「新世紀エヴァンゲリオン」のレビューを書いたからには、この「ふしぎの海のナディア」に触れないわけにはいかない。「エヴァ」から遡る事5年前。'90年から'91年に掛けてNHKで放送されたTVアニメで、ジュール・ヴェルヌのSF小説「海底二万マイル」をベースにしている。
企画は宮崎駿によるものだったという。しかし、その原案はNHKに採用されず、後に「新世紀エヴァンゲリオン」を作る事になる庵野秀明と貞本義之を中心にしたメンバーが手を加えて映像化される事になった。一方の宮崎駿もその企画原案を持ち帰り「天空の城ラピュタ」として完成させている。「ナディア」と「ラピュタ」に設定上の共通項が多いのは、こうした経緯があったためと言われている。
「タイムボカン」や「ヤッターマン」を思わせるコミカルな冒険劇は、巧みな構成を経て、人類のルーツを問うシリアスな後半へと導かれていく。後半の展開は、エヴァンゲリオンの雛形、ちょっとだけジブリ風と言った様相である。「最初の人間、アダムだよ」という台詞は、「エヴァンゲリオン」で碇ゲンドウが言っている台詞と全く同じだ。何度観ても、最終回では滝のように涙が出る。