ヴィクトリー下村さんの映画レビュー・感想・評価

ヴィクトリー下村

ヴィクトリー下村

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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.9

面白かった。
終始スリリングな展開に引き付けられっぱなし。99分という短さも見やすくて良い。

個々の間で起きてた問題がどんどん拡散して引き返せないところまでこじれていく。生徒たち、彼らの保護者、気の
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NIMIC/ニミック(2019年製作の映画)

3.7

『ロブスター』、『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス監督の短編。JAIHOにて鑑賞。

10分ちょっとの短編ながらパンチが効いてる。
もの凄い風刺の効いた四コマを読んだような切れ味の鋭さ。
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.1

ドイツを舞台に、社会に居場所がない少女の行く末を描いた映画『システム・クラッシャー』。

『システム・クラッシャー』とは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供の
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イヤーウィグ/氷の⻭を持つ少女(2021年製作の映画)

3.6

『エコール』、『エヴォリューション』の"変態"もとい"鬼才"ルシール・アザリロビック監督の新作。まさかのJAIHOで独占配信されていた。
好きな監督なので新作が日本で劇場公開されていなかったこともショ
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霧の淵(2023年製作の映画)

3.8

鑑賞後に知ったが、本作の舞台となっている川上村は2018年には人口減少率では全国でワーストになってしまった村とのことらしい。

そんな本作は、村の記憶をさまよう幻想譚であり静かな終わりを辿る物語となっ
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.8

親が子供に夢を託すことの是非って本当はもっと語られるべきなんじゃないだろうか。

成功すれば美談だが、失敗した時は当人や家族にとって苦痛にしかなりえない。子供が親に憧れてその道を選ぶならまだしも、幼い
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8

まさに「The 悪趣味映画」
清々しいまでに悪趣味映画だった。

これまでも奇抜でアブノーマルなテクノロジーを題材にした映画を
取っているブランドン・クローネンバーグ。

新作は「罪を犯しても自分のク
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.1

想像以上に面白かった。
3時間ほぼ会話劇。普通ならダレそうなのにテンポの良さと音楽で最後まで引き付ける辺りはさすがノーラン監督。
これまで同様、時系列もいじられてる。

前評判通り、登場人物や当時の時
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.8

この舞台設定でしか成立しない2人の奇妙な関係性が良い。
復讐の果ての世界というか「こういう世界もあり得たかもしれない」という不思議な気持ちにさせられる。

主人公の心情の変化については賛否分かれそうな
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.8

凄まじいモノを観た。

音楽、映像とにかく圧巻の一言。
前評判で砂の惑星にいるみたいだというを見かけたけどそれも納得。没入感が半端ない。

荘厳な映像は絵画のようでどこを切り取っても画になる美しさ。ハ
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赤い糸 輪廻のひみつ/月老 また会う日まで(2021年製作の映画)

4.1

現代の台湾を舞台にした「赤い糸伝説」と「輪廻転生」のファンタジー。

去年の年末からSNSでこの映画の感想が流れてきたのだが、観た人のとにかく熱量が凄い。
経験上こういう作品は面白いことが多いが、その
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

なるほど、これは面白い。
観る人によって全然違うモノが見えてくる。
152分は長いなぁと思ったけど、すぐに引き込まれた。

不自然な落下死体を巡る物語。
この監督の『ソルフェリーノの戦い』もそうだった
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.1

分かってはいたけど寝不足状態でタル・ベーラ作品観るのは試練に近い。
睡魔と戦いながら観たから何度か首がガクッとなった。

ただそんな状態でもそこはタルベーラ。複雑なあらすじではないので少し寝落ちしても
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

前情報の段階で何となく「悪夢を詰め込んだような内容なんだろうなぁ」と思ってたら誇張なしにそんな内容だった。
これアリ・アスター監督が「起きたら嫌だなと思うシチュエーション」をひたすら詰め込んだだけじゃ
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VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)

3.6

この映画、2回くらい観る機会を見逃していて(1回はチケットを購入した後だったから)。だから上映最終日に観に行けて良かった。

それだけ観に行きたかった理由は、この作品を「実写版風の谷のナウシカ」と評す
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ジェヴォーダンの獣 ディレクターズ・カット(2001年製作の映画)

3.8

怪奇×ミステリー×アクション×エログロ×恋×友情とてんこ盛りフランス産エンターテイメント。

最初に観たのは何年前だろ。
あらすじほとんど忘れてたのでほぼ新作感覚で観れたなぁ

監督のインタビューを読
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

エロとグロに彩られたダークファンタジー
2時間22分の異世界体験。見たことない世界へ連れて行ってくれる

美しく魅力的なベラと彼女を自分のモノにしたい男たち
最初は無垢さで男たちを振り回していたベラが
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ペルリンプスと秘密の森(2022年製作の映画)

3.8

アニメーションはポスター通りで美しく音楽も良い

ただ設定と物語の展開がフワッとしてて、眠気に誘われながら観てたけど終盤の展開で一気に目が覚めた

てっきり「自然 vs 人間」的な題材かと思ってたから
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

良すぎた…
観終わった後の心にじわじわ拡がる満足感。劇場を後にしながら「良い映画だったなぁ」と心で何度も呟いた。
こんなに幸せな余韻を残してくれる監督他にいるかよ。

シュールともユニークともいえるカ
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ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

3.9

2012年、フランスの命運を決める国政選挙の日。世間が選挙で盛り上がる裏ではある元夫婦の争いも勃発していた…

監督は2月23日に公開予定の『落下の解剖学』のジュスティーヌ・トリエ。

今作は観るのは
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ファニー・ページ(2022年製作の映画)

4.2

大好きな作品だった。
ただ万人にはお薦めしない。ブラックでシニカル、下品な描写もある。

高校生のロバートは恩師の死をキッカケに学校を辞めてプロの漫画家(風刺画)を目指すようになるのだが…という話。
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スライス(2018年製作の映画)

3.3

幽霊、オオカミ男、魔女の共存する世界
田舎町のフィッシャーキングでピザ配達員が殺される事件がおきる。
犯人は久しぶりに町に返ってきたオオカミ男か、それとも…

『A24の知られざる映画たち』の1本。
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アルプス(2011年製作の映画)

3.7

新作『哀れなるものたち』の公開が控えるギリシャの奇才ヨルゴス・ランティモスの初期作品。JAIHOにて鑑賞。

ヨルゴス・ランティモスってやはり初期作ほどシュールで尖りまくってる。

「結婚できない男女
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ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.3

『ファースト・カウ』が美しいお伽話的な話だったのに対しこちらはグサグサ刺さる系の話。

リジーは自分の展覧会の準備で忙しい。本来は個展に集中したいのに、隣人の同級生や家族のことで集中力が削がれてしまい
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

公開まで長かった。そして素晴らしかった。
クッキーとキング・ルー、どちらも社会に馴染めなかった者同士。そんな2人がドーナツ作りで一発逆転を狙うが…という話。

ヒーローになる物語じゃない。
ケリー・ラ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

フィンチャー監督の作品を劇場で観たのは『ドラゴン・タトゥーの女』以来(『ゴーン・ガール』は観ていない)。実に11年振りというのは感慨深い。

本作は暗殺依頼をしくじった殺し屋が、報復として身内を襲撃さ
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PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ(2022年製作の映画)

3.5

1933年、日本統治下のソウルを舞台に抗日組織のスパイ「ユリョン」を主人公とした物語。

密室ミステリーから本格アクションへと移行していく展開が面白い。常に引き付けられるし本当エンターテイメントとして
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スーツ(2003年製作の映画)

4.0

『少年、機関車に乗る』、『海を待ちながら』のフドイナザーロフ監督が2003年に公開した作品。『ルナ・パパ』が大変面白かったので観に行ったけどこれも面白い。大好きな作品だった。

物語は港町に住む3人の
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

206分という長尺に少し込みするものの、観てみると安定のスコセッシ節。強烈なオープニングからぐんぐん引き込まれた。スコセッシ監督は安心して身を任せてられる。

本作の目玉は何といってもロバート・デ・ニ
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ABYSS(2023年製作の映画)

3.4

去年観た『逆光』の須藤蓮監督&脚本が渡辺あやさんということで鑑賞。
70年代の尾道を舞台にした前作とはうって変わり、今作は現代の渋谷が舞台となっている。

兄を忌み嫌いながらも兄に執着するケイ。愛憎含
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

映画には「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした」と呼ばれるジャンルがあるが、本作はまさしくそれ。

ストーリーもシンプルで余計な味付けなし。ビジュアルがいちいち格好良くてポストカードにしたいくらい構図
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(2023年製作の映画)

4.0

コメディ色強めの戦国版アウトレイジ。
『アウトレイジ』のあのノリが好きな人なら今作も楽しいと思う。

想像以上に合戦シーンにお金掛かってるし、豪華キャストの狂いっぷりもただ楽しい。

キャッチコピーの
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.7

岡田麿里監督の作品はこれまで観たことがなかったが、今作はSNSで試写を観た人の熱量が凄かったのに興味を持って鑑賞。

事前情報を何も知らない状態で観たので途中の展開には驚かされたし「これはどうなるんだ
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

団地を舞台にした子供たちによる仁義なきサイキックバトル。
終始緊張感が凄くて下手なホラーより怖い。
観ながら手に汗がにじんでいた。

幼い子供が巨大な力を手にしたらどうなるか?
ある意味想像通りの展開
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.4

観終わった後の余韻が凄い。
後からジワジワきてまた見返したくなってる。

話自体は何てことない。
普段は別々に暮らしてる父と娘がトルコに数日間のヴァカンスに行く、それだけ。

派手な事件が起きるわけで
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タバコは咳の原因になる(2022年製作の映画)

3.8

全然ヒーローっぽくないヒーローたち。

「笑える」とは違うシュールな可笑しさ。
「何じゃこりゃ」の連続で突っ込みはもはや野暮。カンタン・デュピューはやはりぶっ飛んでる。

お薦めはできないけど変に癖に
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