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エールのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

エール(2020年製作のドラマ)
4.7
明治42年、福島の老舗呉服屋に生まれた古山裕一(窪田正孝)。
裕一は不器用で内気な性格だったが、音楽に出会いその喜びに目覚めると、独学で作曲の才能を開花させてゆく。
青年になった裕一は、一度は音楽の道をあきらめようとするが、 ある日家族に内緒で応募した海外の作曲コンクールでなんと上位入賞。 副賞で、海外留学がつく。
それをきっかけに、裕一は歌手を目指している関内 音(二階堂ふみ)と知り合い、手紙で心を通わせていく。
だが、世界不況の影響で海外留学が中止になってしまう。祐一は、音楽を諦め家業を継ぎ、音に別れを告げる。祐一を諦めきれない音は、祐一に自分の気持ちを伝える。
紆余曲折あり、祐一と音は音楽の道を歩く者同士結ばれる。
「船頭可愛や」をヒットさせ、早稲田大学野球部の応援歌「紺碧の空」を制作する中で大衆歌謡を作るやり方を身につけ、戦時歌謡を多数作るが慰問で戦争のリアルを知り、大衆歌謡を作ることを辞めようとするが、ラジオドラマをきっかけに戦争で傷ついた人を癒し励ます大衆歌謡で大衆歌謡の大家になっていく古山祐一とオペラ歌手を目指す古山音の、音楽の道を歩む者同士の同志愛的な夫婦愛。
古山祐一と村野鉄男や佐藤久志の福島三羽烏トリオらが音楽を作る者達の大衆歌謡を作る難しさや素晴らしさを、大衆歌謡を作る上で大切なものを学んだ「紺碧の空」、平和への祈りを込めた「長崎の鐘」、アクシデントが災い転じて福を成した「君の名は」など名曲の制作秘話、音楽を作ることで作曲家や歌手が音楽から生きる力を得る音楽家の葛藤と生きざまを絡めて描かれていて、音楽の力の危うさと素晴らしさと音楽家の生きざまと葛藤を描くステキなドラマだった。
コロナ禍で撮影が休止したりアクシデントもあったせいで、音の母親の死など描ききれなかったエピソードもあるが、コメディとシリアスのバランスよく、窪田正孝と二階堂ふみを中心にしたキャスト陣の熱演も山崎育三郎や中村蒼や森山直太朗や野田洋次郎などの個性豊かなキャラクターと主役が絡み合う群像劇もよく、コロナ禍の閉塞感を吹き飛ばす爽快感が良かった。
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