もともとSEEDシリーズはファーストをはじめとした過去の遺産を臆面もなく食い潰す精神が嫌い。今回の劇場版はストーリーテリングもアクションもぜんぜん出来てなくて、改めて嫌いなシリーズだったと再認識。嬉々>>続きを読む
ジョナサン・グレイザー健在。出来る限り音響の良い劇場で、暗闇に身を沈めて見なければ意味がない。観察がほとんどのディテールを説明しない中、巧みに関心領域を使い分ける人間の暴力性が浮かび上がる。歩き方1つ>>続きを読む
したたり落ちる汗、脚、尻!主演スター、ゼンデイヤを囲んで何ともキュートなオコナーとフィスト。彼女を巡るトライアングルに見えて、彼女が成立させている男たちの愛でもある。フロアで踊り狂うようなテニスシーン>>続きを読む
兄ジョエルの単独作『マクベス』同様、“コーエン兄弟”というユニットが緻密なバランスの共同作業のもと傑作を作り続けてきたことが逆説的によくわかる。クアリーとビスワナサンの主演コンビはキュートだが、それで>>続きを読む
学校教諭は観たら卒倒モノのスリラー。“不寛容方式”を取り入れた校内で、窃盗事件が多発。主人公の教師は現場を押さえようと隠しカメラを設置する…キャンセルカルチャーに始まり、戦中戦後のドイツ史も包括する学>>続きを読む
終映後もなお反芻せずにはいられないタイトル。濱口メソッドの“素読み”がこの国のあらゆる悪を暴き出す住民集会シーンは白眉(しかも思いの外、笑える)。文明と未開を対比し続けるロルヴァケル映画とも似たマジッ>>続きを読む
試写。のめり込まずにはいられない映画。子ども達には季節が巡り、既にその時を終えている大人は前を向いて生きなくてはならない。氷の上を滑り、冬の光線を捉えるカメラの繊細。池松壮亮のリアリズムと卓越した感情>>続きを読む
ショーン・ダーキンならではの伝記映画。強権的な父親によってほとんどカルトと化した“呪われた一族”フォン・エリック家の悲劇。ザック・エフロンが鍛え上げられた肉体に怯えきった心を隠した次男役で目を見張る。>>続きを読む
チェーホフ戯曲の翻案をアンドリュー・スコットが全役演じる1人芝居。テクニックに留まらず(フィーリングと音感で演じ分けてる)、キャラクターの人格から創造する性格俳優の面目躍如。原作が持つ人間の渦巻くよう>>続きを読む
20thFOXがディズニー傘下に入ったらこうもエッジがなくなってしまうのか。マット・リーヴス版3部作の持っていた緊張感、多層的な問いかけに及ぶべくもなく、アドベンチャー映画に終始する割に145分は長い>>続きを読む
さめざめと泣く。僕はセルフケアの話だと思った。愛しい相手との叶わなかった対話を繰り返すことで、普遍の孤独と向き合っていく。情感を湛えたアンドリュー・スコットの名演。『aftersun』同様、涅槃を越え>>続きを読む
聾唖の主人公サナは理不尽な暴力に曝され、夜毎銃を持って街へ繰り出す復讐者と化す。現在の諸作への影響も垣間見え、いくらでも政治的正しさで語り直せてしまうが、妻の不貞を疑った男のモノローグこそ重要。人間の>>続きを読む
試写。今年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作。ロシア軍の包囲が狭まる中、現地の実情を世界に発信しようと奮闘するAP通信取材班。決死の脱出劇を見せ切る終盤の構成力に、オスカー受賞時「撮りたくなかっ>>続きを読む
試写にて。
ラジ・リは『レ・ミゼラブル』『アテナ』(脚本)に続き、“パリ郊外団地モノ”という独自ジャンルを確立した感。燃え盛る炎、団地という“スペクタクル”。だが前2作からテーマは一歩先に進んでいる。>>続きを読む
試写にて。
世界興収2億ドル超えの大ヒット作。みんな超ド直球の(90年代風)ハリウッド製ロマコメが見たかったってこと!セクシーでフレッシュな新進2人にイイ気分!
拾い物の1本。周囲の環境音がリズムになって聞こえる共感覚を描いたミュージカル青春映画。監督、脚本、主演、音楽、振付を手掛けるルディ・マンキューソは今後、バジェットが大きくなればさらなる快作を撮りそう。>>続きを読む
マイケル・ジャクソンなどの替歌で80年代に人気を博したパロディ歌手ヤンコビックの伝記映画…という触れ込みの“パロディ伝記映画”。マドンナ役のエヴァン・レイチェル・ウッドがノリノリで可愛い。
なんていい湯加減の娯楽映画なんだ!監督はダグ・リーマン。オフビートで、主演のジェイク・ギレンホールもニヤニヤ笑いが止まらない心地良さ。近年のギレンホールは“普通のハリウッド映画”を意識的に選んでいる感>>続きを読む
わずか106分を贅沢に使った情感あふるる1本。男達の繊細さと優しさに泣かされた。目だけで心情と年月を表現するユ・テオの才能。祖国という“前世”を持った移民のアイデンティティの物語であり、愛しい人の過去>>続きを読む
ローラ・ポイトラスによる圧巻のドキュメンタリー。「生き延びることがアートだった」と言う写真家ナン・ゴールディンを通じて浮かび上がる芸術と政治、『シチズンフォー』でも描かれた個人と社会、権力の偏執性。昨>>続きを読む
劇場未公開が悔やまれる好編。1970年、11歳のマーガレットは引っ越し、友情、身体の変化などを神に語りかける。父はユダヤ教で、母はクリスチャン。宗教的アイデンティティを模索する青春映画でもある。レイチ>>続きを読む
主観の映画。政治的プラカードを拒否し、共感できない主人公、およそ初見では把握しきれないストーリー展開、そして生まれ育った国で決定的に異なる解釈とあらゆる面で観客の主観に委ねる。原爆投下後の幻視は僕たち>>続きを読む
試写で。
怒りと暴力を抑制できないベニーは親に捨てられ、やがて福祉も彼女を見放し始める。主演のヘレナ・ツェンゲルは本作の後、『この茫漠たる荒野で』に出演。9歳で完全に役柄を把握している天才。強い使命感>>続きを読む
腰が上がらず今まで見ていなかった映画。想像以上にシンドい話である事に加え、『アメリカン・フィクション』を観た後では、一層「これ、絶対今の時代じゃやれないな…」という気持ちが強まるし、スピルバーグも絶対>>続きを読む
オールスターキャストを得たヴィルヌーヴが映画のスペクタクル、ナラティヴの復権を賭け、凡百のハリウッド映画を砂漠に葬り、観客に「楽園へ連れて行ってやる」と宣言する。遅くてもいいし、ダークでもいい。次代の>>続きを読む
『チェルノブイリ』のヨハン・レンク監督。互いに引力を見失った夫婦の瞑想的SF。宇宙飛行士の夫は孤独に打ちひしがれ、内なる宇宙の反響に耳を澄ます。浮遊するカメラ、マックス・リヒターの音楽、宇宙蜘蛛ポール>>続きを読む
純文学作家のモンクはステレオタイプの黒人文学を書いた事からバカ売れしてしまう。コード・ジェファーソン監督は自身の脚本を転がし切れていないが、ミドルエイジクライシスのドラマとしてはなかなか刺さった。強烈>>続きを読む
2000年代初頭のスーパーヒーロー映画を観ている既視感。ユニバースに積極的に加担しないソニー製マーベルは、潔くこの辺のユルいアメコミ映画に回帰しつつあるのかも。
キャラクターが揃ってから一向に話が弾>>続きを読む
ガイ・リッチーの力作。アフガニスタンで現地通訳者に命を救われた米兵が、恩義を返すため戦地に戻る。十割打者ギレンホールと共演ダール・サリムの名演。アメリカの対外政策への痛烈な批判であり、この映画の向こう>>続きを読む
ディズニープラスで。「最近のMCUでは1番楽しい(マシ)」とか何の慰めにもならない仕上がり。悪役にマトモな俳優をキャスティングできなくなっている点でもかなりヤバいと思う。
終盤、激アツ。あまりにも自己言及的な作品なので、『ミツバチのささやき』や『エル・スール』等を復習してからの方が良いような気がした。もう1回見る。
じんわり。全てが完璧に揃った『ケイコ』のようなステップは踏めていないが、東京の何でもない下町に凝らした目線は変わらず、夜空の下で私達は肩を寄せ合い、時に誰かは隣で瞬く星なのだと教えてくれる。息をするよ>>続きを読む
撮影は『ノーマル・ピープル』のケイト・マッカラ。傷つき、老いた夫婦が再生し、試される物語でもある。静謐でいて緊迫する終幕からのラストシーンがいい。
93年に『生きてこそ』のタイトルで製作されたウルグアイ空軍機遭難事故の再映画化。生還者ではなく死者の声に語らせるのがJ・A・バヨナ。極限状況に追いやられた青年たちは肉体と魂、この世とあの世の境界を超え>>続きを読む
最強のエマ・ストーン。こんな女優になるなんて、誰が想像した?と言いつつ、ブレイク作『Easy A』からの正統であり、監督ヨルゴス・ランティモスも出世作『籠の中の乙女』から一貫している。土曜の都心シネコ>>続きを読む
題材は興味深いものの、ストーリーテリング、撮影、編集に取り立てて見るべきところはなく、これが大きな作品になっても面白くなるとは思えなかった。まだまだ素描。