SPNminacoさんの映画レビュー・感想・評価

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女だけの都(1935年製作の映画)

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スペインに支配されてきたフランドル、男性に支配されてきた女性。だが、スペイン軍来訪にビビって自己保身に走る男たちを見限った女たちは、我が街を女だけで仕切っていく。
画家(なんとブリューゲル)と娘の結婚
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

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黒い闇から白い闇の中へ、みんながみんなで探しものする旅。『地下鉄のザジ』meets 『新学期・操行ゼロ』みたいな…すんごく好み。
なんたってまず、絵の魅力に釘付けだ。柔らかく勢いある線と単色で塗りつぶ
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GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)

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先日「観察とは名詞でなく動詞で捉えること」といった話を読んだところだけど、まさにそんな感じ。音楽や説明、人間の姿は一切なく、聴こえるのは鳴き声と環境音のみ。豚や鶏が何かをしてる(何もしてないように見え>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

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物語では通常、旅のお供であるロバを主役にした寓話ロードムービー。サーカス芸や使役労働は動物虐待だとの声を受けつつ、どうやらそれを訴える映画じゃない。じゃあこの映画はどうなんだ…といささか矛盾を孕むし、>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

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北極圏へ向かう寝台列車で出会った男女。けど、最初から『ビフォア・サンライズ』みたいなロマンティック展開にはなりそうにない。ならば、恋人に約束をドタキャンされたフィンランド人ラウラと、粗野で不躾なロシア>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

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作りが80年代スラッシャー映画のパロディで、クマ出没の仕方襲い方がジェイソンとかプレデターみたい。ドアを開けたり上に逃げたりするとそこに!ほら後ろに!って。
ところが、ゴアは明るい真っ昼間。様々なキャ
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帰れない山(2022年製作の映画)

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氷河は長い時間と後悔を閉じ込めてそこにある。トリノの都会っ子ピエトロと過疎の山村で最後の子どもブルーノは、夏休みの思い出を残してそれぞれの人生を歩んでいく。少年時代の心躍る喜びには苦い現実が入り込み、>>続きを読む

お気にめすまま(1992年製作の映画)

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90年代のジャック・ニコルソンは何故ロメコメが多いのか、どこに需要があったのか謎…。犬の訓練士ハリー(ニコルソン)は女性蔑視で人種差別で嘘つきなくせにデカい態度で余裕かますという、今なら恋の相手などあ>>続きを読む

エゴイスト(2023年製作の映画)

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一見ピュアな年下男子の龍太より、むしろ浩輔がピュアではないか。ブランド服で武装しメイクで顔を作るたび、その無邪気なほどの感情を抑え込もうとして抑えきれない。田舎から都会へ脱出し、自分を作り上げてきた必>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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オープニングで、なるほどパスト(空き) ライブスだ…と納得。いわゆるすれ違いメロドラマの『めぐり逢い』案件とはちと違った。離れ離れの曖昧にもどかしい距離と時間は2人の関係を変えることなく、もしも…の先>>続きを読む

新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)

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「バカンスは終わった、新学期だ」。とはいえ、誰も大人しく勉強する気などなく。悪ガキ4人を中心にワーワー騒ぎ暴れまくる子どもたちVS身勝手に抑圧する学校の大人たち。
一部アニメーションになったり、逆立ち
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

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最終章はシチリアへ。無敵のマッコールさんでも今回は介護され杖に頼り、紅茶は老婆の飲むものだとあしらわれ、さすがに老いは隠せない…と思ったら、超人的回復力でやはり無敵。
「人にはいるべきところがある」と
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淑女と髭(1931年製作の映画)

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サイレント時代の小津のロマコメ。腕っ節は強くても、時代の変化には敵わないヒゲ面のバンカラ男子。ならばと自慢のヒゲを剃ってみると…あら、モテモテじゃないですか!
でも時代遅れと言われても、ヒゲの部屋には
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異人たち(2023年製作の映画)

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アンドリュー・ヘイは『WEEKEND ウィークエンド』のピロートークが堪らなかったし、これ全編ピロートークみたいな。超超ロマンティックじゃないの…何時間でも観て(聞いて)いられそう。観ながらもう一度観>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

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年上少女にドキドキする少年の定番ヴァカンス映画なのに、のっけからホラーっぽくて、ファルコンレイクというよりクリスタルレイクみたいな。森と湖とコテージは薄暗く、古い映画のピンナップが貼られた部屋には臭い>>続きを読む

アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~(2024年製作の映画)

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ロマコメ女王アン・ハサウェイと少女漫画の王子様ニコラス・ガリツィンで歳の差、更にアイドルグループのスターとそのファンだった娘を持つ母というギャップも加えた夢物語設定。けどまあねーアンさんならねー、ガリ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

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すべてのバービーとケンとアランに。どんな女性もエンパワーメントする使命を負ったバービーの、行きて帰りし冒険の旅。作られた女性性と作られた男性性、作り手売り手持ち主、定番とは何なのか、誰によって何のため>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

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初ファスベンダー。時間(タイミング)と構図(視点)がガッチリ組み合ったメロドラマだった。
ペトラの鷹揚な台詞回しとSmoke Gets In Your Eyesのスローな時間の流れ。かざした手の下から
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華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

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女2男1の関係は女同士を見るためにある。とはいえ、ハナから男は眼中になし。祝言でも夫の顔は見えず、市川雷蔵が登場するのはずっと後だった。出会った瞬間、姑となる於継に加恵の目は釘付け。時に襖の奥から冷や>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

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ふわっとした邦題より『The Quiet Girl』でいい。これは抑圧と抵抗の物語。小2まで自分も教室で喋れない子どもだったのを思い出す。思えば、何に抑圧されてたんだろう。
草むらやベッド下に身を隠し
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

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外へ出て突っ走れ!ヴァーチャルから生身へ、夢から現実へ、ゲーマーからプロレーサーへと映画は最短距離で無駄がなく、グイングインに飛ばして止まらない。家族、恋、ライバル、特訓、師匠…の定番コースは安定の設>>続きを読む

さまよう魂たち(1996年製作の映画)

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サバービアを騒がすポルターガイストのドタバタ喜劇とシリアルキラーや呪われたお屋敷がごちゃごちゃ込み入って、陰気なムードが強め。幽霊と組んでゴーストバスターするマイケルJフォックスも、コミカルというほど>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

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しっとり格調高いリメイク。黒い山高帽とスーツの没個性ルックが列車に乗り込む通勤風景、重んじられる格式や対面。情感溢れる音楽、サンディ・パウエルの衣装。エンドクレジットまでこれでもかとクラシックな英国映>>続きを読む

モナリザ(1986年製作の映画)

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すらりと長身キャシー・タイソンやボスのマイケル・ケインと、ずんぐり小さなボブ・ホプキンズ。友人役の故ジョン・コルトレーン(若かった!)もかなり大柄で、この凸凹構図が効いている。粗野で安っぽいおっさんジ>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

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エリック・ロメール『獅子座』でパリの夜景を星座になぞらえていたように、ここでも路線図上に点灯するランプ、パリに点在する人々を星座のように繋げる。ラジオ局でエリザベートが得た職も、リスナーの電話を受けて>>続きを読む

Supercell(原題)(2023年製作の映画)

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次世代の継承ということで、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』と似た作り。あちらのレガシーはECTO-1とプロトンパック、こちらは竜巻追跡カーと観測装置か……と、『ツイスター』30年後の続編だと思っ>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

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ケヴィンが持ち上げるバーベルが、呪いと抑圧と責任の重さを物語る。のし掛かる重みを支え耐え続けるのが「次男なのに長男症候群」のケヴィンだ(一方、弟ケリーはダンベルを置く)。彼だけずっとシューズを履かない>>続きを読む

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

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主体性なく子どもっぽい大学生サロールに、ひょんなことから大人への扉が開く。それがアダルトショップや70年代バンド(ピンク・フロイド推し)、そして有閑マダム。サロールは店の経営者カティアと過ごすうちに、>>続きを読む

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

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そういや昔観たのを思い出した。これってフォークホラー版ガリバー旅行記なんだな。スコットランド孤島の村を非文明的未開の地みたいに慄く本土警官、それをあざ笑う現地民。原始宗教VSキリスト教原理主義。植民地>>続きを読む

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

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ほのぼの長閑なレトロSFかと思ったら、殺伐とマッドマックスだった!それに、思ったより良くできたアート映画&お伽噺。飛行物体とかアナクロなメカ類の数々は結構大掛かりに作られてて(セットは廃墟の再利用?)>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

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アンドリュー・ヘイのリメイク公開に備えて。撮影とプロダクションデザインが見事だった。光が差し込むウォームトーンの冥界と、暗くクールトーンな現代マンション、どちらにもぼうっと浮かぶ窓の灯。すーっと浮遊す>>続きを読む

ヘイティング・ゲーム 恋とキャリアの必勝法(2021年製作の映画)

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ベストセラー小説原作ロマコメ御用達監督みたいなピーター・ハッチングス。オシャレでゆるふわな仕事(なんだあの出版社)、ライバルとの社内恋愛、ドアマットな当て馬くん…のパターンは『エマの秘密に恋したら』と>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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『グランド・ブタペスト・ホテル』辺りから、ウェス・アンダーソンは「物語の物語」にどんどん深入りしてる気がする。頑なな虚構への没入ぶりは、ちょっと怖いくらい。
一連のロアルド・ダール原作短編映画に続いて
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

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ジャスティス・リーグの末っ子、雑用係フラッシュくんがバック・トゥ・ザ・フューチャーでマルチバース。DCのは観てなかったけど、これはコメディで楽しい。なんとなくチープなCGアクションも笑えるし、ノリがレ>>続きを読む

フローレス(1999年製作の映画)

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男らしさを誇示し、我が物顔で街を闊歩する元警官ウォルト。だが、自分が脳卒中で倒れ憐れまれる弱者側になると、マジョリティとしてマイノリティとの間に引いた境界はあっさり崩れる。ベッドで女を見下ろしたウォル>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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ラジオのニュウス以前にのっけからバリバリ現代!を感じた。86年の『パラダイスの夕暮れ』とよく似てるからこそ違いが目につく。
女性側を主人公にして、『愛しのタチアナ』みたいにさりげなくカッコよく技能を見
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