ウシュアイア

MASTERキートンのウシュアイアのレビュー・感想・評価

MASTERキートン(1998年製作のアニメ)
4.7
東西冷戦終結前後の世界を舞台に、考古学の大学講師、英国陸軍特殊空挺部隊元サバイバル教官、ロイズ保険組合の調査員(オプ、探偵)の3つ顔をもつ日英ハーフの平賀=キートン・太一が関わる様々な仕事を通じて描かれるヒューマンドラマ。

アニメは1話完結のオムニバス形式で、主に探偵として世界各地で事件を解決する話が多い。東西冷戦終結という大きな時代の変化の中で、価値観や生き方が大きく変化するヨーロッパ人の姿や東西冷戦時代の闇の残滓が描かれ、当時の世界情勢を知ることができる。

この作品に触れたことがない人にとっては、あらすじや太一のプロフィールを読んでもこの作品の魅力が分かりにくい。かろうじて英国陸軍特殊空挺部隊元サバイバル教官の探偵というところからハードボイルドと思っても、考古学者としての太一は自分の生き方に迷うなんだか不器用な人物として描かれている。しかし、自分の能力を活かしきれていないと思ったり、やりたいことと他人から求められることが違ったりして生き方に迷っている大人にとっては太一の苦悩は共感できるところが多いのではないかと思う。

とにかく、一話一話に深い感銘を覚える。

太一役の井上倫宏さんの演技は穏やかで力強く、ぴったりはまっていた。
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