あんへる

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 深章 厄災篇のあんへるのレビュー・感想・評価

4.0
【2023年冬アニメ作品{全11話}】

ラブコメ主人公とクーデレエルフ、ドキッ!ふたりぼっちの迷宮決死行♡~究極の吊り橋効果を添えて~

想定を超えてくるようなギミックや展開は無いにしろ、このヒロイックなファンタジーの王道を突っ走ってくれる安心感、流石のダンまちである。
まあ言っても今期はこの物々しいタイトル通りのシリアス一辺倒ではあったので、いい加減終盤辺りは例のごちゃついたラブコメ成分が恋しくなってきていたってのも本音。
で、またどーせOVAとかあるんでしょ?ほんと抜け目ねぇというかよく出来た作品だよ、まったく。

満を持して今期のヒロインポジションを務める、ヴァレン何某さんと双璧を成す作中屈指のクーデレヒロインことリュー・リオンさん。
定期的にダンジョン内に墓参りに行く匂わせキャラという情報以外、長らく謎に包まれていた彼女の過去や背景が遂に紐解かれます。
もう暗い過去を持つ(元)金髪エルフというだけで変態紳士の血が騒ぐものですよ。

ドラマ性は彼女のパーソナルな部分に十分担保されていて、バトルアクションとしての見応えは主役不在のパーティメンバーが十分過ぎる程担保してくれていた。
今期は比較的ストーリー展開が重くて萎えるといった声もちょいちょい聴こえてきたが、アニメのトータルバランスとしては結構観やすく纏まっていたとは思う。

リューのバックボーンを軸に、過去の断罪と解放(救済)というプリミティブなテーマを真っ向からシンプルに描いている構造は、平成時代のJRPGとかと共に生きてきた身としてはやっぱりこの手の英雄譚にグッとくるんだよなぁ。
窮地に際した彼女の諦観、というか自己犠牲や自殺願望の類の精神は、嘗ての友を失った事での心の傷と同時にエルフとしての忌むべき“潔癖性”に起因するものという描写が、後に彼女の魅力として還元される造りになっているし、何よりキャラ造形の緻密さが窺える。
友の言葉と夢の残滓を胸に、そして理想の〈英雄像〉と共に忌まわしき厄災の象徴に立ち向かう伝統の流れはわかっていても胸が熱くなるものですね。
あとED曲が地味に名曲だった。特に終盤は彼女の心情を詠った歌詞が凄まじく沁みる。

ただ御多分に洩れず今期も紐神様は空気。悲しいくらい空気だった。
ダンジョンこそ本筋のはずなのに、がっつりダンジョンを舞台にすると必然的に本来のメインヒロインが物語に介入できなくなる、という究極のジレンマを抱えている作品、それがダンまちなんやで。


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[主題歌]

OP
 早見沙織「視紅」

ED
 sajou no hana「切り傷」


[挿入歌]

 リュー・リオン(CV:早見沙織)「Not meet doubt」

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