ライフステージに合わせて芸風も作風も変化しているエイミー・シューマ。若い頃のボトルワイン片手に下ネタと変顔だけの無鉄砲で強さと痛さを兼ね備えた芸風から恐れながらも弱さと繊細さを隠さない今作に至るまでの彼女のキャリアは、同じ時代を生きる同年代の女性として見ていてとても感慨深い。
昔の彼女が虚勢を張っていたとは思わないが、今の方がよっぽどありのままだと感じる。そこには今までにないパワーがあった。弱さを見せることが強さだなんて嘘だと思ってたけど、弱さを見せる為にユーモアを使う彼女は最高にcleverでcoolであることは確か。
家族に対する曖昧な感情に白黒付けることなく、とりとめもない過去のエピソードから幼い頃に味わった苦さも甘さもそのまま伝わってくるノスタルジックな脚本。エイミー・シューマがこうなるなんて全く想像してなかった。それもわたしが彼女の才能を見抜けなかっただけなのだろう。それってほんと素晴らしい！
なんせゲストが豪華だね。わたしもデイヴィッド・バーンにハグして欲しいし、めちゃくちゃおもんないフィル・ウァンと仲良くなりたいよ。ベスの若い頃を演じていた女の子、めちゃ好きな雰囲気だった。相手役がセラくんなのも最高やんとしか言いようがない。いつまでもいくつになってもこういう共演は嬉しい。
自然の中で撮影された映像が美しく、机を動かすことで完成するショットやお風呂で魚を泳がすショット、真っ白なMRIの部屋のショットは素晴らしかった。これ控えめに言っても良作だよ。
