『悪霊狩猟団: カウンターズ』
原題：경이로운 소문(『驚異的なソ・ムン』)
韓国のケーブルテレビ局OCNにて2020年11月28日から2021年1月24日まで放送されたテレビドラマ。原作は、2018年から連載されている韓国の同名(『驚異的なソ・ムン』)ウェブ漫画。

人間に寄生して殺人を犯させ、被害者の魂を喰らう悪霊が蔓延するチュンジン市。
そこでは、『カウンター』と呼ばれる悪霊狩猟集団が、不老不死を目的に死後の世界から逃げ出した悪霊を探し出して召喚するという任務を担っていた。
カウンターたちはいずれも昏睡状態経験者で、カウンターになる対価として、現世と死後の境目『窿(ユン)』に存在する『あの世のパートナー』から命を授けられていた。
そのうちカ・モタク（ユ・ジュンサン）、ト・ハナ（キム・セジョン）、チュ・メオク（ヨム・ヘラン）の3人は、ククス屋『姉貴麺屋』をアジトに従業員として働いていた。
ある日、カウンターの一員であるチャン・チョルジュン（ソン・ジル）が『レベル3』の強い悪霊との戦いで殉職する。
チョルジュンのあの世のパートナーであったウィゲン（ムン・スク）は、後任を探していたところ、なぜか健康(足が悪い)な高校生のソ・ムン（チョ・ビョンギュ）に取り憑いてしまう。
取り憑かれたムンは自分の体に起こる奇妙な変化に気付き始め、夢の中でウィゲンに出会う。
やがてチョルジュンの後任となったムンは、悪霊を捕まえながらチュンジン市の闇を暴いていく。。。

結構前に見てましたが、シーズン2が個人的には頗るオモロいし(現在エピソード4まで見てます)、今作品の感想を思い出しつつ書くことにしました。
誤りがあったらお許しを🙇。

今作品が放送開始が2020年かぁ。
思えばその年に流行したコロナウイルスは、これまで病症のように抱えていた問題が深刻化したことを確認するきっかけとなったのはまだ最近やけどかなり前にも感じてきてる。
人間を機械のように扱う資本と権力、嫌悪と排斥をウイルスのように伝播する宗教、
『自己責任で自活する』ことを勧めた社会は、コロナ禍以前にも我々を絶えず荒廃させてきた。
人間の顔をしているが、実は『ゾンビ』や『悪鬼』と変わらない、『悪魔』が憑依したと信じたい人と、彼らが作り出す風景に直面する瞬間が頻繁になった。
だからかも知れないが、ここ数年、Netflixのゾンビ時代劇ドラマ『キングダム』をはじめ、ドラマ『スイートホーム』に至るまで、モンスター化した人間を再現したクリーチャー・ドラマが登場している。
超自然的な悪魔を追い払うちゅう宗教的な意味合いを超えて、社会的な意味合いで再解釈したエクソシズムドラマも多くなっている。
クリーチャー・ドラマの中のゾンビや怪物、エクソシズムドラマの中の悪魔の起源はすべて人間と云える。
人間が持つ邪悪な品性と習性、人間が作ったシステムから生まれたもの。
ドラマ『キングダム』は支配勢力の貪欲と無能がゾンビを量産するきっかけとなり、『スイートホーム』の怪物やと『グリーンホーム』やったかな？その生活空間に存在する。
『保健教師アン・ウニョン 』(途中まで見てます)や今作品は、権力と開発の不当な利害関係が密接に絡み合っている。
このように人間が作り上げた社会が本来の機能を発揮せず、むしろ悪を再生産するとき、我々はそれを制圧する能力を持った特別な存在、ヒーローを想像するようになる。
なら、ドラマの中のヒーローはどのように再現されているんやろか。
昔のようにスパンコールのズボンの上にパンティーを履くとか、孤独にビル街を徘徊する財力家の姿やろか？
同名の小説をドラマ化したNetflix『保健教師アン・ウニョン 』のアン・ウンヨンは変わったヒーローかな。
アン・ウンヨンは、生きている人が発する『エクトプラズム』(霊的エネルギーの物質的な形)を直接見ることができる祓魔師。
たとえアン・ウンヨンがこのような能力を備えているとは云え、悪の存在を圧倒する力を持っていたり、すごい勇気があるわけではない。
アン・ウンヨンが持っている武器といえば、おもちゃのナイフと非弾丸銃がすべてかな。
その貧弱な(！故に見るのを中断したんかも！)武器を持って、アン・ウンヨンは学校という空間を支配する邪悪な気と対峙し、弱い者たちを守る。 敢えて表現するならば、怖いが逃げない、根気強く耐える無害なヒーローという感じだ。
今作品のヒーローは、架空の都市チュンジン市を舞台に、ラーメン屋の従業員に変装した悪魔ハンター『カウンター』が悪の気を持つ人間の体に入り込み、悪事を働く悪魔を退治する新概念のヒーロー物です。
この世とあの世の境界である『ユン（魂を受け入れてあの世に送る出入国管理所）』の世界の魂たちは、昏睡状態に陥った人間を選抜して『カウンター』に任命する。
この人間カウンターはユング世界の魂たちとパートナーとなり、互いに交わりながら悪鬼を見つけ出し、退治する。
チュンジン市長と建設会社が怪しく絡み合った事件を捜査していたところ、謎の暴力団に殺されそうになり、昏睡状態に陥ったモタクはチーム内で名字がカだけに『力(ちから)』を担当する。
運転免許証の証明写真を撮りに行った際に事故に遭った写真家チュ・メオクは、傷を癒すヒーラーの能力を持っている。
家族が自ら命を絶つ現場で一人で生き残ったドハナは、遠くの悪鬼を感知するレーダーの役割を果たし、相手の手を握るだけで過去を読み取る『サイコメトリー』(物体に残る人の残留思念を読み取ることで)の能力がある。
ジャンムル流通会長のチェ・ジャンムルは、彼ら商売をする人物である。
さらに、7年前に交通事故で両親（モタクの警察の後輩）を失い、片足に障害を持つようになった高校生ソムが新しい『カウンター』として選ばれる。
彼は力と学習力を持ち、他の『カウンター』にはできない地上に現れる、天へと真っ直ぐに伸びる虹色の光が地(タン)を作る能力まで備えた驚異的な存在である。
カウンターたちは大した力を持つ存在ではなく、せいぜい一般人の2～3倍、断続的に開かれる『タンの気』を受けると5倍程度の能力なので、他のヒーローに比べれば取るに足らないかもしれない。
しかし、他のヒーローが孤独な単独者であったのに対し(戦隊ものは目をつぶり)、『カウンター』はチームを組んで活動し、分業によって悪鬼を捕まえる。
ハナが悪鬼を感知したり情報を読み取ると、モタクが力で制圧し、チーム員が負傷するとメオクが治療をする。
このチームを維持するためには、ジャンムル流通の会長チェ・ジャンムルの資本力が重要である。
このように分業化された共同体だからこそ、手に負えない悪鬼も平気で召喚できる。
もちろん、どんなに能力があっても訓練を怠れば役に立たなくなる。
彼らは訓練にも励む、成長するヒーローと云える。
そこがまた愛着持てんねんなぁ各々のキャラに。
今作品ヒーローたちは、これまで出会ったヒーローとは違うかな。
力を持つ審判者であるというよりは、普通のヒーラー(healer)に近い。
また、これまで弱者とされてきた女性、障害を持つ者、学生、老人などがヒーローになったり、彼の助っ人になったりする。
ある人間は悪を企むとき、誰かが自分の弱さを冒して助け合う。
まぁ、普通の小生には程遠いヒーローではなく、まだ、少し近しいヒーローって感じて嵌まった。
特に、シーズン2は配信が途中で、次作を待ちわびてるくらいエエ年こいたオッサンの自分がいるほど。
今作品では、複雑なキャラとその動機、恐れ、愛、喪失が紹介されてます。
シリーズ1が終わるころには、主要な登場人物の一人一人に明確な肉付けがなされ、それが彼らの成功と成長をとても楽しいものにしていた。
単にイケメンだから好きになるのではなく、リアルなキャラが登場する。
主人公は高校生やけど(この当時彼の実年齢は1歳上)、年上のキャラ、特にチュさん（特に彼女を取り上げるんは、20代ではない女性の有能な役割を軽視する映画やシリーズが多すぎるのがおおいし）の複雑さや成長から目をそらすことはない。
よく練られた展開で、チームは悪霊を捕まえるために働きながら、チュンジン市の不正な役人たちとも戦っていく。
人の悪から逃げない一方で、意味のある支え合いの関係も応援してくれる、なんか温かくもあり面白い作品でした。


※各エピソードあらすじを参考までに記載しておきますが、多少ネタバレに抵触してますので、お気になされる方はお気をつけ下さい。

エピソード1
1時間8分。
誕生日に不思議な光に打たれ、体に説明のつかない異変が起きたソ・ムン。
突然連れてこられた麺専門店で、自分が置かれた状況を説明されるが...。

エピソード2
1時間1分
カウンターの驚くべき力を目の当たりにしたムンは、カウンターになるかどうかの決心がつかないまま、実際の 戦いに巻き込まれることに。

エピソード3
1時間5分
ムンの様子がおかしいことに気づいたイム・ジュヨンと キム・ウンミンはムンを問いつめる。
消えた記憶を取り戻すため警察署にやってくるカモタク。

エピソード4
1時間9分
友達を傷つけたいじめっ子に対して怒りを爆発させるムンだが、この暴走ぶりが問題視されてしまう。
かつて自分が使っていた携帯電話を取り戻すモタク。

エピソード5
59分
気絶したムンに代わり敵と対じしたトハナは、辛い言葉を投げかけられる。
キム・ジョンヨンの力を借り、自分が最後に追っていた事件を調べるモタク。

エピソード6
1時間6分
ムンの悲しい過去に隠された真実を知るカウンターたちは、それをムンから隠そうとする。
両親の持ち物の中か ら謎のメモリーカードを見つけるムン。

エピソード7
57分
自分の運命を変えたあの夜の記憶の中で、チ・チョンシンと初めて出会ったムン。
チョンシンの居場所を突き止 めるため、仲間とともに廃車場へ向かう。

エピソード8
59分
個人的な恨みを抱く人物に対じしたハナの胸に、深い悲 しみがこみ上げる。
ムンの父が捜査していたと思われる"貯水池"を突き止めようとする仲間たち。

エピソード 9
1時間6分
チョンシンとの戦いでひん死の状態に陥ったムンを必死で救おうとするチュ・メオク。
市長の悪行を公にするべく、大胆な作戦を実行するカウンターたち。

エピソード10
1時間2分
ムンからカウンターの資格をはく奪すべきだと訴えるウィゲン。
チョンシンに関する驚くべきニュースを信じる ことができず、事実確認に走るモタク。

エピソード11
1時間3分
他の悪霊たちと手を組んだチョンシンの圧倒的な強さにかなりの苦戦を強いられるカウンターたち。
記憶が 戻ったことを仲間に報告するモタク。

エピソード12
1時間2分
悲しみに暮れるモタクとともに、シン・ミョンフィー味への報復に乗り出した仲間たち。
計画の実行中に、白骨死体の入ったスーツケースを手に入れる。

エピソード13
1時間4分
完全体となったチョンシンを葬り去るため、残された唯一の方法に賭けることになったカウンターたち。
ジョンヨンの事件の犯人を捕まえるモタク。

エピソード14
1時間2分
ミョンフィの息子は、別人のようになってしまった父の様子に不安を募らせる。
ベクヒャンヒが子供を誘拐し たと知り、急いで後を追うムンたち。

エピソード15
1時間3分
海外から帰国したカウンターと初対面を果たすムン。
一方、 父に対する疑念を確信に変える場面を目撃したシ ン・ヒョクは、ムンのもとへやって来る。

エピソード16
1時間10分
ミョンフィとの最終決戦の中で、自らの力の限界を試される事態に直面するカウンターたち。
そして(ユン)では、夢にまで見た再会が現実となる。

みんな優しくて強い。
ハマるまでは行かなかったけど、痛快なシーンもあって、なかなか良かった。

姉妹での目玉焼きシーンと両親との再会に0.2ℓの涙。4人がダサい赤ジャージ(キム・スヒョンの緑ジャージの真似!?)と最後はスーツ姿で横並びで歩く姿が勇ましくて好きだった。カウンターズの時と和んでククス食べている時のキャラのオンオフギャップがまた素敵なのよ。ドラマ視聴が面倒な人は最終回のラスト4分のアクションまとめ集だけでも!韓国芸術の宝庫だ。チョ・ビョンギュがイ・ジョンソクとだぶって見えるのは私だけかな。笑顔が可愛い。最終回でやっとビッグスマイル沢山みせてくれたね。