の強さがあった。
根っからの自由人であるオトン、オトンに心底惚れてるオカン。2人の関係をちゃんとわかっている息子
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.0

映像、物語、音楽がこれほどマッチしている作品は数少ない。
ブルーグリーンの映像に赤が活きた画面はヴィム・ヴェンダースが小津安二郎監督を敬愛しているからかのか。後半に登場するナスターシャ・キンスキーの圧
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ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

3.7

思いついて、動いて、現実を知ってまた動く。若さ特有の理想と現実。彷徨っているうちに自分の居場所を見つけて、いつか「そよもの」ではなくなって大人になる。
「よそもの」でいることの気軽さと不安定さが
ファ
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

4.1

弱い犬がきゃんきゃん吠えるようにありとあらゆるものに噛み付く主人公のビリー。
不条理な連れ去られ方をしたのにいつのまにか彼の繊細さ、優しさを好きになってしまうレイラ。まだあどけない中にも母性の塊のよう
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正欲(2023年製作の映画)

3.9

読了後鑑賞。
人は結局一人だ。だから何かと繋がりたい、繋がって生きていきたい。
分かり合えなくても大切なかけがえのない相手と出会えたなら命懸けで向き合いたいと思わされた。いつかは終わる命だから。
ガッ
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かぞく(2023年製作の映画)

2.5

「あらすじ」にあるようなま「喪失から再生」を描いているのかわかりませんでした。
4組の家族はそれぞれにかなり深刻な問題を抱えていて、大切なものを失っています。
再生という確かな希望が持てるラストはどの
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東京画(1985年製作の映画)

3.3

ヴェンダース監督の小津安二郎監督への敬愛の気持ちをとても感じる映画。
でも、それはヴェンダース監督の感じる小津監督作品に対してであって、イコール当時の日本(日本文化)ではないのでは?と思いました。制度
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リスボン物語 4K レストア版(1995年製作の映画)

4.0

ヴェンダースの映画への愛と人や暮らしへの温かな眼差しが溢れる作品。
足にギプスがついていようとも、タイヤがパンクしてスペアのタイヤを間違えて捨ててしまってたとしても、会いたがったから来てみたら誰もいな
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銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

3.7

宮沢賢治はあまりにも有名だが、裕福な家庭に育ったことは知らなかった。それゆえに彼の作品の素晴らしさには好きなことが学べたという背景がもちろんある。朝ドラの「エール」を思い出した。
どちらにしても子供は
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

3.8

主演のマリオン・バルボーがとにかく素晴らしい。バレエ、ダンスの表現はもちろんのこと、視線や仕草にも、豊かな感情があふれる。
物語は一つのことにのみ打ち込んできた主人公が、ある日急にそれを奪われた絶望か
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バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

3.7

人の心もカフェも朽ち果てる寸前にやってきたジャスミン。
ジャスミンのユーモア、無邪気さ、人間的な温かさが周りの人に伝染してゆき、拒否反応を示していたブレンダと心を通わしてゆく。
そうやってどこかに自分
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菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.3

木竜麻生、渋川清彦が良かった。
重く苦しいテーマだけれど、かつての自国の姿の一部として心に刻んだ。
権力のあり方について考えた。
3時間は長く感じた。

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

3.3

アクションと冒険活劇と思って観ると良いと思います。後半の飛信隊の活躍は敵将の首をゴールに据えたラグビーを見ている気分になりました。大沢たかおの役は唯一無二。

砂の器(1974年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

小説は未読。
長いラストの、和賀の音楽をバックに幼少期の様子を映す手法は小説では表現できない部分だと思う。
音楽も丹波哲郎の語りも素晴らしかった。
和賀の殺人にまで至った動機がはっきりわからないのは、
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

今までのジブリ宮崎駿映画の集大成であり、次の世代へのメッセージを強く感じた。
これまでの作品と根底に流れるものは変わらないけれど、歳を重ねた宮崎監督が生と死を描く時、それは別世界の話ではなく扉一つ隔て
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浮雲(1955年製作の映画)

3.7

浮雲というタイトル通り根を張ることのない二人の関係。
高峰秀子の表情が秀逸だ。
富岡(森雅之)のラストの背中に深い後悔が見えて救われた。

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.1

まっすぐで純粋な思いは強い。
経験や知識など意味なく跳ね飛ばす。
ジャズの、その中でもソロはどこまでも自由で、そしてお互いを信頼してこその「音」がそこにはあって、圧倒された。
とにかく曲も音も素晴らし
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RRR(2022年製作の映画)

4.0

想像を超えるたたみかけるように続くアクションシーンには圧倒されます。それ以上に反撃の発想が次々と予想を超えてくるので何度も「えー!」と言ってしまいました。
勧善懲悪なストーリーは悪は完全なる悪で気持ち
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月の満ち欠け(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ファンタジーとして観るにはリアルな表現が多かった。
もちろん絶対にない事とも言い切れない。
80年代の早稲田松竹が懐かしすぎて物語に入り込むのにちょっとタイムラグがありました(笑)

まず有村架純さん
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東京暮色(1957年製作の映画)

3.5

有馬稲子の美しさもさることながら山田五十鈴と原節子の対照的な美しさも目を見張る。
捨てた娘に悪びれもせず「よく会いにしてくれたわね、おあがんなさいよ」と言えるところがかえって怖かった。
かなり深刻な場
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

映画は聴者である人の日常的な視線に立って映していました。
私は日常生活で手話の会話を見ても内容はわからないけれど「楽しそうだな」と感じるし、聞こえる聞こえない関係なく相手の様子から「辛そうだな」と感じ
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