ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価

ピロシキ

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北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

4.0

めまいの後で、サイコの前、ヒッチコック後期ゴールデン・エイジの代表作。と聞いても、北北西って恵方巻きかなぐらいにしか思わないし、そもそも全然ヒッチコック詳しくないし。軽はずみに再生を始めたが最後、マウ>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.9

誰が考えたこの邦題。原題が「教員室」なのに対して、邦題が「ありふれた教室」に置き換えられた真意やいかに。原題は、ある日教員室で起こった「非常」の出来事について、一方で邦題は、いつも教室で起こっているあ>>続きを読む

パームビーチ・ストーリー(1942年製作の映画)

3.8

例のラスト、それも最後のほんの30秒のチカラワザ。オープニングでぶっ倒れてたお手伝いのおばさんと同じリアクションになっちゃいそうな、あまりに強引な締め方に呆然。これで良かったのか…?と問われましてもな>>続きを読む

ハタリ!(1962年製作の映画)

4.7

実写でこんなスペクタクルを見せつけられたら、今後CGで描かれる全てが「ハッタリ!」に見えてしまうじゃないか。ラスボス・サイの捕獲シーンなんて凄まじすぎて笑ってしまう。オープニングでの負傷事故をちゃんと>>続きを読む

有りがたうさん(1936年製作の映画)

3.6

ありがとうさん。坂田利夫師匠の「ありがとさ〜ん」のほうかと思いきや、Mr. Thank You、なんとイケメンバスドライバーのあだ名のほうだった。東京へ売られていく若い娘たちを送りつづけてきた、ありが>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

3.3

バズ・ラーマンの『エルヴィス』が「スーパースターだって一人の人間だ」なら、ソフィア・コッポラの『プリシラ』は「スーパースターの妻だって一人の人間だ」といったところ。アッチが大変だったとき、コッチも大変>>続きを読む

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)

3.3

似たような着物のチャンネーがいっぱい出てきて、色男が結局誰を好きなのか、途中見失いそうになる。あと、自分が破産したせいで一家で夜逃げすることになった志村さんが、好きな彼にさよならしないといけなくなった>>続きを読む

王と鳥(1980年製作の映画)

3.5

王vs鳥。絵から飛び出た美男美女や何度も罠にかかってしまうかわいい小鳥さんたちと比べても、明らかに王様だけがブサイクな仕上がりという偏ったキャラデザイン。それに加えて、気に入らない人間は容赦なく穴に落>>続きを読む

按摩と女(1938年製作の映画)

4.0

歩く二人を正面から捉える冒頭と、それと対になるラストシーン。それに加えてたびたび出てくる、滑らかすぎるパンショット。そして徳さんが、すれ違う彼女の気配を察して「ミュート」になるあの瞬間。嗚呼、是は藝術>>続きを読む

駅馬車(1939年製作の映画)

4.2

インディアンがめちゃくちゃに悪者扱いなのはいったん「時代のせい」として置いておいたとしても、冒険活劇としての『駅馬車』の面白さは、時代を超越している。馬から馬へと飛び移る正気の沙汰ではないアクションに>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

3.9

ポスター良し。幼少時の家族との記憶を目を閉じて反芻する主人公、そしてそれを隣から温かな眼差しで見つめるもう一人の彼。星の数ほどの出会いの中から、共に生きることを決めた2人…

主人公がクィアーになるな
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僕はキャプテン(2023年製作の映画)

4.0

マッテオ・ガッローネの作品を今まで一度も好きになったことはないけれど、これはもう。今までの作品同様に、非情な現実を叩きつける姿勢に容赦はない。とにかく視覚的にも心理的にもひたすらしんどいお話である。し>>続きを読む

これがロシヤだ/カメラを持った男(1929年製作の映画)

3.5

およそ100年を経て、正直、本当にこれがロシアかと言いたくなるような世界情勢ではあるけれど

カメラの三脚がヌルヌルと動き、ストップモーションまでやっていたのかと感動。技術のひけらかし、大歓迎、しかし
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.2

2008年公開当初は、IMAXシアターなんてテーマパークにしかないもんだと思っていたし、実際にそうだった時代。ここからノーランがIMAX撮影を始め、映画業界の変革が始まる。エポック・メイキングである。>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.2

『GIFT』では石橋英子氏のライブパフォーマンスと並列扱いだったサイレント映像が、こちらでは完全に劇映画として前面に出ているわけで、まさしく濱口ワールドの独壇場であった。たしかに『GIFT』はガッツリ>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.7

邦題は的確かつ率直な訳。

「写真家ナン・ゴールディンvs.サックラー社」をめぐる、beautyとbloodshed。自らのアートを用いて、社がやらかした失態に抗議する。ピルケース投げたり処方箋ばら撒
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ローラ(1981年製作の映画)

3.4

ファスビンダーじゃなかったらそもそも観ようとすら思わないであろう絶妙につまらないお話(なんとリメイク)は、売春宿の便所から幕を開ける。ギラギラのライティングに彩られ煌びやかに着飾った女と、彼女を取り合>>続きを読む

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.8

フォロウィング(尾行)を趣味とする男が、家宅侵入するコッブという名の男と知り合い、行動を共にし、しだいにコッブの言葉にフォロウィング(追従)するようになり、ついにはコッブのフォロウィング(模倣)を始め>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.2

パスト・ライブス(前世)の意味を紐解くような、終盤の横移動は美しい。でもごめんなさい、これはさすがに過大評価だと思う。うがった見方から抜け出すことができなかったのは単に自分の都合。しかし仮にもかつて勉>>続きを読む

ソドムの市(1975年製作の映画)

4.0

ついに観てしまった。ウンコはまだしも、やっぱり最もショックが強いのはラスト5分のシーンだった。罪のない無垢で美しい市民が、権力者から一方的に弄ばれ、虐げられる光景。そしてこのあとパゾリーニ監督が(まる>>続きを読む

ざくろの色(1971年製作の映画)

4.2

あとから解説に「全8章で構成される」と書いてあるの見て「どこが!?」と声出た。どこで章変わってたのか自分にはまるでわからなかった。意味を持たせようとすればするほど、わけがわからなくなっていく。あらすじ>>続きを読む

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)

4.4

Amazonで4,0000円超えの廃盤DVDを買うべきか否か、迷った末にようやく再上映の機会を見つける。面白かったとか以前にとにかく「みた…!」って感じである。ご飯食べてから観たら絶対寝るという確信が>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.6

邦題。置いてけぼりのホリディ。ちょっと待ってイが小さい…イが小さィ…

中盤からロードムービーになる構成も、音楽も、ところどころ同監督『ネブラスカ』を彷彿させる。ネブラスカ大好きな自分にとっては、無条
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

アラキスのフレメンたちからマフディーだと思われてムアディブだのウスールだのと名付けられたポールが、フェイダキンになったあとゼンデイヤといい感じになったりリサン・アル・ガイーブとして崇められたりする一方>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.2

声出して笑えるシーンの後に、すかさず訪れるシリアスなシーン。喜劇は悲劇と表裏一体、これがブラック・コミュニティの現実だ……ってちょっと待ちなさい。アメリカン・フィクションというタイトルを通して、逆説的>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

3.4

エキセントリック少女ガール。これといってたいした感想は浮かばないが、主人公の男子にナチュラルに彼氏がいる感じとか、新たなスタンダードを打ち出そうとする姿勢には畏れいる。ただ、ニモーナがやかましくいろん>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.9

より鮮明になった映像のお陰もあり、もはや新作。2000年製作だが時代性は皆無で、むしろ民衆が蜂起して街に火の手が上がるシーンなんて、ついこないだのニュース映像みたいで、もはや現代。〈街の広場に現れるサ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

よくできた法廷ドラマ。それも、たいした毒味のない、たいした風刺もない、ただのよくできた法廷ドラマ。その範囲を出なかったんだが、あれやこれを差し置いて何がそんなにパルムドールだったのか、あれやこれを差し>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

3.6

くしくも今朝、"本物かどうか見分けがつかないような" 動画を生成するオープンAIの「SORA」が誕生したというニュースを目にして、この作品にも親和性を覚えることとなった。恐るべきスピードで進化するAI>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.3

体感209分。総じて意味不明。ラストだけ声出そうになったので増星。謎だらけだがもはや解き明かす気もなく、謎は謎のままで結構。個人的な妄想の具現化に莫大な予算が投じられる、アリ・アスターとA24との信頼>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

2.9

大雨のなか乱暴に家を追い出され、ショットガンまで突きつけられて大ピンチの妹に向かって姉が言い放つ「手紙書いてネェ〜〜!!」に、不謹慎ながら派手に吹いてしまった。たしかに妹が出て行かないと物語は動かない>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.1

一度で覚えられないような苔の名前を完璧に暗記している彼女だが、二度も出会って心を通わせた彼の名前は、知らない。それでもいいのだ。スープの温かさが胃にも心にもやさしい、ある出会いについてのお話。日にち経>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.0

その気になったら2,3日(つまり2,3晩)で撮れるかもしれない、かなりミニマルな作り。終電乗り過ごしたおかぁちゃんがなんとかして朝方に帰宅するまでの間に、いろんな人と出会い関わって、良くしたり良くされ>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

いくらなんでも、良すぎやしないか。個人的にはK点超えの(『ケイコ』を超える)傑作だ。

中盤から我慢できなくなった隣のおねえさんがチラチラスマホを触り始めていたけど、なんならその眩しい光すら、オリオン
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.4

嗚呼。31年間映画製作から離れていたビクトル・エリセ。主人公はまさしく監督の分身。それにしても、デブュー作「ミツバチ」からちょうど半世紀を経て、アナ・トレントが放つあの一言。正直、あの一言のためだけに>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.7

グラシネ池袋IMAX、上映後自然に起こる拍手。我慢して大人しく座っていられた自分を褒めたい、脳内絶叫上映。クリアな映像と音像いや、バカでかい画面とバカでかい音に圧かけられまくって、終始幸福。なんか途中>>続きを読む

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