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リップスティックのmoonriverのレビュー・感想・評価

リップスティック(1999年製作のドラマ)
4.6
──新世紀のイヴは、もう決して赤いリンゴは食べないだろう。

相変わらず野島伸司は人間の本質的な孤独を描くのがお上手…

男女の愛よりももっと至高のもの…もっと、穢れのない、紛れもなく神聖な、男女を超えた愛。
2つのバスがある。
1つは恋愛のバス。それは賑わっていて、楽しそうだから、皆そっちに釣られて乗っていくけど、いずれ降ろされちゃう。
もう1つは永遠のバス。
こっちはいつも空いている。だけどほとんどの人はそのバスは目に見えないから乗らない。
欲しいのは、永遠。。

藍の「愛」や「永遠」の捉え方が大人を通り越してもはや哲学者の域なのよ…10代でここまで達観してるのは少し可哀想でもある…同じように牧村も、知恵を得れば得るほど人生を達観できるようになるけど、それと同時に、人間の孤独は拭い切れないこと、一生付いて回ることに気付いてしまう…誰かといれば孤独ではない、誰かと結ばれればこの孤独から解放される…違う。その孤独は拭い切れなくても、誰かのために生きることで、その誰かの孤独という暗闇を照らし、安らぎを一緒に得ることができる。藍の言う、安らぐ"永遠"のバスはきっとそういうことだよね。
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