ねまる

エクストラポレーションズ:すぐそこにある未来のねまるのレビュー・感想・評価

3.3
豪華なキャストの割に、あまり話題になっていないこの作品。
キャストはもちろん、未来の話なので、セットや映像にもお金がかかっているし、力も入ってるなというのが伝わってくるんだけど、
気候変動が及ぼす未来の姿を描いているのに、なぜかあんまり現実味がないのがちょっと残念。

環境問題は一人一人が向き合わなきゃ解決出来ないこと、今じゃなくてもそれはわりとすぐやってくる。
1話完結の違う場所の違う人たちの話なので、
その問題とそこに対する人々は点として描かれ、こんな場面に置かれた人という設定を出ない感じ。

1話1話は、
神の物語に沿って、人間への罰なのか問うたり、
自然と科学だったり、デジタル化だったり、
印象的なテーマも多かったけどね。

記憶がデジタルのストレージで管理出来るようになったら、写真や動画で記録する私たちは、すぐそれを利用したいと思う気がするんだ。
忘れたくない日々の思い出をね。
思い出を利用して値上げしたり、規約に基づいて諦めさせたり、サービスをする企業が逆手に取るなら、
記憶する力、思い出す力を無くさないために、自分の頭を使うことも大切だし、日々記憶を無くしたり、書き換えていく脳のことも大切にしようと思うんだよ。

さて、このドラマ、究極何が気に入らなかったかというと、結局全てをキット・ハリントンのせいにしたことかな。
キット・ハリントンというか、彼が演じる実業家ニック・ビルトンなんだけど、キット自身がなんか色んなものを背負わされがちだから…

ニック・ビルトンのようなIT長者を悪役とする作品が近年増えている。『Don't Look Up』や『Glass Onion』もそうだよね。メリル・ストリープやエドワード・ノートンのような、賢く実力もある人たちにとって課題はそうなのかもしれない。
その信念からこの作品をやってる気がする。

ひいては資本主義社会、競争社会、儲けることを求める企業というもの、その社会を批判していると思うんだけど、それを私たちがどの目線で見ていいか分からない。

一緒に一瞬でTwitterを無くしたような人を批判して欲しい?金持ちのせいで地球が終わると馬鹿にして欲しい?環境問題はタイヘンだなぁ、と思えばいい?
いっそみんな1話のマシュー・リスみたいなテンションでやってくれれば良かったんだよ。マシュー・リスは最高。

観客の側にカタルシスも、メッセージも感じれない気がする。
役者はいいのに、それが残念だった。
ねまる

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