クマヒロ

ゲットダウン シーズン1のクマヒロのレビュー・感想・評価

ゲットダウン シーズン1(2016年製作のドラマ)
4.8
『HIPHOPの教科書として』

日常と背中合わせに存在する恐怖に対抗する手段としての音楽、文化としてのHIPHOP。
MCブックスを主人公に、圧倒的精度でHIPHOP黎明期を青春ドラマとして描き出す本作『ゲットダウン』

とにかく最高!観て欲しいドラマ。
リアルな側面でいうと、DJのスキル、ブレイクビーツとは何ぞや等、基本的な細かいところも拾う丁寧さ。そして、それを例えばグランドマスターフラッシュが、教えてくれる贅沢さが本当にたまらない。HIPHOP誕生の地「1520 SEDGWICK AVE.」にDJクールハーク、流す曲は「the mexican」最高にあがる展開は、もしこれらを知らなくてもドラマの中で全て自然に学べることが素晴らしい。毎エピソード冒頭の楽曲担当はNas、アドバイザーとして名だたるラッパーが参加し、ドラマと歴史を同時に語ることを可能にしている。

そして、このドラマの製作、バズラーマンの疾走感のある華美な演出が本作に見事にマッチ。
過去映像、過去に放送されたニュース等、リアルを交えてまるでコラージュのように描く様はまさにHIPHOP。アパート火災、停電、盗みなど実際の映像が残っていることで、日常と地続きに存在する恐怖がさらに浮き彫りになる。『グッドフェローズ』的リアルがそこにある。

そして、最終回のバトルが本当にカッコいい。とにっかくかっこいい。DJを最大限に活かすゲットダウンブラザーズのパフォーマンス、見せ方がうますぎる。何度も見返してしまう程のクオリティで俳優である彼らのポテンシャルも計り知れない。
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