うにたべたい

イナズマンのうにたべたいのレビュー・感想・評価

イナズマン(1973年製作のドラマ)
3.4
70年代特撮黄金期を代表する特撮ヒーロー。
超能力を持つ大学生「渡五郎」がイナズマンに変身し、少年同盟と共に帝王バンバの率いる新人類帝国と戦います。

当時オカルトブームだったことがあり、主人公や少年同盟の構成員は超能力を操るミュータントという設定です。
また、敵の新人類帝国は、超能力を持つ人類を新たな人類"新人類"と考えており、超能力を持たない旧人類を奴隷とし、ミュータントだけの世界を作り上げようとします。
つまり、正義と悪で分かれた2つの陣営は両方同じ力を持っていて、仮面ライダーに代表される石ノ森ヒーローらしい作品です。
ただ、超能力者といっても、渡五郎がテレキネシスやサイキックを使って敵を壊滅させるような描写はなく、物理的で敵をやっつけるのは他の特撮ヒーロー同様です。
序盤は、少年同盟のメンバーを中心として、超能力を操る展開がありましたが、少年同盟という組織設定自体も途中から名前だけになってほとんど登場しなくなります。

作風は比較的暗く、ギャグは少なめです。
毎話、新人類帝国が送り込む改造人間・ミュータンロボが現れ、旧人類を支配するための作戦行動を開始します。
自然物をモチーフとしていることが多く、『カゼバンバラ』や『カビバンバラ』、『カガミバンバラ』などが登場し、彼らの企みを知った渡五郎がイナズマンに変身して懲らしめます。
基本的に一話完結で、中には渡五郎の母との決別回など特徴的な話もあるのですが、ワンパターンが多く、正直なところ結構飽きがきます。
新人類も、モチーフとなったモノを利用した攻撃をしてくるのですが、戦闘しながらそれらを操るには特撮技術も足りておらず、痛めつけられて終わるのみになってます。
ただ、渡五郎のニセモノが現れるシャシンバンバラの回で、警察に捕まった本物の渡五郎の釈明に耳を貸さずに速攻で渡五郎を犯人と決めつける仲間たちからの信頼感のなさには笑いました。
割りとイナズマンはこういうところがあって、ある回では渡五郎が仮死状態されるのですが、その時も速攻で埋葬されかけており、"ひょっとして嫌われてるのか"と勘ぐってしまいます。

イナズマンの最大の特徴といえばやっぱり"二段変身"ですね。
最初はサナギマンに変身し、戦闘員をボコりながら、あるいはミュータンロボにボコられながら、ただひたすら耐え、イナズマンに変わるその時を待ちます。
そして、エネルギー充填できたらイナズマンに変身できます。
ヒーローというよりも怪人っぽい外見のサナギマンの殻を脱いで、イナズマンへ二段変身しますが、原色が眩しいイナズマンも割りと異形のヒーローですね。
そういった、決してかっこよさだけを強調していない点がヒーローらしくて魅力的なところだと思います。

ラストは新たな敵が登場して終了。
そのままタイトルだけ変わった新シリーズ"イナズマンF"に続きます。
"イナズマンF"では、イナズマンよりさらに怪奇モノの色が強くなってゆきます。