『フィニアスとファーブ』『グラビティフォールズ』と並び2010年代ディズニーのTVアニメを代表する作品で、４シーズンも作られた。実際、『グラビティフォールズ』とは甲乙つけがたい面白さ。
話の作り方も、『グラビティフォールズ』とある程度共通している。表面的な設定や展開はたしかに奇抜だが、思春期の悩みとか学校生活あるあるを取り上げて笑いながら共感できるストーリーである。一見すると一話完結型の他愛ないコメディのようで、少しずつキャラの魅力が引き出され、人間関係のドラマが描かれていく。それとともに、視聴者の想像力を引き立てる謎や伏線が散りばめられ、話が進むにつれて壮大かつ真剣になっていく。
10年前の『キム・ポッシブル』では、確かに過去のエピソードを踏まえた新たな展開が見られることがあり、そこが同作の魅力だったが、基本的には純粋な一話完結型だった。ストーリーメイキングの進化を感じる。
『スター・バタフライ』は『グラビティフォールズ』より女子向けで、同時にいろいろ過激な作風でもある。生首だけのユニコーンが主人公の親友であるという設定に典型的だが、キラキラでカラフルでポップな女児カルチャーをパロディ化している側面があり、特に序盤は何でもありの滅茶苦茶な話が多い。これに比べると『グラビティフォールズ』はかなり行儀の良いアニメである。
しかし、本作も第２シーズンでは恋愛沙汰が真剣味を帯びてくるし、悪役も本気で殺しにかかってくる。そして第３シーズンからは当初想像もつかなかった高度なテーマを扱うようになり、最後は興味深い着地点を見せてくれる。完璧にスッキリとはさせてくれない、ちょっと寂しい気持ちが残るエンディングである。最終シーズンはやや急ぎ足なのが惜しいところ。
