ねまる

桜の塔のねまるのレビュー・感想・評価

桜の塔(2021年製作のドラマ)
3.5
物語としては、
警察官が復讐と野心からのし上がっていく話で、特別新しい話ではない。

復讐のためなら全てを犠牲にし、何でもする話は、だいたい関係のなかった人を巻き込んで、本人も悪に染まって、結局復讐相手と同じようなことしちゃってんじゃないかと、
応援?できなくなるからなんだかなぁ。
主人公たちには、お前らにはわかんねぇし、わかって欲しいとも思ってない、って言われそうだけど。

アンフェアで薫ちゃんが、復讐のために死ぬほど努力して捜査一課の刑事になった犯人に対して、個人の恨みを晴らすより、その努力で警察官として出世した方がよっぽど復讐になったのに、って呟くシーンがあって、それ観て以降、私の感想も薫ちゃんと同じになっちゃうんだよなぁ。

武藤さんの脚本は、展開としては面白いけど、どうも台詞が説教くさい?漫画くさい?人間ぽくないところが苦手。
頭脳合戦の、あの手この手、こういうプランで、こんな計画だ、みたいのは面白かったけど、それをいちいちお披露目するシーンところが…。

って、文句ばっかり言うなよ、ってなりそうですが、とにかく椎名桔平と岡田健史がめちゃくちゃよかったんですよ。
100点を優に越えるので、この2人だけで観続けられるし、楽しめる。

椎名桔平は久しぶりにこんなに色気が爆発している役観た、というほど、スーツ含め全身からむんむんにオーラが漂っていて、私の観たい椎名桔平はこれです!!って。悪と色気が見事にハマっていて、最高でした。
クールだねぇ、ってちょっとふざけたり、笑ったりするところの余裕さと、とっちめる時の冷酷さのどちらのサイドも本当に良き。
玉木宏はかっこいいんだけど、だからこそ色気のよりもコメディの方が好きなのよ。

岡田健史はいろんな作品で観るたびに、お芝居の精度を上げてくるので、観てるこっちが嬉しくなる。
今回も、途中で5年の時が経つ中で、5年間での変化がまるで別人で、驚かされた。
こんな表情も出来るんだ、って。最初の有村架純ほか、MIU404の綾野剛ほか、本作のベテラン陣ほか、みんなのいいところをどんどん吸収している感じ。
岡田健史と広末涼子、それから森崎ウィンの役には幸せになって欲しい。

仲里依紗はね、苦手なわけじゃないけど、今回の役柄とは合わなかったかも。
緩急が激しい難しい役だからこそ、もう少し若くても良かったかも。
彼女が人間であることが鍵だったから。
解釈の違いかな。
その他、光石研、吉田鋼太郎、高岡早紀、橋本じゅん、渡辺大知、尾身としのりなどなど、みなさん安定感抜群でした。
この枠のキャストは豪華だから良いですね。
ねまる

ねまる