『ロスト・キング』のサリー・ホーキンスの演技に感心して、久しぶりにこちらを思い出したので見てみた。
種の壁を乗り越えた異種格闘技ならぬ異種恋愛ファンタジーというと聞こえがいいが、冷静になってみると、>>続きを読む
2021年8月30日、すべての部隊の撤退が完了して、20年にも及んだ米軍のアフガニスタンへの軍事作戦は終結した。それとほぼ時を同じくしてタリバンが政権を掌握、取り残された現地の米軍協力者(通訳など)は>>続きを読む
恋した相手がたまたま過去の偉人だったという歴女の度を越した推し活も、ごくまれに、500年に一度くらいは成就することがあるというシンデレラ・ストーリー(実話です)。
スコットランド・エジンバラ在住の主>>続きを読む
売れない若い女優と無声映画時代の元スター女優(と若い女優の親友の女性弁護士)が、殺人犯の名声?をめぐって争う軽妙なコメディ。人生なめてるでしょ、という人たちしか出てこないんだけど、たまにはこーゆーお気>>続きを読む
ホロコーストの舞台となったアウシュヴィッツ強制収容所と壁1枚を隔てただけの隣家で暮らすルドルフ・ヘス所長一家の、ごくふつうの(というより戦時下にあってはかなり贅沢な部類に入るだろう)日常を淡々と切り取>>続きを読む
レゲエもボブ・マーリーもまったく経ないでこの年まできてしまった自分にとって(以前はジャズばかり聴いてた)、ラスタファリという謎の呪文も、神格化された皇帝ハイレ・セラシエ1世も完全に未知の世界で、なんの>>続きを読む
オーディブルで遠藤周作の原作を聞いたので映画も見てみた。原作は、太平洋戦争末期に九州帝大医学部で実際に起きた、アメリカ軍捕虜8人に生きたまま解剖実験を施し、全員を死亡させた「九州大学生体解剖事件」を題>>続きを読む
アマプラにラインナップされていたので、アカデミー賞で視覚効果賞を受賞したということ以外なんの予備知識もなく見てみたのだけど、戦後すぐの物語だったんだね。
戦前の人命軽視+科学軽視の軍国主義体制、全体>>続きを読む
おひとり様天国の日本ではいまいち想像しにくいところはあるけれど、欧米の作品を見ていると、パーティーに参加するときも、レストランでディナーをとるときも、つねにカップルであることが前提で、異性愛か同性愛か>>続きを読む
宇宙を統べる悪の帝国に反乱軍が(一時的に)勝利したら、次はやっぱり「帝国の逆襲」だよねと思わせといて、3部作をつくる金がないから「ジェダイの帰還」まで一気に見せちゃいましょう的な、安易な感じに苦笑を禁>>続きを読む
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原題「Green Border(緑の国境)」とは何か。ベラルーシとポーランドの国境線はおよそ400キロ。道路や鉄道などで国境を越える通関地点は何か所かあるものの、それ以外は、森の中に人為的に引かれた国>>続きを読む
目の前で人が死ぬ。何人も。なんの罪もない子どもも大人も赤子を宿した妊婦も例外なく。とめどなく涙が溢れてくる。
Zの刻印をつけたロシア軍戦車がミサイル攻撃で廃墟と化したマリウポリ最後の砦、病院の前をゆ>>続きを読む
ドキュメンタリー作品というより歴史番組の再現フィルムといったおもむきで、作品としての評価は下げざるを得ないんだけど、タイミング的にも『オッペンハイマー』のサブテキストとして見られることを意識してつくっ>>続きを読む
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シャンテで『フォロウィング』見たあと続けて鑑賞して、1人クリストファー・ノーラン祭りを決行した。IMAXじゃないのは上映時間の関係でしかたないけど、ひと言だけ言わせて。IMAXのデカい画面でベタ塗りの>>続きを読む
先週1人で「クリストファー・ノーラン祭り」を決行したままレビューを書き忘れたので、思い出しながら書いてみる。
クリストファー・ノーランの長編デビュー作。といっても、上映時間は70分とコンパクトで、予>>続きを読む
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原題「Hypnotic」にすべての答えがある。そう、これは催眠術の話なのだ。つまり、ロバート・ロドリゲス監督ら制作陣は観客に、いまから流れるのは催眠術の映像です、ということをあらかじめわかってもらった>>続きを読む
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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とハンス・ジマーが生み出す至福の映像&音楽体験。言葉はいらない。全身で味わってほしい。以上。
というわけで、あとはすべて余録というか自分用の備忘録です。
砂の惑星アラミス(>>続きを読む
少し前に、Audibleで遠藤周作『深い河』を聴いていたとき、輪廻転生したはずの亡き妻を探してインドを訪れる磯辺の物語は、この映画を彷彿させるなあと思って見返したまま、感想を書くのを忘れてた。
博士>>続きを読む
リュック・ベッソン監督『ドッグマン』で怪演ぶりを見せつけたケイレブ・ランドリー・ジョーンズに興味をもち、彼がカンヌで男優賞を獲ったというオーストラリア映画『ニトラム/NITRAM』を見てみた。いやあ、>>続きを読む
リュック・ベッソン監督『ドッグマン』でドラァグクイーンとなった主人公ダグラスがステージで熱唱したエディット・ピアフの「水に流して」の原題は「Non, je ne regrette rien(私は何ひと>>続きを読む
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人里離れて雪に覆われた山腹の家で夫が転落死したのは、事故か、自殺か、それとも妻による殺害が原因か。現場にいたのは死んだ夫と妻と、その時間、盲導犬とともに散歩していた視覚障害をもつ息子だけ。物的証拠が限>>続きを読む
得体の知れぬ宗教にとち狂い、闘犬にもハマったDVクソ親父は、空腹で闘争本能をむき出しにした状態を保つように、イヌたちにエサを与えることを禁じる。そんなイヌをかばった息子ダグラスは親父に目の敵にされ、殴>>続きを読む
フィラデルフィアでレンガ製造業を営み、一代で財を成したアイルランド系カトリックの家に生まれた3人姉妹の次女グレースはハリウッドで大成功をおさめるが、人気絶頂のときにカンヌ映画祭で出会ったモナコ大公レー>>続きを読む
何らかの事情で親に捨てられた孤児が親を探すストーリーは、古今東西、泣ける話と相場は決まっているわけだけど、この作品もまた、涙腺崩壊必至のハートフルストーリー。
原題の「August Rush」は孤児>>続きを読む
クエンティン・タランティーノの西部劇と『ジョン・ウィック』とロシア戦争映画の傑作『T-34』を足して3で割ったような痛快娯楽活劇。ラップランドの荒野を舞台に、たった一人で300人のソ連兵を葬った伝説の>>続きを読む
『Poor Things(哀れなるものたち)』を見て、調子っぱずれの不協和音と魚眼レンズが生み出す独特の世界観に興味をもち、ヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンがタッグを組んだ過去作『The F>>続きを読む
子どもの肉体に大人の頭脳をもたせた作品というと『名探偵コナン』のほかにもありそうな気がするし、女と男の肉体と心が入れ替わる映画も『転校生』をはじめ、いくつかあったと思うんだけど、大人の肉体に赤ん坊の心>>続きを読む
ならず者に食い物を出せと迫られ、村の生活を守るために、村で採れた食い物だけを報酬に、それぞれ特徴のある腕の立つ連中を7人集めて撃退するというストーリーが、まんま「七人の侍」で笑った。そこにユダをまぜた>>続きを読む
全体的におもちゃみたいな設定の中で、安藤サクラの半径5m以内だけ、オトナの世界が繰り広げられるという摩訶不思議な作品。安藤サクラがそこにいる画と、安藤サクラが不在の画で、こんなにも空気感が違って見える>>続きを読む
1933年に明るみに出た、アメリカで実際にあったらしいファシストによるクーデター計画「ビジネスプロット(Business Plot)」の顛末を、史実を織り交ぜながらシニカルに描いたコメディタッチの作品>>続きを読む
認知症を患う元精神科医の母と、心臓に持病がある映画評論家の父。離れて暮らす息子は情緒不安定のドラッグ中毒&売人で、精神病院への入退院をくり返す妻と幼い息子を抱えて、生活費を親に無心せざるを得ないほど困>>続きを読む
金持ちの虚栄心を満足させることにうんざりし、かつ、みずからの虚栄心を妙な方向にこじらせてしまったシェフの、迷惑千万な復讐劇。
つくり手と受け手のすれ違いは、どんなジャンルでも避けられないどころか日常>>続きを読む
ロバート・マッコールが一度だけLyftで乗せた客の年金を奪い返すためにシチリアに渡り、マフィアが牛耳るワイナリーに乗り込んで皆殺しにするという、いくらなんでもトンデモすぎる設定で幕を開ける3作目。>>続きを読む
イコライザーは不均衡状態を均して均衡のとれた状態にすること。同点打や同点ゴールをイコライザーというのはそのためだ。悪いヤツらだけが得してるなら、それを正して相応の罰を受けさせるのがイコライザーたるロバ>>続きを読む
街中を文字どおり縦横無尽に駆けめぐるパルクールとか、危険なチャレンジを楽しそうにこなすエクストリーム系スポーツの動画を見てると勘違いしそうになるけれど、あれ、失敗して打ちどころが悪かったら、死ぬよね。>>続きを読む
例のごとく邦題がまぎらわしいが、原作は『アラビアン・ナイト』そのものではなく、A.S.バイアットの短編小説「ナイチンゲールの瞳の中のジン(The Djinn in the Nightingale's >>続きを読む