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平家物語のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
4.7
平安時代末期の都では平家一門が栄華を極めていた。
少女・びわは琵琶法師の父親を平家の武士に殺されたあと、平家の屋敷に侵入。そこで出会った平家の棟梁・平重盛に、「お前たちはじき滅びる」と予言する。
亡者が見える重盛はびわに共鳴し、彼女を屋敷に留め置き、息子の維盛・資盛・清経の三兄弟とともに生活させることにする。
平家一門総帥の平清盛は、娘の徳子を高倉天皇のもとに入内させ、さらなる栄華を追い求める。一方で、その強引さに踏みにじられる者達も多く生まれた。
徳子入内から6年後、平家に対する反発はますます高まり、後白河法皇の近臣達が平家打倒の陰謀(鹿ケ谷の陰謀)を計画するが、密告により発覚。関係者を処罰した清盛は、法皇をも幽閉しようと目論む。
これを察知した重盛は、清盛の面前で決死の諫言を行う。
徳子は男の子を産み、清盛はさらなる栄華を求めるが、天災や妹盛子の死によって重盛はいよいよ不安を募らせる。
重盛は維盛・びわとともに熊野参詣を行い、清盛の野望を留める願いが叶えられないなら、来世の菩提と引き換えに自らの命を縮めるよう祈願する。
帰京した重盛は病の床につき、夢で平家の滅亡を告げられる。 
すべてを悟った重盛は、びわの奏でる琵琶の音を聴きながら最期を迎えた。
重盛の死後、清盛が気落ちしていると見た法皇は、重盛や盛子の領地を没収する。
これに激怒した清盛は兵を率いて上京、公卿を粛清、法皇を鳥羽離宮に幽閉(治承三年の政変)、徳子の子を安徳天皇として即位させる。平家の横暴に耐えかねた源頼政は、以仁王を担いで反乱を起こそうとするが、密告によって発覚、知盛・重衡・維盛によって以仁王らは討たれる(以仁王の挙兵)。
清盛は平家を守るため、福原への遷都を断行。一方で伊豆国に流されていた源頼朝は、法皇による平家追討の院宣を受け取り挙兵する。維盛は頼朝追討の総大将となるが、頼朝が大軍を集めたことと、斉藤実盛の語る東国武士の姿に恐怖する。その夜の夜半に水鳥が飛びだつ音に驚いた軍勢は一戦もしないうちに退却した(富士川の戦い)。
また比叡山からの嘆願を受けて、清盛はわずか半年で都を平安京に戻さざるを得なくなる。さらに興福寺の反発に業を煮やした清盛は、重衡に命じて興福寺を攻撃させる。しかし明かりを取るためにはなった火が燃え広がり、興福寺と東大寺を含む南都は灰燼に化してしまう。さらに高倉上皇が危篤に陥り、焦った清盛は徳子を法皇の後宮に入れようとするが拒絶される。
源氏の蜂起が相次ぐ中、清盛は熱病でこの世を去り、平家がいよいよ孤立を深めていく最中、資盛はびわに屋敷から出ていくよう命じる。
びわは、平家の運命を見届けて、語り継ぐ。
「平家物語」を元にしたアニメシリーズ。

行く末が見える瞳を持つびわが、平重盛たち平家一門と関わる中で、運命に翻弄される平家一門の様々な苦悩や喜びや権力への妄執や悲しみに触れ、行く末が見えても変えられないことに葛藤しながらも、関わった重盛たちの生き様や行く末を語り継ぐ決心をして平家の行く末を見届ける歴史叙事詩の中で、父の清盛の存在感にプレッシャーに押し潰されそうになりながらも亡者が見える故に平家一門の滅亡の意味を予感しながらも平家滅亡を避けるため奮闘する平重盛や清盛の野望に左右され運命を翻弄される徳子たち平家一門の人間としての面や愛憎劇を、掘り上げたヒューマンストーリーに惹きつけられた。
羊文学の主題歌や平安時代の雅をアニメに落とし込んだアニメーションや櫻井孝宏と早見沙織と悠木碧などの一流キャスト陣の演技もエモくてステキだったし、歴史が苦手な人にこそ見てもらいたいヒューマン歴史叙事詩アニメシリーズ。
「悲しみに向かう夜も、そのまま光ってゆけよ」
「光るとき」by羊文学
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