Tygaさんの映画レビュー・感想・評価

Tyga

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場所はいつも旅先だった(2021年製作の映画)

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寝ぼけ眼でリビングに向かうと珍しく早起きしていた御年90歳の祖母が指を折っていた。「きょうだいの数を数えているの」
「ばあちゃんは8人きょうだいの末っ子でしょ?」と僕が聞くと「結婚相手もいるから16人
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息子の部屋(2001年製作の映画)

3.7

決してめちゃくちゃ派手なことが起こるわけでもないし、息子の部屋にめちゃくちゃすごい秘密があるわけでもないけれど、こういう物語を大事にしながら日々を送っていきたいな、と思うような作品だった。
最後のあの
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関心領域(2023年製作の映画)

4.1

ドラマや露悪的な演出は削ぎ落としつつ、そこに挿入されるエピソードや、小物で強制収容所で何が起こっているかを彼らが知っていることを暗示させ、最後は極めて映画的手法で私たちの「無関心」にすらカメラを向ける>>続きを読む

二十四の瞳(1954年製作の映画)

4.3

小豆島に旅行に行く前日に「これを観ていかないと」という使命感と共に観た。

思い通りにならない人生が多い世界において、自分の隣にいてその悔しさや悲しさを分け合ってくれる存在がいることの尊さ。
ところど
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アルファヴィル(1965年製作の映画)

3.3

プールでの処刑シーンとその後のアンナ・カリーナの頬を伝う涙は見事だけど、あんまりにも男の話すぎて、違和感を感じた。教師データがあまりにエロ男性ばかりなのでは……。(博士1人が作り上げた人工知能なら妥当>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

3.4

過剰ともいえる演出が、当時のエルヴィスのパフォーマンスの過激さを上手く表しているように思えた。腰を振るだけであんなに政治闘争が巻き起こること。彼のパフォーマンスが起こした衝撃が違う時代の観客である私た>>続きを読む

小さな悪の華(1970年製作の映画)

3.3

かわいい金持ちの少女が社会の倫理観をぶっ壊したくて、自分の持つ魅力を生かしながら男どもに酷いことしてる映画。(男の自業自得な部分はままある)
多分、元々サイコパスとかぶっ壊れてるわけではなくて、厨二病
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タイタニック(1997年製作の映画)

4.3

観たのは小学生の時だったか幼稚園の時だったかでしばらく船に乗るのが怖かったのを覚えてる。
ずっとちゃんと物語やらわかるようになったらもう一回観たいと思ってた念願の作品。

当時の階層意識、男女の不平等
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若草物語(1994年製作の映画)

4.0

「若草物語」の映画いっぱいある問題。
でも、やっぱ何回も映画化されるだけのことはあるなぁと思った。いい映画。

家族が家族であり続けることの難しさ。
それでも家族がいることの尊さ。

ベスが一番くやし
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Guava Island(2019年製作の映画)

3.4

さすがにThis is Americaの挿入には無理があったと思うし、リアーナにも歌ってもらいたかったところではあるけど、「週休2日制」を導入しろという訴えは至極正当だと思ったし、フィルムの質感が生き>>続きを読む

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)

3.2

映像としては美しかったが、どう捉えたらいいのかに悩み続けた映画だった。

冒頭から西洋に向けて商品化されたアジアといった装いを感じてしまい(端的に言うと無駄に大自然の中、葉っぱの上で食材を切って巨大な
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エリザベス:ゴールデン・エイジ(2007年製作の映画)

3.2

1作目はまだドラマとして見どころがあったように思えるが、これはあまりにもエリザベスの治世のダイジェストというか、まわりの出来事をなぞっているように思えた。メアリー・スチュアートの処刑の前の逡巡なんかに>>続きを読む

紙ひこうき(2012年製作の映画)

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アニメだからこそできる日常とファンタジーをシームレスに行き来する世界観。

ただ、初手の難易度が高そうなのと、唯一の仕事道具っぽい書類を飛ばしまくってよいのかという疑問は残る。

エリザベス(1998年製作の映画)

3.4

乱れに乱れた国家、英国の王女エリザベスが絶対的な王エリザベス1世になることを決意するまでの物語。
結構、前提知識が要るというか、なぜ彼女がこんなに敵だらけで、さらに言えば戴冠の時にフランス国王まで継い
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ジャンヌ・ダルク(1999年製作の映画)

3.5

リュック・ベッソン×ミラ・ジョヴォビッチのジャンヌダルク。

かなり勢い任せというか、「敵じゃん!攻めなよ!」って感じの戦い方で、逆に神がついてないとこの勝ち方はむずいのではという気分にさせてくれる。
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エデンの東(1954年製作の映画)

3.6

父と双子という父子家庭内で疎外感を覚えるキャル。厳格なキリスト教徒である父と兄は「善い人間」であり、自分はそうでないということに思い悩むが、「やり手」な母の存在を知って自分は母に似ているのかもしれない>>続きを読む

still dark(2019年製作の映画)

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めっちゃパスタ作りたくなる映画。
というか、ナポリタンめっちゃ食べたいな。

スーパーのバイト終わりにこんな感じで駄弁りながら帰ってたのを思い出した。
同じことができるまで妥協せずに扱う。目が見えない
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.5

歪で、でこぼこで、辛うじて生命の反応がある心を、優しく掌で暖めているみたいな映画だった。
最善なのかはわからないし、きっとまだあらゆる「途中」だけれど、とにかく希望が見えるところまで描いてくれて本当に
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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

3.7

伝承の難しさ。翻って文字文化のすごさみたいな帰結かと思ったら肩透かしをくらった気がするが、まあそれは勝手にこっちが思ってただけなので、気にしないことにする。

別離と邂逅、そして成長。それを見守る存在
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ラブリセット 30日後、離婚します(2023年製作の映画)

4.0

小ネタ満載のすれ違いラブコメディー。
久しぶりに劇場でみんながクスクス笑ってる映画を観た気がする。

お互いの性格の不一致から離婚を決意した夫婦が30日の猶予期間をもらった帰りに交通事故にあって揃って
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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

3.2

前2作と比べると主題がシーザー個人の葛藤が主題だからか、ちょっとゆっくりした感覚を受けた。

他のエイプが非言語でコミュニケーションしてたら、ハンドサインを解さないバッドエイプの存在がもっと生きたよう
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猿の惑星:新世紀(ライジング)(2014年製作の映画)

3.5

映像的には前作のいいところが失われてしまい、残ったのは大雑把な銃撃戦といった印象。
ダムでのシーザーとコバの会話はどう考えてもハンドサインでやるべきでは。猿→猿間のコミュニケーションに言葉を使う必要性
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猿の惑星:創世記(ジェネシス)(2011年製作の映画)

4.0

数年前に旧シリーズを観て何となくそのままになっていたけど、新作を観に行く前に予習。

映画的な連環が見事にハマっているように感じた。研究室のガラス、シーザーの部屋のガラス、天窓のガラス。
ガラスに描か
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.3

あらゆるものごとが2次元と3次元をゆらゆらとゆらめき続け、時に消失し、またゆっくりと実体を持つことに「悪夢」という形容がこれほどまで当てはまる作品もなかなかないと感じた。

かといって、それが見ていら
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.3

ちょっと最後の着地点が意味わからなくて、これはハッピーエンドでよいのか?という疑問が湧く。よくよく考えればそもそもすずめのミスが発端になっている。そのせいで何箇所でも地震が起こっているし、彼は椅子に変>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

3.5

パーティーの中の疎外感、パーティー後の虚無感、日中に家にいること自体の閉塞感。
映像自体にクレジットが付いているといっても過言でないほどソフィア・コッポラらしさに溢れている。

ストーリーとしては本当
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NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

3.8

展開として次々とあり得ないことが起こるというわけじゃないけれど、テンポがちょうど良いのと、クライマックスの一捻りが良くて、楽しんで見れた。
民間療法にハマっていく下りなんかは、多分、どんなに能力があっ
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.1

水は低い方に流れる。
そして、人間は最初の一滴ではない。
だからこそ、空をそしてその空を遮るように延びている木の枝を見上げ、これまでの不在とこれからの不在に怯えながら、今そこにいる人を抱き上げる。
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彼女の権利、彼らの決断(2018年製作の映画)

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今の中絶問題を考えるドキュメンタリー。

そもそも医師と女性という二者の合意によって成り立つはずの中絶という行為に、政治が絡むこと自体に違和感なのだが、個人の判断に対して横から口を突っ込むだけに飽き足
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オールド(2021年製作の映画)

3.6

設定ぶっ飛びビーチホラー。矛盾点を考え始めたらあれこれ出てきそうだけど、結構スピード感あって楽しい映画だった。

思ったよりも老化の速度が速くて確かにかなり怖い速度だったし、普通だったら喜ばしいはずの
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.9

なんか序盤のジャーナリストとは、とか、父親の話とか、ふわふわと概念っぽい話で若干洒落臭いなと思っていたところから、雷雨の東京の一夜で物語が一気にぐらぐらと動き始めていき、気がつけばあっという間の2時間>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.8

ナン・ゴールディンの伝記映画。もっとも主な語り手は彼女自身である。繰り返される美術館内でのオピオイドやサックラー家への抗議活動がとてもメッセージ性がありながら美しく、かっこいい。

芸術はあくまで「芸
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不在の出来事(2023年製作の映画)

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空き家の整理してる時に思い出して草取りの小休止に見た。自分のいない時のいない空間にも時間が光が風が流れているんだなというような当たり前のことを考えていた。

誰もいない部屋にも平等に光は差し込むし、風
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

4.0

女性の中絶が違法であることへの侃侃諤諤が繰り広げられるかと思っていたら、そういう理不尽な怒りを覚えるシーンは少なめで(というより、議論しても無駄なやつらの集まりという感じだったのでさっさと退場してもら>>続きを読む

シティーハンター(2024年製作の映画)

3.8

職場の先輩方とかおじさま方が熱く語っているシティーハンターなるものの実写版が出たということで初めて鑑賞。
果たして、これが最初でいいのか?とは思いながら観たけど、これが最初でもよかったと個人的には思っ
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あのこと(2021年製作の映画)

4.0

「カルテには何と」

中絶が禁止されていた時代のフランスで、望まない妊娠をした大学生の「流産」への顛末を描いていると言えば、本作の全てを説明しているのだけれど、ひとつひとつのシーンの痛々しさがすごくて
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