サカイピロシネツキさんの映画レビュー・感想・評価

サカイピロシネツキ

サカイピロシネツキ

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.2

開放的なロケーションとは対照的な
閉鎖的・抑圧的なシチュエーションにおける
ジリジリと浮かび上がる嫉妬や欲望といった人間のエモーションや
ドクドクと脈打つ血管や身体のモーション。

最小限に抑えられた
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.8

イスラム社会に巣食うミソジニーと父権的腐敗。犯人が予め分かってる系で逮捕後が真のヤマ場。

チャップリンの給料日(1922年製作の映画)

3.8

この日のために
生きている…のだ
けれど

エレベーターや逆再生の
仕掛け/動きの妙

関心領域(2023年製作の映画)

3.8

自分のことしか考えられない
想像力もない人たちは
いつの時代、どんな社会にもいる訳で。

情報が統制されていたこの当時よりも
ゴミのような情報で溢れかえった海の
バブルの中で暮らす今の時代の方が
無関
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.8

黒澤明×志村喬のオリジナル版の良さを再認識できるリメイク。

全体的にかなりアッサリとスタイリッシュなアレンジ。あの葬式の会話が電車の中で話すだけでさっと終わってしまったのは、えっ!となった。


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ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

3.6

島国の漁村ならではの陰湿で湿気と魚臭さにまみれた閉塞感が息苦しい

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.3

「分断」ではなく「棲み分け」。
共存や相互理解という幻想を打ち砕く鮮やかな余韻。


川上と川下の話はだいぶ分かりやすい。
テリトリーに足を踏み入れたり干渉したりしない、という自然界であれば当たり前の
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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

現実と非現実のあわいを照らす愛の光。

大林版とは当然ながら別物過ぎて比較する意味は無いと思うけど、
父母といるときのアンドリュー・スコットの子犬のような潤んだ眼はかなり風間杜夫みがあった。

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.8

傷者たちの一期一会
旅は道連れ世は情け
列車は北へ
行き着いた先で笑えればOK

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.4

メインの見せ場と思われる内臓解体ショーのとこよりも、
初っ端のガッちゃん(Dr.スランプ…R.I.P鳥山明)みたいにゴミ箱食べちゃう少年と、
今日びなかなか見ないどデカいボカシでアンダーヘアが隠されて
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

コントロヴァーシャルな内容だと思うし、だからこそ観てすぐの感想が「なげーし、わかりにきーし!」というような若年層や、USAその他諸外国の観客にこれだけ幅広く観られる意義が大きいのは間違いない。
個人的
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.7

オッペンハイマーでも存分に発揮されている音フェチぶりが顕著なノーランのデビュー作HDレストア版。映像の粒子やザラつきがしっかりある良いレストアなんじゃないでしょうか。


マヌケな主人公に散々ハゲ呼ば
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私がやりました(2023年製作の映画)

4.1

ピリリとスパイスを利かせたオゾン流フレンチコメディ・キュイジーヌ
〜とびきりの女優たちの競演を添えて


男性優位社会でしたたかに立ち振る舞う女性たちの共犯関係を映画の虚構性とうまく絡めた良く出来た脚
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猫が行方不明(1996年製作の映画)

4.1

猫も恋も行方不明。

さらっと人種差別とか移民問題とか女性から見た男のケダモノぶりとかも出てくるけど、
それもひっくるめてのC'est la vieな雰囲気に包まれた人たちと、工事だらけで生まれ変わり
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あ、春(1998年製作の映画)

3.9

いいタイトル。
いいラスト。
巡る何かの暖かな兆し。

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.9

『The Ballad of Sexual Dependency(性的依存のバラード)』の写真家ナン・ゴールディンの半生とアクティビティ。

ドキュメンタリーとしては、
功罪の“罪”の面だけを一方的に
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その夜の妻(1930年製作の映画)

3.5

U-NEXTで観られるものは弁士なし伴奏なしの完全サイレント。画こそカッコいいところがあるものの、色んなところで変な違和感がある。珍しいズームアウトが新鮮。

淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

4.2

なんとも人間臭い俗っぽい話を
こんなにもエレガントでシャレた喜劇に仕立てあげるセンスに脱帽

火の娘たち(2023年製作の映画)

3.8

火山の島の三姉妹。

現在製作中の同コンセプト・ミュージカルの習作らしい。字幕が小さいとの前情報でしたが読めない程ではなかったです。
 

——-
『ヴィタリナ』同時上映
上映後のペドロ・コスタ監督オ
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ヴィタリナ(2019年製作の映画)

4.2

重くて切なくて、それでも残る光の証



——-
『火の娘たち』同時上映
上映後のペドロ・コスタ監督オンラインQ&A付き@ユーロスペース

赤い影(1973年製作の映画)

3.9

思わせぶりな幻影に踊らされる渾沌とした愉楽

アリスの恋(1974年製作の映画)

4.0

ハーヴェイ・カイテル、イカれてる。
あれジョディ・フォスターだったんかい!な驚きと、コブ付き中年女性が主人公という意外性の、オルタナ・スコセッシ。



ホワイト・プアまではいかないにしても、
ガサツ
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あるじ(1925年製作の映画)

4.0

汝、妻を敬え。家庭を敬え。
暴君夫への再教育。

コミカルな皮肉含みの教訓劇ながらショットの洗練度がさすが。

夫があんなにイヤな奴だったのは
躾の仕方が絶妙にイヤミで意地の悪いあの乳母の影響では、と
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帰らない日曜日(2021年製作の映画)

3.9

20年代イギリスの風景・邸宅・衣装などのロケーション・美術と、それを光と俳優と共に捉える映像のなんとも美しいこと。

調べたら『生きる』『異人たち』も撮ってるらしいジェイミー・D・ラムジーという撮影監
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.7

被害者遺族という側面をすっ飛ばして、妻=被疑者/息子=証人という側面のみにフォーカスしたり、判決の争点になるべき凶器の有無を有耶無耶にしたりと、ポストトゥルースな世相を表しての、敢えての描かない部分を>>続きを読む

キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

3.9

・Ⅰよりさらに露悪的なウド・キアーの使われ方
・浮かぶクソもあれば沈むクソもある
・胸糞要素とコメディ要素の更なる悪ノリがエスカレートしてなかなか楽しい
・ダウン症ペアのパートが結構ほっこり
・相変わ
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