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Xmasの奇蹟のtakのレビュー・感想・評価

Xmasの奇蹟(2009年製作のドラマ)
3.3
配偶者がある昼ドラに夢中になっていた。高橋かおり主演の「Xmasの奇蹟」だ。事故で亡くなったピアニストが他人の体でよみがえり、恋人だったかおりちゃんのの助けになろうと奮闘するお話。高橋かおりというと、大林宣彦監督の「あした」のイメージが強いだけに、彼女も大人になったなぁと思う。

ゼノと名乗る覆面ピアニストの売り出しに懸命になる主人公。初のコンサートの成功を目前にして、恋人のピアニストは交通事故で亡くなってしまう。その恋人こそがゼノだったのだが、その秘密を彼女は知らない。ところが、死んでしまった恋人は、他の若い青年の体に魂が移りよみがえってしまう。彼女を助ける為、と密かに恋していたピアニストの友人がゼノだと名乗り出る。彼は正体を明かせないまま、彼女を助けようと陰ながら偽物である友人を支えざるを得ない。だが、そんな嘘は長続きはしないのだった。

嘘がバレて正体が知られてしまってからの人間関係の葛藤がこれまたドロ沼で面白い。

このドラマが魅力的なのは、音楽の力によるものが大きい。ゼノの楽曲「青の月」の美しさ。それを偽物ゼノは、本物のように繊細に弾くことができない。タッチが違うよね、と明らかに感じさせるその演奏に、秘密がいつバレるのかハラハラしてしまう。本人役でゲスト出演するパク・ヨンハに「あなたの演奏に、月が見えない。」と言われる場面は、実にスリリングだった。そして昼ドラお約束の四角関係、五角関係の愛憎劇。最初は、「ゴースト」の亜流ファンタジーだろ、とたかをくくっていたけど、なかなかどうして面白い。

このドラマで死んだ男に憑依される青年を演じているのが、ブレイクする前の窪田正孝。自分なのに自分でない複雑な役柄を上手にこなす熱演でした。主題歌も歌うパク・ヨンハは、この作品の後自殺が報じられることになる。
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