QRPさんの映画レビュー・感想・評価

QRP

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碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.5

ずっと軽い語り口なら成立しそうだけど、シリアスに振れるところではそんな話あるかなと疑問符のつくアンバランスな印象を受ける。どう考えても質屋は絶許だし、キョンキョンの優しさは不自然だった。
のどがつかえ
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Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)

3.5

冒頭から不思議なノイズが入るので何かと思えばペダルを踏む音だった。ピアノの音だけでなく息遣いも含めて坂本龍一から発せられる全ての音をスタジオの空間ごと切り取ったような映画で、観客はすぐそばにでもいるか>>続きを読む

雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)

3.0

東宝3作品で描かれた要素が全部入り。濃すぎる新海誠の原液ソース。電車と駅とすれ違いはこの後もずっと出てくるけど、特に新宿駅を緻密に描くフェチはなんなんだろう。それらにプラスしてめっちゃエヴァ感。ずっと>>続きを読む

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

3.0

迷惑な続編かと思いきや意外と面白い。人間狩りや浜辺のロケーションなんかはまんま一作目のオマージュ。故郷を焼き出された若者が旅に出る王道冒険もので朽ち果てた文明の遺構が残る世界観が良い。
ヒロインのメイ
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恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

3.0

絵に描いたようなラブコメ顔のキャスト。主演のシドニー・スウィニーは今一番来ているとのことだが全然知らないので調べたらドラマでブレイクしていたよう。
全世界興収300億らしいけど、みんながこの丁度良さを
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

イヤすぎる。イヤすぎるけどなんでこの小さい違和感の積み重ねによるイヤさを映画にしたんだと思ったら、予告で挙げられていた通りの『ファニーゲーム』な不条理ものになる。単にイヤなだけかと思っていたけど、思い>>続きを読む

トラペジウム(2024年製作の映画)

3.5

今更ながらtwiceを聴き始めてアイドルに興味が出てきたところに丁度SNSで話題なので。特にネオリベ時代の投資マインドで他人を踏み躙る成長幻想というパワーワードを目にしてめちゃくちゃ興味を惹かれた。流>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.0

ジャンル映画として満点。藤井道人にはこの調子で今後もハードなやつとソフトなやつを交互に撮っていって欲しい。
チラリと映る名画座のチケットの日付が2006年ということはジミーと自分は同い年だ。実際の年代
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バジーノイズ(2023年製作の映画)

2.0

音楽映画は曲が良くないと始まらない。YouTubeの垂れ流しチャンネルの一曲レベルでBGMとして聴くのはいいけど魅了されるほどでは全然ない。
全体的にかなり厳しいけど中でも楽曲提供する職業音楽家を下に
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ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版(1975年製作の映画)

3.0

一見するとあらすじ通りの映画だけど、抑圧からの解放を描いているんだろうと想像できる。険しい山肌にミスマッチな服装の少女たちを捉えた淡い映像は幻想的で美しい。ソフィア・コッポラ特集と続けて見たけど影響が>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

4.0

ほぼ韓国ノワール。国産でここまでの雰囲気を出せたことがすごい。わりとみんなオーバーアクト気味だけど、きちんとシリアスなドラマとして成立しているので相当な手練なんだと思う。ただ見ている途中で単にジャンル>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999年製作の映画)

4.0

これやねん、俺のスター・ウォーズは、これこれーってなった。
ポッドレースの眠気を誘うマシン音だけが響くあのたるい雰囲気が好きだ。タスケンレイダーの雄叫びも良い。
ダースモール戦はBGM含めてやはり最高
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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.5

リアル電車男。これがきれいに描かれていないオタクだ。男はエロゲやっていて女はBL読んでるんだから。リアルじゃない、傷つけてないはその通りでノータッチならセーフ。ただその奥にまで同じ道が繋がっていること>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

5.0

「きらめきは生きる意味じゃない、最後は生きる準備ができたときに埋まるんだ」
最初のピアノ演奏場面から一気に引き込まれたのにタイトルの"ソウル"は音楽のことでなくまさかのミスリードだったとは。これからは
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成功したオタク(2021年製作の映画)

3.0

面白そうな題材だなと思ったけどあらすじ以上の内容はなかった。朴槿恵の支持者の集会へ赴くところはテーマがひらけていくかに思えたけど、冷やかしに終わってしまうのが残念だった。
推し活みたいなことはしたこと
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.5

『GO』とか『ルールズ・オブ・アトラクション』なんかのタラフォロワーかなっていう時系列シャッフルが同じように沢山あったけど、シリアスなクライムサスペンステイストなのとオチの付け方がなんともノーランっぽ>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.5

見逃していたから助かる。みんなが恐れ慄いたバリー・コーガンとはこのことだったか。ただの情緒不安定な子供かと思いきや急に怖いこと言い出して寒気がした。普通の物語であればじゃあ私が、となるところがそうとは>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.0

何でもありな状況でやることにしてはしょうも無さ過ぎる。それが目的だとは思うけど、もっと倫理観のギリギリを攻める内容を見たかった。ミアゴスがボンネットに乗りながらテメーの小説なんか誰も読んでねえよと悪口>>続きを読む

ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.0

おすすめされたので。前半は説明のためのかったるさがある。中盤にツイストがあったもののループもののギミックありきの範疇からは抜けられず。この手のストーリー展開が主軸になる映画なら結末は明解であった方が良>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

5.0

これはアラフォーまでもつれ込んだ新海誠作品。旦那を横にしながらとんでもない空気感を出す二人のやりとりがとても演技には見えなくてドキドキソワソワしてしまった。聞くところによると監督の実体験を元にしている>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

原作を知らないので幾田りらとあのちゃんのアイドル映画として楽しめた。
昔々にヤンサンとスピリッツを購読していたので初期の浅野いにおは一通り読んでるはず。その中で団地を舞台にしたノスタルジー漂う短編があ
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

あらすじを聞いた時に『フォックスキャッチャー』ぽいなと思ったけど正にそんな感じだった。家父長制と信仰と拳銃というディスイズアメリカなイメージでそれらが元凶となり崩壊していくことになる。
最初と最後で母
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

重厚な史劇なのかと思いきやいつものノーランエンタメで安心。異なる時間軸が一点に集約していくサスペンスは『ダンケルク』。筋を追うのが難しいと話題だけど、アインシュタインとボーアがこれ見よがしに出てきて格>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.5

ビクトル・エリセの半生と映画という虚構とこの映画を見ている自分の人生がシームレスに繋がる感覚。この映画の中では確かに奇跡は起こった。

2024年33本目

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.0

評判が良く見たかったけど中々チャンスがなく何とか最終日に。
綾野剛のカラオケは上手くはないけど下手でもない反応に困るレベルの普通。カラオケに通い詰めて上達していく話かと思いきやそういうのではない。
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

これを見ると人が人を裁くことの驕りを感じずにはいられない。人々の関心は真実を知ることではない。それどころか真実というものはもはや意味を無さないものとなった。夫婦関係の崩壊から世相に切り込んでいく意欲作>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

これだけ面白いのに見向きもされずに終わっていくのが映画の難しさ。変な家を見に来る10人にひとりでも見れば全然変わってくるのに。
まずもって事実上の主演である子役3人がめちゃくちゃ良い。いくら脚本劇とい
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あの夏のルカ(2021年製作の映画)

3.0

あからさまに人種差別に対する教育的なストーリーはテンプレート過ぎる気もする。もう少し背後に忍ばせる感じの方が好み。
カラッとしたイタリアの海辺の街並みと離れ小島の塔での寂しさ漂う暮らしの風景はなんとも
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.0

良い青色。大味なよくあるハリウッドムービー感。金ローが似合う。前作のジュブナイル感はわりと好きだっただけにオリジナルファンへの目配せ多めの展開にはあまりノレず。でもテレビで放送して若年層が映画を見るき>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.0

圧巻の映像と天井が落ちてこないか不安になるくらいの轟音と振動。特にサンドワームにまたがるところ。
前作のことはすっかり忘れ去ったので当たり前に出てくる専門用語に苦しんだけど、なんとなくわかってくる。
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.0

昨年末のリバイバル公開時に逃していたので今回の再上映は有り難い。
初見時は二十歳そこそこの頃だったと思うけどイーニドと同じように何者でもないくせに皮肉ばかり言っていた。自分はイーニドでありシーモアでも
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青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

4.0

スケールダウンした続編かと思いきや等身大の青春ストーリーで前作よりも個人的に刺さる。映画館と予備校生活が自分とリンクしてノスタルジックな気持ちになった。
ここ数年のシネマスコーレは坪井さんが顔になって
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.5

被害者の友人は殺された理由は「女だから」と答えた。警察は常に男性関係からの線を当たるが、その偏見が目を曇らせてしまったのではと思った。とはいえ単純に関わる人間が増えるほど被害に遭う率も高まるだろうとも>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

3.0

ともに最終日の『テルマ&ルイーズ』とどちらを見るか悩んだ末に未見のこちらを取る。タルコフスキーは10年くらい前のリバイバルのときに『惑星ソラリス』を見た以来。
わかってはいたけど、鑑賞後に解説を見ない
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π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

3.0

ヘクター・サラマンカ!
スクリーンからほとばしる映画への情熱は塚本晋也の『鉄男』に似たものを感じた。数学とヘブライ語の関連付ける陰謀論に終始疑問しかわかなかったけど、短尺だったのとハイセンスな映像で最
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

以前喧騒の街中に住んでいたことがあったけど家に入れば静かな都みたいスペースは確保できていたので嫌いじゃなかった。ボーの部屋自体は悪くなさそうだけど流石にあの住人たちは嫌すぎ。フルチンで飛びでたらフルチ>>続きを読む

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