terusukさんの映画レビュー・感想・評価

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荒野の決闘(1946年製作の映画)

3.8

一応、見ておくか、というくらいのモチベーションで見たところ、意外にも良かった。

西部劇の割には落ち着いた雰囲気で、じっくりと人物を描写する。

そもそも、ワイアットアープ、ドクホリデイ、OK牧場の決
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.2

数十年振りに再見。
面白かった。

アジア的というか、無国籍的というか、途上国のスラムのような町、円都を舞台にして、その町から這い上がろうとする若者達や、マフィア、芸能界の上層部、警察官など、リアルと
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.1

名手李相日監督による問題作。

繊細で、現代の社会ではすぐに壊れてしまいそうなほどに弱々しいキャラクター達。

更紗は社会的イメージとして、誘拐されたことのある「可哀想な人」、という実際の自分とは大き
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忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994年製作の映画)

3.5

忠臣蔵と四谷怪談をミックスするという歌舞伎の興行スタイルにヒントを得て、設定ごとミックスしてしまった作品。

ベースは四谷怪談だが、不思議と忠臣蔵との相性は悪くなく、伊右衛門がごく自然に忠臣蔵の四十七
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.8

異才、ランティモス監督の、初期作品。

後々の作品群の持っている独特の個性の萌芽を感じつつ、もっと原石的で洗練されていない荒削りな部分の多い解りにくい作品に仕上がっている。

説明はしない人なので、勝
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ピーター・パン(1953年製作の映画)

3.9

初めてちゃんと鑑賞する。

まず、テンポが早くて良い。
ポンポン話が進む。

ジェンダーや人種の問題認識には確かに問題はあるが、それは制作年代を考慮しなくてはならない。
が、むしろ、ネイティブアメリカ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.5

ランティモス監督がコスチュームプレイにチャレンジ。
色は出しつつ、史実にも忠実に。

エマストーンの出演が大きい。
嫉妬や憎悪が渦巻く王室の後宮で、ともすれば陰惨、陰気臭くなりそうな題材をどこか明るく
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.9

ランティモスの作る世界観の奇妙な魅力にハマってしまって見た作品。 

これも設定がかなり飛ばしてある。
見事な飛躍力。

その飛ばした設定に、放り込む人格にはリアリティを与えていて、論理的に破綻してい
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

「ゴジラ」とは、日本人にとっての「戦争による理不尽な殺戮」とか「恐怖の象徴」であったり、核兵器そのもののメタファーとして描かれてきた。

その文脈は真っ当に継承されている。

この作品の価値は、VFX
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.1

面白い。
「哀れなるものたち」が面白かったので、同じヨルゴス・ランティモスの手による作品を続いて見てみた。

感覚的な作品なんだと思う。
情報量は少なめ、設定に関しては説明しないのだ。

芝居自体も抑
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

面白かった。

原作のプロットをシンプル化したそうだがこれに成功していて、展開の意外性、テンポの良さなど素晴らしい脚本になっている。

エマストーンの体当たり演技は勿論圧巻なんだけど、それ以上に、シナ
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ハスラー2(1986年製作の映画)

3.4

はまらなかった。
撮り方、作劇、ともに古い。

ポールニューマンのキャラクター作りは素晴らしい。
詐欺紛いの行為で金を荒稼ぎする勝負師だが、どこか品のある佇まいや仕草はさすが。

トムクルーズがダサい
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ひまわりと子犬の7日間(2013年製作の映画)

3.9

保健所によって保護された犬は、年間で二千頭程度が殺処分されているそうだ。
民間の愛護団体による保護活動の成果や、法改正の影響もあるんだろう、犬の殺処分は年々減少傾向だ。
殺処分はガスや注射によって行わ
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.5

リメイクされるとのことで、邦画版を初鑑賞。

まず、芝居が古い。

この、セリフを読んでる感の強いスタイルって昔の映画ではアリだったんだろうけど、ナチュラルな芝居が普通になりつつある現代の目ではかなり
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シング・フォー・ミー、ライル(2022年製作の映画)

3.8

多様性への理解促進ムービーの側面を持たせている。
それを白人とその他の有色人種にすると所謂、「白人の救世主」スタイルになってしまうけど、これをワニにしてしまうことで逃れている作品。

この奇跡のワニの
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50回目のファーストキス(2018年製作の映画)

4.0

ひりついた作品ばかり見過ぎた反動で癒される作品が見たいと思い、長澤まさみ主演のこれを選ぶ。

純愛ファンタジーではあるが、福田雄一監督で佐藤二郎、ムロツヨシが脇を固めるコメディの側面も持つ。
佐藤二郎
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カジノ(1995年製作の映画)

3.7

大谷翔平の専属通訳であった水原一平が訴追された。
大谷翔平からどえらい金額をかっぱらっていたことが分かり、ギャンブル依存、反社の追い込み等、事象は実に劇的で最早フィクションのようだ。

そんな中で思い
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陽暉楼(1983年製作の映画)

3.2

五社英雄&宮尾登美子の作品。

相変わらず雰囲気は退廃的で爛れている。
遊郭、芸者、お座敷という最早絶滅しかけている文化の一端を見られる。
こんな感じなんだろうなぁと。

着物とか、芸妓の所作はイマイ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

葛藤の物語と言っていい。

天才的物理学者、オッペンハイマーは原爆開発の責任者だが、戦後、その強力さゆえに水爆の開発に関しては反対の立場となる。

戦時下では、ナチスとソ連の脅威から、早期にアメリカが
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.8

アツい若者が、JAZZで世界へ飛び出そうとひたむきに、という黄金律に忠実な作品。

少年漫画的なキャラ設定だ。

クールでシニカルな実力者のピアニスト、野太い爆音を響かせるサックスプレイヤー、初心者か
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

3.7

まずまず。
漆黒の宇宙空間で、静謐な内面描写、極端に少ない台詞と対人の関係性、エンタメ要素は少なく、苦悩するブラッドピット。

時折、起きる事故が怖い。
何故か殺意バリバリで襲いかかってくる実験用動物
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鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)

4.0

実質的には仲代達也が主人公といって間違いないと思う。
全盛期の仲代達也の妙技を堪能できる。

強烈な土佐弁なので、言語明瞭とは言い難いが、それがむしろいちいちドスが効いてる。
バキバキに開いた瞳孔で恫
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

3.4

「宮本から君へ」が良かったので、新井英樹の原作漫画の映画化作品、「ヒメアノ〜ル」の吉田恵輔監督。

底辺達の映画だ。
欲望丸出し、利己的。

フィリピンに嫁探しツアーに行って、天真爛漫な女の子を拾って
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.7

絶好調のA24が配給する、コメディ。
清々しいくらいにクズばかりが出てくる底辺達の話。

元ポルノ男優が、元嫁のところに転がり込んでくるところから話が始まる。

元嫁は収入の見込みもなく、姑まで含めて
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ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

3.7

強烈なバイオレンス。
底辺を生きる、元いじめられっ子。

こんな感じなんだなぁ。
学生時代、社会的に虐げられていた人々の生き様は、これほどにも不安定で不快感に塗れているのか。

序盤はムロツヨシを中心
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42〜世界を変えた男〜(2013年製作の映画)

3.8

日本は、只今、LAドジャースに移籍した大谷翔平のニュースで持ちきりだ。

その前身、ブルックリンドジャース時代に一人の黒人プレイヤーがMLBに挑戦する。
その軌跡は、過酷な差別との戦いだったのだ。
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何者(2016年製作の映画)

3.5

学生時代、演劇をかじっていた。

学生演劇とは実に罪なもので、多少のお金と膨大な時間と熱い情熱、そして圧倒的な承認欲求によって、それなりに鑑賞に耐えるものができる、こともある。

どっぷりと浸ってしま
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ある男(2022年製作の映画)

4.0

優れた作品だった。
素晴らしい役者陣の抑えた演技、その中に溢れる熱、冷徹なのに叙情的な演出、見事。

原作があり、おそらくは足腰のしっかりしたインテンシティの高い作品なんだろう。
背景も分かりやすい。
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吉原炎上(1987年製作の映画)

4.0

五社英雄監督、名取裕子主演、かたせ梨乃、西川峰子共演。

爆発的な情念の殴り合いだ。
これは凄まじい。

それぞれの娼婦が抱える人生は、凄惨。
これを昭和の女優がまさしく憑依させて演じる。
もしかした
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トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

3.8

数十年ぶりに見直した。
受けた印象はその時と変わらなかった。

名作の誉高い、プロットと設定。
ジムキャリーとエドハリスのクオリティ。

脱出するのに乗った船に刻印される139の番号は、詩篇139 ダ
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.6

爽快なファンタジーヒーロームービーとして観るべきかも知れない。
ホラー要素もあるにはあるが、ホラー映画に必要な「怖さ」や「安さ」が要素として少ない。

まず、主役に、重厚な存在感を発揮するラッセルクロ
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.1

イマイチだったなぁ。
期待しすぎた。

東京、日本、日本人の描写、米国人からの見方、こんな感じに写ってるとしたらなんだな、と。

口先では日本人にリスペクトをしてるようなことを言う米国人は多いが、心の
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.0

激情のぶつかり合い。
爆発的なテンション。

現在、マイナビ転職のTVコマーシャルで共演している、池松壮亮と一ノ瀬ワタルが、この作品ではバチバチに対峙する。

とにかくインテンシティの高い作品だ。
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三十四丁目の奇蹟/34丁目の奇蹟(1947年製作の映画)

4.0

本日、クリスマスイブ。

自らをクリス・クリングルと名乗る老人、何か目に見える魔法のような奇跡を起こすわけではない。
が、ユーモアと機転、思いやりを持った慈悲深さは比類なく、子供達の心を掴む。
しかし
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はるヲうるひと(2020年製作の映画)

3.6

売春宿を舞台にした、殆ど密室の芝居。

笑いを排した佐藤二郎。
おそらく彼は自分のセールスポイントは理解しているだろうが、この武器を排するというよりも、自分の本質に迫りたかったのだろう。
他人の脚本で
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