ウシュアイア

WOLF'S RAINのウシュアイアのレビュー・感想・評価

WOLF'S RAIN(2003年製作のアニメ)
3.5
2003年制作のアニメオリジナル作品。

オオカミが絶滅したとされる世界で、オオカミたちはオオカミ人間(時として人間に姿を変えるオオカミ)として人間社会の中で息をひそめるようにして生きており、そんな閉塞感にみちた人間社会から「楽園」を目指して旅に出る4匹のオオカミの物語。

ノイタミナ以前のフジテレビの深夜アニメで、フジテレビも番組制作にお金をかけられ、動画配信などに頼ることもできなかったので、作り手の熱量も今とは違うのだと思う。岡村天斎監督、脚本はドラマ『白線流し』など手掛けた信本敬子さん、音楽は菅野よう子さん、とオリジナルでいいものを作ろうという意図が感じられる。

今とは違いゆとりある放送期間だったようで、昨今の作品に比べると展開はゆっくりめで静かに進む。一つ一つのエピソードを噛みしめながら観ることができるので、昨今の作品にはない味わいもあるように思える。

一方で、主に敵サイドの設定の説明不足やあえて残したのかもしれない未回収の伏線のせいで、観ていてもやもやした感じがする。

世界の終わりを思わせる世界観からのセカイ系的展開、
『エヴァンゲリオン』のようなあえて未回収の伏線、
今となってはあまり好まれない要素だと思う。まだ大人向けアニメにアングラ感がある当時の悪しき流行が取り入れられているともいえる。

とは言え、オオカミの戦い、人間とオオカミの切り替わりの演出、菅野よう子さんの劇伴、などクオリティが高い作品であることは間違いない。
(完走につき再投稿)
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