ソウキチ

世界は僕を切り裂けないのソウキチのレビュー・感想・評価

世界は僕を切り裂けない(2023年製作のアニメ)
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移民の受け入れを発端に分断が激化するイタリアのとある地域。主人公はリベラル寄りの漫画家。久々に再会した幼馴染はドラッグと貧困に溺れて極右化していた…。

その幼馴染の彼を単なる排外主義者として戯画的に描くのではなく、“国から見放された国民"として描くフラットで真摯な視点にハッとさせられ、かつて親友同士だった個人間にすら起こる分断に心が痛くなった。

こう書くとヘビーで真面目なものを想像しがちだけど、語り口はかなりコミカルなのがユニークで面白い。早口で情報量が多くてポップカルチャーネタをガンガンいれながら話が横道に逸れまくっていく主人公のオタク仕草にめっちゃ共感。

扱われるテーマはここ日本でも他人事ではなく、なんなら似通った感覚すらあるのだが、カートゥーンでこれをやれてしまうところに文化レベルの格差を感じざるを得ない。日本のアニメでこういう脳の使い方をさせてくれる作品は皆無だから…
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