チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価

チッコーネ

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コリーニ事件(2019年製作の映画)

3.0

世紀の悪で、エピソードは無尽蔵のナチ絡み作品は、本当にいつまで経ってもなくならない。
本作も然り。
近年は90代になった当時の女性秘書まで引っ立てて、有罪にしているドイツだがその一方で、ニュルンベルク
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異人たち(2023年製作の映画)

3.2

なぜか2組しか住んでいないタワマン…、内部に渦巻く静寂と孤独がうらやましくて、ゾクゾク。
また父と息子の直截かつ繊細な会話場面には、過去のゲイ映画にはない深化があった(FGH、PSBなど80年代のゲイ
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パラダイム(1987年製作の映画)

3.0

このテのホラーは、前半で好き嫌いが決まる。
本作は導入+タイトルロールに10分近くを進呈。
物語が開始されてからはオカルトに、現代科学や思想、言語学などアカデミックなスパイスを振りかけることで、独特の
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ビビアンの旅立ち-離婚そして新しい出逢い-(1985年製作の映画)

3.5

DVD化されておらず、なかなかお目にかかれない1本、ようやく観れた。
80年代の映画だが、舞台はまだラスベガスの体を成していない、50年代末のネバダ州。
終わり方はややあっけないものの、ハッピーエンド
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第七のヴェール(1945年製作の映画)

3.5

冒頭の、音楽にピタリと合った飛び降りシークエンスがカッコ良い。
天才ピアノ少女 VS ステージおじ様の構図、しかしメイソンはあくまで英国紳士。
ヒロインの不思議ちゃんキャラクターはうざったいものの、彼
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不夜城の男(2020年製作の映画)

3.5

お涙頂戴要素がほぼない、犯罪アクションエンタメ映画。
コメディタッチの演出も多い。
叩き上げの男性主人公にマフィア、悪徳政治家/検察官、刑事が絡み、ジャンキーのボンボンが異常行動に走るという盛りだくさ
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シークレット(2009年製作の映画)

3.0

利害が絡み合い、錯綜するサスペンス。
わざわざ香港ロケを敢行したラスト→エンドロール→もうひと山という凝った脚本。
そこまでやるなら、イヤリングとボタンを拾うカットも挿入すれば良かったに…(ボタンには
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野性の葦(1994年製作の映画)

5.0

『深夜カフェのピエール』、マリー・フランスが出てくる『バロッコ』を観て「監督ってゲイなのかしら」と思ったものだが、本作は自叙伝と聞いて納得。
とは言えただの青春ノスタルジー映画に留まらず「アルジェリア
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異魚島(1977年製作の映画)

3.0

当時の韓国で政権が急進させていた工業化の弊害を、映画内で言及するのは冒険だった様子。
そのあたりは意外に大真面目なのだろうが、それ以外にも「おどろおどろしい迷信に包まれた島の土着信仰」、さらに「圧倒的
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蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

3.5

復讐シリーズ中の1作ということだが、『蛇の道』との直接関係はなし。
またシリアスな作風ではなく、コメディ演出が頻出。
中途半端な長回しや、都庁通り(?)での行ったり来たりなど、撮影にも遊び心あり。
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お国と五平(1952年製作の映画)

4.0

時代劇だが、欺瞞に切り込む新しさと鋭さあり、さすが文豪作品の映画化。
「武家の寡婦が仇討道中に出る」という設定には意表を突かれた、実際にこのようなことはあったのだろうか?

ホトトギスの春、盆踊りの夏
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メタモルフォーゼ/変身(2019年製作の映画)

3.0

サスペンスかと思っていたらホラー、思いっ切り『プリースト』の二番煎じじゃないのと感じたが、虚実が入り混じる中で表面化していく家族間不信の描写、韓国映画にしては珍しい。
またキャストは地味ながら、粒揃い
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扉の陰の秘密(1948年製作の映画)

2.7

病院や医師は出てこないものの、のっけから夢占いの話。
制作当時の世に生まれていた、心理学への尽きせぬ興味が感じられる作風だ。
しかしヒロインもその夫も、本職の医師並みに物分かりが良過ぎる。
伏線はきち
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密告・者(2010年製作の映画)

3.2

「密告者の人権が尊重されていない」という事実を告発するかのような脚本で、金でしか利害一致を得られない警察権力と彼らの、ハードボイルドな関係が浮き彫りになる。
しかし作品全体に陰鬱な影を落としているのは
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迷宮の女(2003年製作の映画)

3.2

三人称の、突然の変化から「そう来たか」と驚かされる、意外な結末の仏産サスペンス。
多重人格の連続殺人犯と、その鑑定に翻弄される人々の姿を描く。
モチーフに用いられたギリシャ神話の怪物・ミノタウロスが、
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ステラ SEOUL MISSION(2022年製作の映画)

3.0

『三色ごはん』でのソン・ホジュンはものすごくかわゆいのだが、いかにも退屈そうな民放ドラマにばかり出ているので、演技しているのを観たことがなかった。
本作ではドラマ『カジノ』でチェ・ミンシクの少年時代を
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シルク(2006年製作の映画)

2.7

大作を狙った2000年代の台湾映画で、SF要素のあるホラー。
頻出するCGは出来が良い。
場面つなぎも非常にスムーズ、台湾では年間興収1位を記録したそうだが、江口洋介が出演しているのに、日本でのロード
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血闘(2011年製作の映画)

3.5

パク・フンジョンの監督デビュー作が現代劇でないのは、意外。
しかし朝廷の覇権争いに端を発する陰謀に巻き込まれた2個人の愛憎劇は、充分に濃厚。
半端なコメディ調のコ・チャンソクが消えた後の展開には「ノワ
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少女たちの遺言(1999年製作の映画)

4.5

かっちりジャンル映画していた第1作とは、全く異なる作風に驚かされる。
さまざまな技法が駆使され、アートの域にまで達す「日記帳」の開示から始まる冒頭では幽玄な水撮も登場、物語の行方を暗示する。

女子高
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幽霊刑事(2001年製作の映画)

3.5

サスペンス+ホラーなのにコメディ演出が頻出する、香港らしい1本。
特にラム・シュの出演場面は笑った。
しかし終盤にまさかの展開も用意されている、大人向けエンタメ。
フィルムの質感が残る画面、編集はスピ
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ミッシング・チャイルド~呪いの十字架~(2017年製作の映画)

2.7

アイスランドの女流ベストセラー作家作品が原作、時間差のある3つの事件が交錯する盛りだくさんな内容。
サスペンスだけでなく超自然な接ぎ穂もありで、ホラー演出は意外に多め…、個人的にはどちらかに絞ってくれ
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ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)

2.7

ゴロツキとオタクで構成されたハッカー集団の動向を追う。
彼らの手腕より、幼稚でコンプレックスだらけの人格をフォーカスする作風は、青春アンチヒーロー映画のよう。
もっとナードでハードボイルドな内容を期待
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ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件(2016年製作の映画)

3.0

「老女連続レイプ殺人」という設定はユニークだが、中盤までは事件を追うバディ関係な刑事ふたりの性格描写が、メイン。
韓国サスペンスをよく観ていると、警察権力の腐敗描写には慣れてしまうが、お国が違えば特徴
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目撃者 闇の中の瞳(2017年製作の映画)

3.7

不穏な3拍子の劇伴で始まる冒頭は、割れたサイドミラーに映る数多の瞳が不気味。
「高級緑茶」という中華圏アイテムを糸口にする追跡も面白い。
やり過ぎなぐらい盛りだくさんな脚本は、一時期の韓国映画のよう。
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肉体女優殺し 五人の犯罪者(1957年製作の映画)

3.7

浅草のストリップ劇場で発生する殺人事件という、監督ならではの煽情的な設定にワクワク。
中国雑技団並みに柔軟なフランス座の現役ダンサーらを起用したダンス場面も、要所に登場する。
グラマラスな肢体を活かす
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義足のボクサー GENSAN PUNCH(2021年製作の映画)

3.0

監督には珍しいボクシング映画と思ったら、製作も兼ねる主演俳優からのラブコールが発端らしい。
また実在の義足ボクサー・土山直純の半生を描いた作品となっている。

フィリピンのマニラでなく地方都市にあり、
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泣く男(2014年製作の映画)

3.0

「アメリカのジャズダイニング」という設定の冒頭には意外性があり、洒落た雰囲気。
主人公には暗く繊細な性格が与えられており、コメディ演出も皆無。
しかし見せ場には銃撃/肉弾戦がてんこ盛りゆえ、タイトルに
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殺人蝶を追う女(1978年製作の映画)

2.7

強引な死生論が説かれる前半からファンタジック・ホラー風の中盤、そしてサスペンスを帯びる後半まで、無理矢理繋ぎ合わせた怪作。
荒唐無稽だが、折につけ登場する現実的な刑事の存在や手慣れた編集術からは、冷静
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人間の時間(2018年製作の映画)

3.5

人間や社会の暗部を炙り出さねば気の済まぬヘタウマギドク作品の王道で、そのためにわざわざ「宙に浮く客船」という設定が用意されている。
食欲、性欲、そして権力欲の誇張が連続、特に前半はトリアーの『ドッグヴ
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移ろう季節の中で(2018年製作の映画)

3.0

アクシデントを境に表面化する新たな日常を、煽情場面を排し淡々と描く作品。
生活感のない舞台美術が頻出する前半は、照明もよそゆき顔でテレビドラマのようだった。

エンタメ急進国でありながら、LGBTを主
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蛇の道(1998年製作の映画)

3.2

幼女のスナッフフィルムという、おどろおどろしい題材を元に展開するサスペンス。
高橋洋が脚本を担当しているが、ストレートに撮っているようでもないので、何だか無駄遣いに映るキャラクターがちらほら。
数式デ
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悪の階段(1965年製作の映画)

3.5

クローズショットの多い作品だが、欧州アート映画風の撮影、いかにも60年代といった趣でカッコ良い。
また金庫の黒光りや夜のすすき野原を際立たす照明の効果、モノクロ映画ならでは…、演出も冷たくよそよそしい
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