織田が演じる新海元一(しんかい・げんいち 42歳)は、自身の研究のせいで、妻の紗世子(さよこ 40歳)、一人息子の光太(こうた 5歳)を犠牲にしていることを自覚しながら、42歳になっても学生時代に浴びた脚光、つまりは過去の栄光を忘れることができない少年のような男。18年間も研究に失敗し続け、妻の働きなしに生活を成り立たせることができないほど収入的に困窮しても、「夢はかなう。だからあきらめるな」と、半ば自身に言い聞かせるように言い続けている。しかし、彼が自身の研究に没頭しすぎて、家庭を顧みないなど、うまく現実と向き合えないために、妻や息子といった家族はもちろん、周囲の人間は彼に巻き込まれ、迷惑を掛けられ続けてしまう。良く言えば“ブレない男”だが、実際にはこのご時世に珍しい“はた迷惑なダメ親父(おやじ)”という表現が適している。そんな“はた迷惑なダメ親父”元一を通して、人を愛すること、子供を育てること、そして夢を追い求め生きていくことを、時にシリアスに、時にユーモラスに描いていく。名優・織田裕二を迎え、オリジナルストーリーとして紡いでいく新たなシングルファーザー物語に乞うご期待。