shinichiroさんの映画レビュー・感想・評価

shinichiro

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(1982年製作の映画)

3.9

◎ 不思議な映画、ロージーっぽいダークな画面は少ない。
ボーリング場での偶然を機に夫がいるユペールがテラコッタの会社の富豪に日本に連れてきてもらってから時折決して今のように恵まれた環境ではなかった過去
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パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)

4.0

◎ カテリーナ・ゴルベワの物静かなだが、目を見離せない存在感が圧倒的だった。
何か劇的なことが起きるわけではないが、原題のように目を見離すことができない稀有な群像劇。
ドゥニ監督がヴェンダーズ監督の’
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オーソン・ウェルズのフォルスタッフ(1966年製作の映画)

4.4

◎ 合戦の凄まじさ
ウェルズの存在感
シェイクスピア作品のセリフの美しさ

’フェイク’と通ずるところがある道化師としてのウェルズが全面に出てきていて愉快な気持ちになれた。
屋根裏にハリーが隠れている
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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(2009年製作の映画)

3.9

◎ アホなくらいラリってしまって全く記憶がないからちょっとした手がかりをもとに3人で前日に何が起こったのか辿っていく。
ストリップ劇場で知り合った演者と一夜で結婚式までたどり着いてしまうのがスピード婚
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淑女と髭(1931年製作の映画)

3.6

◎ 途中でサブスクリプションの期限が切れてギリギリ最後まで見れず涙
不恰好な洋服姿だから忘れたくても忘れられるものかとカツアゲしようとした女性に吐く捨て台詞が妙に印象に残る。
剣道をしていない男性は嫌
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(1965年製作の映画)

4.0

◎ 安政の大獄〜桜田門外の変 の時代、万延
雪の中の桃の節句の決行に至るまでのエリート侍の紆余曲折。
一人二役の菊姫とお菊の視点で丹色の過去を辿る。
佐藤勝氏の物を擦り合わせたような音楽に緊張感が走る
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他人の家(1949年製作の映画)

4.2

◎ ロッシー二のオペラをレコードでかけながら回想シーンへ入っていく様はなかなか衝撃的な展開で、忘れ難い名シーンになりそうだ。

恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

3.4

◎ 無理矢理感否めない展開の浮き沈み方が逆に微笑ましい気持ちにさせられる。主人公が高所恐怖症を克服するための曲(物語を自分で描き出していく、、みたいな歌詞)は何ていう曲だったんだろうか、、、
ヒロイン
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関心領域(2023年製作の映画)

3.7

◎ 前半寝た。ほぼ記憶なし。
酒を飲んで映画を観て寝た経験から今後は絶対に酒に酔った状態で映画を観ないと冷静な時に決めても、酔ってしまったらどうしても映画を観たい気持ちを抑制できないことに前もって気づ
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殺人捜査線(1958年製作の映画)

4.4

◎ Famous Last Words...
簡素な画面にこれでもかと詰め込まれていて内容が濃過ぎる。
スケートリンク上の博物館でダンサーとマンが睨み合いをきかす場面がすごく好きだ!
イーライ・ウォラ
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荒馬と女(1961年製作の映画)

3.7

◎ モノクロだけどモンローのセクシーさが爆発してた。
ダンスシーンや服装、表情、佇まい、声
ロデオやマスタング狩にロズリンの感情がはためく。
適合せざるものたちが一瞬交錯してまた星々に散っていく。

青春(2023年製作の映画)

4.0

◎ 長江デルタ地域の縫製工場に出稼ぎに行く農民工の現実、日常
一人一人の名前や年齢、出身地が毎回紹介される。10代後半〜30代前半の男女
まるでネットを介して声高なものを世界として拙速に理解しようとす
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たそがれの女心(1953年製作の映画)

3.5

◎ 破った手紙が花吹雪の如く列車からばら撒かれていったように儚く散っていった愛、その元凶の金の輝くイアリング
将軍と妻と男爵との駆け引き。
舞踏会の踊りは確かに目を見張るものがあった。
ワーテルローの
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

◎ ラウラの悲しみの表情も可笑しみの表情も憂いが漂っていて素敵だ!
それをうまく似顔絵に落とし込む、くたばれと!

伯林-大都会交響楽(1927年製作の映画)

3.5

◎ 第1次大戦後のベルリンの模様、5章仕立
列車の疾走する様子や働く人達の忙しなさ、工場の流れ作業、炭鉱労働者、動物の佇まい、劇場でのバレエやオーケストラの演奏、チャップリンの映画、船や遊園地のローラ
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オーソン・ウェルズの フェイク(1975年製作の映画)

4.5

◎ 偽物ってわかっていても本物って信じたくなるような奇術の魔力が宿っている。
わかっていてもオーソン・ウェルズの手のひらの上で踊らされる、踊りたくなるような感覚。
真剣にふざけている。
虚構と真実の境
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パサジェルカ(1963年製作の映画)

4.4

◎ アウシュヴィッツでの女性同士の葛藤
未完成で現在のシーンがスチル写真だが、それが逆に作品の強度に貢献しているように思われた。映像部分は回想のような導入で始まる。

マルタがフィアンセに向けた想いを
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豚が井戸に落ちた日(1996年製作の映画)

3.5

◎ ホン・サンスの始まり
作家が主人公だったり、映画館が出てきたり、不倫が題材だったり最初からいつものトーンで安心した。
The Beatlesの曲が二曲もあったのは意外だった。
群像劇だけど出てくる
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.8

◎ ③
心臓外科医の執刀医が過去に確執があった人物の息子の訪問を機に家族が崩壊していく。
ズームイン、ズームアウトが不気味なくらいに多用されていて見ている側が不安な気持ちに終始急き立てられる。
マー
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.8

◎ Yorgos Lanthimos ②
かなり屈折したラブストーリー。
スローモーションの多用が目立つ。何度も出てくるテーマ音楽的なBeethovenの弦楽四重奏曲の部分挿入が印象的
誰のナレーショ
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.6

◎ オールナイトヨルゴス・ランティモスの世界①
特に前知識なく行ってしまったので激描写に乙女たちと同じような叫び声をあげそうになった。
痙攣ダンスは衝撃的だった。
姉妹、兄弟?たちの蒼白な表情や引き攣
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第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)

4.0

◎ かなりコメディ要素もあって楽しめた!
ロシア女に執着するアニマルの存在感がずば抜けている。

ライド・ロンサム(1959年製作の映画)

4.3

◎ 夜明け前の一連のショットが美しすぎた。

絞首台の木の森の中でベンとサムの間で揺れ動くヒロインの可憐さに目が離せなかった。'私の運命線'を歌うアンナ・カリーナを想起した。

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.4

◎ 同じセリフのリハーサルや本読みが何度も繰り返されて交差する。
進んだと思ったら戻ったり、戻っては進んで飛んでを反復。身体に落とし込むまでをひたすら描き続ける。最後の完成体を見届けることができ王国の
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.7

◎ ドタバタしてるけど段々ミニマルにまとまってく展開が痛快でした。
階段や廊下の足音
モノクロの女郎の肩
三千世界

お話は古典落語の居残左平次が起点

幽玄な音楽は黛敏郎

結婚演出家(2006年製作の映画)

4.2

◎ 怪作!

妄想と現実と悪夢がないまぜになって観ているものが翻弄され続ける。何が起こっているのかわからず此処ではない何処かへ導かれる。
映像と釣り合っていないようなマイナー調の音楽に無理矢理引き込ま
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赤い天使(1966年製作の映画)

4.4

◎ 支那の地で戦争と残虐さと性が渾然一体となって放たれる。

従軍看護師がレイプされ、慰め、看取り、女になり、愛でモルヒネ中毒の上官の軍医の心を取り戻す。
傷病者が次々と運び込まれ、四肢の残骸が積み重
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Seventh Code(2013年製作の映画)

3.9

◎ 坂道のウラジオストクの褐色の風景、置いてきぼりのスーツケース、いきなりカメラワークが冴え渡り熱くなる。2種類の衣装で畳み掛けるあつねえのPVみたいなところもあったけど、やっぱり黒沢監督色も強い。で>>続きを読む

コンクリート・ジャングル(1960年製作の映画)

4.0

◎ Home Sweet Home

最初と最後の悲しげな歌が沁みる。
屈強なスタンリー・ベイカーの表情に惚れ惚れする。

ZOO(1985年製作の映画)

4.0

◎ 偏愛記録
フェルメールの26枚の絵
双子の距離が近くなってから面白くなっていく!
ミロのヴィーナスの佇まいが好きだ!

浮草物語(1934年製作の映画)

3.9

◎ 浮草のオリジナルのサイレントの方。
機関車が走る夜の線路沿いの逢瀬は美しい。活弁があるためかメリハリよく見れた。女性や息子をよく殴る座長、それでもついていこうとする突き抜けた様子。
リメイク版では
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流れる(1956年製作の映画)

4.2

◎ 田中絹代扮するお春さんの直向きな姿に心を打たれる。
何か大きな事件が起きるわけではないが、それぞれが満ち足りない気持ちを持ちながら今日も河が流れて行くように人生も進んでいく。
芸者の三線の音や酔い
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

◎ 感情と距離感のバランス感覚、その掴みどころのなさ。

二項対立のように見えて最後は全てを飲み込んでしまうようなわからなさに度肝を抜かれた。

内的な驚きと瞑想の状態を徐々に生涯かけて構築していく、
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山の焚火(1985年製作の映画)

4.0

◎ 閉鎖的な山奥の4人家族(+祖父母)の聾唖の坊やを中心に本能的な衝動が見事に描かれていた。
坊やが微かに聴こえていただろうほんわかとした不穏な音楽と曇り空が絶妙に重なる。

ローラ(1981年製作の映画)

3.9

◎ ファスビンダー印が至る所に。
'季節のはざまで'にもでてきたカプリ島の歌がここでも出てきて勝手に繋がりを感じた。

コンタクト(1997年製作の映画)

3.7

◎ 一握の砂金のために、、

自分が何者か、真理に到達するために命をかけて自分が大事なものに向かって行く決意を語る様には熱いものを感じました。

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